世界の医療事情
アメリカ合衆国(ニューヨーク)
1 国名(都市名)(国際電話番号)
アメリカ合衆国(ニューヨーク州ニューヨーク市)(国際電話番号1)
2 公館の住所・電話番号
- 在ニューヨーク日本国総領事館
- 住所:Consulate General of Japan in New York, 299 Park Avenue, 18th Floor, New York, NY 10171(毎週土曜日、日曜日休館)
- 電話:1-212-371-8222
- ホームページ:在ニューヨーク日本国総領事館
(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内しています。
4 衛生・医療事情一般
米国の医療費は非常に高額です。その中でも、ニューヨーク市マンハッタン区の医療費は同区外の2倍から3倍ともいわれており、専門医の診察費が1,000ドルを超えることがあります。入院した場合は室料だけで1日あたり数千ドル、入院費が1日あたり1万から2万ドルに及ぶこともあります。治療費は、診察料、施設利用料、血液検査代、画像検査代、薬品代などとそれぞれ別個に請求されるので注意する必要があります。
高額な医療費に対しては、渡航後に当地の医療保険に加入するか、渡航前に十分な補償額の海外旅行傷害保険に加入して備えておく必要があります。病気や怪我など1回の入院で数百万円から1千万円になることを覚悟してください。病状がそれ程緊急性を要しない等、事情が許せば航空運賃を負担したとしても、本邦に帰国して診療を受けた方が良いケースもあります。また、実際に当地で治療を受ける前には、加入の海外旅行傷害保険会社に事故速報の連絡を入れて、医療機関名のみならず、当地での治療の要否についてもアドバイスを求めてから受診すると良いでしょう。
海外旅行傷害保険のキャッシュレスサービスは便利ですが、知らない間に海外旅行傷害保険の限度額を超えていたという報告もありますので、保険を使用した場合は保険会社にその都度、治療内容と請求額をご自身で確認してください。海外旅行傷害保険の1疾患についての支払いの限度(金額や期間)についても留意する必要があります。
また、時にレストランなどで食中毒が発生することがありますので、生もの、特に生の海産物には注意してください。米国でも食品汚染が問題になっており病原性大腸菌、リステリア症サルモネラ菌感染などが発生、随時米国疾病予防管理センター(CDC)や米国食品医薬品局(FDA)から警告が発出されています。
5 かかり易い病気・怪我
(1)ライム病
ニューヨーク周辺の“風土病"ともいえる疾患です。Borrelia burgdorferi(ボレリア菌)とよばれる細菌が原因であり、ダニに刺されることにより感染します。初期の感冒のような症状から始まり、発疹、心症状、関節炎、神経精神症状と多岐に渡り重症化することがあります。
(2)ウエストナイル脳炎
主に7月下旬から10月にかけて流行する蚊が媒介するウイルス性の疾患で、約8割の人は無症状ですが、残りの人は発熱、頭痛、筋肉痛、消化器症状などを呈します。脳炎や髄膜炎を起こすのは感染者の約1%以下ですが、高齢者では発症し易くかつ重篤化する傾向があります。NY州では、2023年に35名の感染が報告されています。
(3)トコジラミ:Bed Bugs(南京虫)
本邦では「南京虫」として知られる「トコジラミ」は、当地では「Bed Bug」と呼ばれています。シラミと名づけられていますがカメムシの仲間であり、成虫でも3ミリメートルに満たない小さな昆虫です。その名の通り床やベッドに棲みついており、近づく動物の血液を吸って生活する吸血性の寄生昆虫です。ニューヨークは古い建物が多いため、気候や条件が整えば大発生します。大発生時には、ニューヨーク市の衛生当局から注意報が発せられます。特に暖房が入り換気が行き届かない冬場に大発生することが多く、ホテルなどの宿泊施設でも被害がみられます。症状は、刺し口を中心として非常に痒く、発赤を伴います。痒みは刺されて2日目ぐらいがピークで、赤みは2週間以上消えないことがあります。
(4)その他の感染症
当地ではさまざまな感染症が世界中から運ばれてくる可能性が高いことから、世界規模での感染症流行状況を以下で把握してください。
- 厚生労働省・海外感染症発生情報:厚生労働省検疫所「FORTH」
6 健康上心がけること
(1)気候
