世界の医療事情

ミクロネシア

2022年10月

1.国名・都市名(国際電話番号)

 ミクロネシア連邦(首都パリキール)(国際電話国番号691)

2.公館の住所・電話番号

○ 在ミクロネシア日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Embassy of Japan, One World Plaza 2nd Floor, Kapwaresou Street, Kolonia, Pohnpei, FSM
電話: (691) 320 5465
ホームページ:https://www.micronesia.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

※土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

4.衛生・医療事情一般

 ミクロネシア連邦は、オセアニアのカロリン諸島に属し、赤道より北側に東西に3200km、南北に1200kmに渡り広がる島々からなる国家です。パラオの東、マーシャル諸島の西に位置します。ヤップ州、チューク州、ポンペイ州、コスラエ州の4つの州で構成され、ポンペイ州にあるパリキールが首都です。人口は11万5千人で、国民の多くはミクロネシア系ですが、ポリネシア系住民もいます。また人口の2割程度が日系人と言われています。
気候は熱帯雨林気候で、年平均気温は26~28℃、年間降水量は州によって差がありますが3000mmを超えます。
医療施設は各州に州立病院があり、その州の中核病院となっています。またそれぞれの地域にはCommunity health centerという地域診療所が配置されています。他、ポンペイ州には私立の病院や診療所もあります。
医師養成施設は、以前はポンペイ州にありましたが、現在は閉鎖されています。そのため当国の医師は、フィジーやパプア・ニューギニア、ハワイ、米国本土に留学して医師になっています。医療現場ではミクロネシア人だけでなく、フィジー人、パプア・ニューギニア人、フィリピン人といった医療従事者が一緒に働いています。しかし世界的なCOVID-19流行後のゼロコロナ政策のため多くの外国人医療従事者は帰国してしまい、医療現場での医師不足は深刻な状況です。
当地にはMiCareと呼ばれる公的な医療保険があり、自営業者や被雇用者が加入しています。医師の診察費を除いた医療費の10%が自己負担となります。
医療レベルは劣悪で、州立病院ではレントゲン撮影や超音波検査はできますが、CTが撮影できる医療施設はミクロネシアの中でポンペイ州にある民間の診療所1カ所だけで稼働率は低く、読影できる専門医もいません。MRIや血管造影ができる施設はありません。薬の種類も限られており、日本で使っていた同じ薬があるとは限りません。また専門医も非常に少なく、重症例や専門的な治療が必要な場合は、現地の人々もグアムやフィリピン、ハワイや米国本土で治療を受けています。このような状況のため邦人が専門的な治療が必要となった場合は、グアムや日本での治療が必要なため、海外傷害保険への加入は必須です。
ポンペイ州における上水道は首都パリキールや人口の最も多いコロニアには敷設されていますが、その他の地区では未整備で井戸や雨水をためて使っています。上水道の水も、透明でなく、飲料水としては使用できません。

5.かかり易い病気・怪我

(1)消化器感染症

 腸管感染症、A型肝炎、腸チフス、細菌性赤痢、アメーバ赤痢などがあり、生水や加熱の不十分な食事が感染源となりますので注意が必要です。

(2)デング熱

 デングウイルスを持つヤブカ属のネッタイシマカに刺されることによって発症します。2019年ヤップ州で流行しました。潜伏期間は約1週間で、インフルエンザ様の症状(頭痛、高熱、関節・筋肉痛)に加えて赤い皮疹が出ます。重症化(デング出血熱:全身から出血し易くなります)することがありますので、必ず病院等を受診してください。治療は対症療法のみです。

(3)チクングニア熱

 チクングニア熱はデング熱と同様、ヤブカ属のネッタイシマカによって媒介される感染症です。2013年11月、ヤップ州でチクングニア熱の集団発生がありました。感染後、2日~12日(通常3日~7日)の潜伏期の後、突然の発熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹がみられます。ワクチンや治療薬はありませんが、致死率は低く蚊に刺されないことが最善の予防法です。

(4)ジカ熱

 デング熱やチクングニア熱と同様、蚊によって媒介される感染症で、発熱、頭痛、眼球結膜充血、皮疹、筋肉痛、関節痛などを生じます。2007年ヤップ州、2016年コスラエ州で流行しました。治療は対症療法のみで、発症を防ぐワクチンや治療薬はありませんので、デング熱、チクングニア熱同様、蚊に刺されないことが最善の予防策です。