夏はとにかく暑熱が厳しく(気温が摂氏40度近くになる場合もある)、冬は凍る程寒い(気温が摂氏マイナス10度以下)極端な気候です。春先から花粉が飛び、花粉症に悩む人も多いようです。夏の紫外線は強烈です。冬場は寒さに加え空気の乾燥が激しく、乾燥による皮膚症状(乾燥性皮膚炎)や咽頭炎(乾燥性咽頭炎)に悩まされる人が多く見受けられます。冬場の加湿器は必需品です。
(2)野生動物(狂犬病について)
ニューヨーク市内および近郊では、鹿をはじめスカンク、アライグマ、リスなど様々な野生動物が生息しています。例年、ニューヨーク市内では狂犬病に感染した野生動物が確認されています。特にアライグマの感染例が多く、市ではアライグマをはじめとした野生動物に、むやみに近づかないように注意を呼びかけています。もし、野生動物に咬まれたり、引っかかれたりした場合は、すぐに多量の水で石鹸を使用して傷口を洗い流し、お近くの医療機関に相談してください。
7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)
(1)赴任者に必要な予防接種
赴任者に特に必要な予防接種はありませんが、学校への入学・編入に際しては、(3)をご確認ください。
(2)現地の小児定期予防接種
米国の小児予防接種には、日本の小児予防接種には含まれていないものや、接種回数が異なっているものなどが多々あります。過去に実施した予防接種又は罹患歴が証明できない場合や、米国以外で行われた予防接種は認めないという極端な例もあり、全ての再接種となることも起こりえます。日本の医療機関で母子手帳をもとに英文で接種一覧や罹患証明、血中抗体価等を作成しておくと有用です。
ア 米国における予防接種スケジュール
米国における予防接種スケジュールはこちらのサイトを参照ください。
- 米国疾病予防管理センター(CDC):Vaccines & Immunizations(英語)
Child and Adolescent Immunization Schedule by Age (Addendum updated June 27, 2024):小児と青少年の予防接種スケジュール2024
接種時期 | 予防接種の種類等 |
---|---|
出生時 | Hep B(B型肝炎) |
1から2か月 | Hep B(2回目) |
2か月 | Rotavirus(ロタウイルス:1回目) DTaP(ジフテリア・破傷風・百日咳:1回目) Hib(インフルエンザ桿菌b型:1回目) PCV(肺炎球菌:1回目) IPV(不活化ポリオ:1回目) |
4か月 | Rotavirus(2回目) DTaP(2回目) Hib(2回目) PCV(2回目) IPV(2回目) |
6か月 | Rotavirus(3回目:ワクチンのブランドにより不要なことあり) DTaP(3回目) Hib(3回目:ワクチンのブランドにより不要なことあり) PCV(3回目) |
6から18か月 | Hep B(3回目) IPV(3回目) |
12から15か月 | Hib(4回目またはブランドにより3回目) PCV(4回目) MMR(麻疹、流行性耳下腺炎、風疹:1回目) VAR(水痘:1回目) |
12から23か月 | Hep A(A型肝炎:1回目、2回目は6から18か月後) |
15から18か月 | DTaP(4回目) |
4から6歳 | DTaP(5回目) IPV(4回目) MMR(2回目) VAR(2回目) |
11から12歳 | Tdap(思春期以降のブースター、破傷風・ジフテリア・百日咳) HPV(子宮頸がん、年齢により男女とも2から3回) MenACWY(髄膜炎ACWY:1回目) |
16歳 | MenACWY(2回目) |
(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明
学校への入学・編入時には州で規定された予防接種が義務付けられています。幼稚園から大学・大学院はもとより、サマーキャンプへの参加等にも予防接種証明書の提出を要求されることがあります。この証明書がないと入学を許可されず、各種行事に参加できない場合もあります。
学校への入学・編入に必要な予防接種
8 病気になった場合(医療機関等)
緊急時は救急外来を直接受診することになります。電話911に症状・場所・電話番号を伝えると、EMS(救急隊員)が初期治療を施し、医療施設等への搬送を行います。搬送は有料で、EMSの到着に時間を要する場合もあり、救急外来に直接出向くことをお勧めします。救急外来においても重症患者が優先されるため、生命に危険がないと判断された場合は長時間待たされる事があります。