(5)結膜炎

 現地でピンクアイと呼ばれている結膜炎は、汚れた手で目を触ることにより罹りやすく、治療に抗生物質の点眼薬が用いられることがあります。

(6)皮膚感染症

 不潔な水を使用することが多いせいか、湿疹や虫刺され部分を掻いて細菌感染を合併することがあります。現地ではボイル(Boilf)と呼ばれ、多くの現地の方がかかっています。

(7)レプトスピラ症

 病原性レプトスピラを保有しているネズミ、犬、牛、豚などの尿で汚染された河川や泥などにより経皮的、または経口感染します。河川や雨にて冠水した道路を歩いたり、水たまりに入ったりすると感染の危険性がありますので、そのような場所は避けて下さい。

(8)シガテラ毒による食中毒

 特定の魚や巻貝を食べることによって起こる食中毒です。シガテラ毒を産生する藻を食べた魚の体内に毒素が蓄積され、その魚を肉食魚が食べるとさらに体内に毒素が蓄積され、その肉食魚を人間が食べることにより、食中毒を発症します。毒素は熱処理にて不活化されません。摂取後、早期には嘔気、下痢、腹痛といった消化器症状や血圧低下、筋肉痛、麻痺といった症状が出現します。特徴的な症状としてドライアイスセンセーション(常温以下の物に触れた時に、ドライアイスに触れた時のような温度感覚異常をきたすもの)があります。効果的な治療法は確立されておらず、症状が半年以上続くこともありますが、死亡することは稀と言われています。オニカマスやフエダイ、ウツボといった大型魚は危険性が高いと言われています。

(9)犬咬傷・動物咬傷

 犬を放し飼いにする習慣があり、そのテリトリーに入ると噛まれることがあります。破傷風等の感染リスクもありますので、破傷風の予防注射を受けておく必要があります。また、当国はコウモリが多く、コウモリ咬傷についても注意してください。尚、当地では狂犬病の報告は今までありません。

(10)結核・ハンセン病

 結核とハンセン病の有病率は太平洋地域の中でも高く、注意を要します。

(11)溺死

 海に囲まれている環境であり、人口当たりの溺死数は世界第2位となっています。海水浴、シュノーケリング、スキューバダイビング等、海のレジャーの際には十分注意して下さい。

(12)感染性リウマチ熱

 当国は人口比にてリウマチ熱罹患率が世界で1、2位を争う多発国です。小学校では心エコーでのスクリーニング検査が行われているところもあり、小児の溶連菌感染には注意を要します。

6.健康上心がける事

(1)飲料水には、水道水を煮沸したものか、ミネラルウォーターを利用してください。

(2)高温多湿の気候なので、食べ物の管理には十分注意してください。

(3)高温多湿で発汗量が多くなりますので、脱水症状には十分気を付け、水分や電解質をスポーツドリンク等で補給してください。

(4)蚊を媒介して感染する病気がいくつかあります。また蚊などの虫に刺された部位が細菌感染を起こすことが少なくありません。蚊などの虫に刺されないよう注意しましょう。

(5)紫外線が非常に強いので帽子や日焼け止めによる日焼け対策をして下さい。また目の保護のために、サングラスの着用も推奨されます。

(6)ミクロネシアではスキューバーダイビング中に減圧症に罹患した場合、再圧治療ができる施設がありません。また溺死も多いため、海のレジャーの際には十分に注意してください。

7.予防接種

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

  • 成人:A型肝炎、B型肝炎、破傷風、腸チフスが勧められます(任意)
  • 小児:定期予防接種および就学に必要なワクチン

 事前に日本で接種してくることを強く推奨します。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

ワクチン名 1回目 2回目 3回目 4回目
BCG 出生時      
Pediatrix ※1 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月  
DTaP ※2 12ヶ月 4~6歳    
不活化ポリオ 18ヶ月 4~6歳    
MMR ※3 12ヶ月 1回目の1ヶ月後    
インフルエンザ菌b型 (Hib) 2ヶ月 4ヶ月 12ヶ月  
B型肝炎 出生時      
ロタウイルス 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月  
肺炎球菌(PCV13) 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 13ヶ月
ヒトパピローマウイルス 9歳      

 ※1:Pediatrix(DTap+不活化ポリオワクチン+B型肝炎ワクチン)

 ※2:DTaP(ジフテリア・無菌性百日咳・破傷風の3種混合ワクチン)

 ※3:MMR(麻疹・おたふく風邪・風疹の混合ワクチン)

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 英文の予防接種証明書の提出が必要です。英文の予防接種証明書が日本で作成できなかった場合は、当地保健施設で母子手帳等から転記して作成できます。

 ※ ワクチン接種は必ず本邦ですませてきてください。なお、当国にはワクチン接種の副作用に対する補償制度はありません。

 ※ 現地国民の乳児検診は、Public Healthで施行されています。

8 病気になった場合(医療機関等)

 4州全てに州立病院がありますが、慢性的に医師が不足しており、かつ診断・治療の為の諸施設・器具・薬などが不十分です。重症例については、グアムや日本で治療を受ける必要があります。歯科についても、抜歯や簡単な充填処置ぐらいしかできないため、当地での歯科治療はお勧めできません。

 救急車(有料)を利用する場合、電話番号は下記の通りです。

 ヤップ州:911

 チューク州:330-2218

 ポンペイ州:911

 コスラエ州:370-3012

 離島にいる場合も、必要性に応じてボート(有料)で病院まで移送してくれます。

 ミクロネシア、特にチューク州はダイバーに人気があり、年間を通じて多くのダイバーが訪れます。しかし減圧症に対する再圧治療が可能な施設はミクロネシアにはありません。

◎コロニア(ポンペイ州)

(1)Pohnpei State Hospital(州立)
住所:Kolonia, Pohnpei State 96941
電話:320-2215
概要:ポンペイ州最大の総合病院。医師不足のため、全科の診療はできていません。救急は24時間受け入れています。
(2)Genesis Hospital and Pharmacy(私立)
住所:Kolonia, Pohnpei State 96941
電話:320-3381/8860
概要:ポンペイ州唯一の私立病院。州立病院より施設は比較的新しいです。医師不足のため救急は夜間0時から朝7時半までは対応していません。
(3)Med Pharm(私立)
住所:PO Box 2357 Old US Embassy Bldg., Kaselehlie St., Kolonia Town, Pohnpei State 96941
電話:320-7556/3314
概要:私立の診療所兼薬局です。ミクロネシア唯一のCT検査(造影可)が可能な施設です。画像はフィリピンに送られ、読影は専門医が行うため、所見は翌日以降となります。

○ウエノ島(チューク州)

(1)Chuuk State Hospital
住所:Weno, Chuuk State 96942
電話:330-2214(320-2216)

○ヤップ州

(1)Yap State Memorial Hospital
住所:Colonia, Yap State 96943
電話:350-2115

○コスラエ州

(1)Kosrae State Hospital
住所:Tofol, Kosrae State 96944
電話:370-3012

9 その他の情報入手先

(1)在ミクロネシア日本国大使館 ホームページ:https://www.micronesia.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

10. 一口メモ

 当地の医療機関は英語が標準語です。

11. 新型コロナウイルス関連

 2020年、世界における新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、2020年3月より、当国は定期便での入国を禁止しました。これにより、新型コロナウイルスの市中感染が確認された人は0という状況を維持してきました。しかし、2022年7月18日コスラエ州で、翌7月19日ポンペイ州で市中感染が確認され、両州では一気に感染が広がりました。両州の感染は3週間ほどで落ち着きましたが、8月17日にヤップ州でも市中感染が確認され、感染が広がっています。これを受けて9月5日当国政府は、ヤップ州、ポンペイ州、コスラエ州で求めていた外国からの入国者に対しての入国後5日間の自宅もしくはホテルでの待機を撤廃し、入国に際してはワクチン接種のみを求めることになりました。また9月24日唯一ゼロコロナが続いていたチューク州でも市中感染が確認され、9月28日にチューク州は入国制限や隔離施設での検疫を撤廃しましたが、入国後5日間の自宅もしくはホテルでの待機は求められています。また本島から離島への移動は緊急時のみに制限されています。

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