(1)救急外来(マンハッタン)
- ア New York-Presbyterian Weill Cornell Medical Center
- 所在地:525 East 68th Street, New York, NY 10065
- 電話:1-212-746-5454(General)、1-212-746-5026(Emergency Room)
- ホームページ:New York-Presbyterian Weill Cornell Medical Center(英語)
- 概要:Ambulance service(電話1-212-472-2222)に連絡すれば、迎えに来て搬送してくれます。
- イ Columbia University Irving Medical Center
- 所在地:630 West 168th Street, New York, NY 10032
- 電話:1-212-305-9999(Ambulance)、1-212-305-2500(General)
- ホームページ:Columbia University Irving Medical Center(英語)
- ウ NYU Langone Health Ronald O. Perelman Center for Emergency Services / KiDS Emergency Department
- 所在地:570 1st Avenue, New York, NY 10016
- 電話:1-212-263-5550
- ホームページ:NYU Langone Health Ronald O. Perelman Center for Emergency Services / KiDS Emergency Department
- エ Mount Sinai Hospital
- 所在地:1 Gustave L. Levy Place, New York, NY 10029
- 電話:1-212-241-6500
- ホームページ:Mount Sinai Hospital(英語)
(2)アージェントケア(予約不要のクリニック)
- ア CITY MD
- 概要:ニューヨーク、ニュージャージー内に多数のクリニックがあります。症状が重症でない場合。予約不要。
- 診療時間:月曜日から金曜日8時から20時、週末9時から20時(クリニックによって時間延長)
- 詳細は各クリニックで要確認。
- ホームページ:CITY MD(英語)
- イ 空港クリニック:JFK CitiMed
- 所在地(JFK空港):Building 78A North Boundary Road, Jamaica, NY 11430
- 電話:1-718-656-9500
- 概要:JFK空港内の無料シャトルバスサービス有り。
- ホームページ: JFK CitiMed(英語)
(3)日本語の通じる医療機関
ニューヨーク市、主にマンハッタン区では日本人医師、歯科医師又は日本語で対応してくれる診療機関が多くあり、日本人向けの案内書、情報紙などに記載されています。以下の医療機関はその一部で、日本人医師・看護師が診療にあたり、日本人担当者が対応してくれます。海外旅行傷害保険に加入していればキャッシュレスで受診可能な場合もあります。現地の医療保険に加入されている方は、お持ちの保険が有効か、各医療機関に直接お確かめください。
なお、これらの医療機関は必ずしも専門分野すべてに対応しているわけではありませんので、受診前に電話などで詳細をご確認ください。また、診断・診療内容・請求内容等に疑問が生じた場合には、セカンド・オピニオンを得るようにしてください。
- ア 東京海上記念診療所(Japanese Medical Practice)
- 所在地:55 East 34th Street, 2nd Floor, New York, NY 10016
- 電話:1-212-889-2119
- ホームページ:Japanese Medical Practice(英語)
- ウエストチェスター(ハーツデール)にも診療所あり。
- イ 20イーストメディカル
- 所在地:20 East 46th Street, Suite 202, New York, NY 10017
- 電話:1-212-557-4646
- ホームページ:20イーストメディカル
- ウ J+MED on Madison
- 所在地:424 Madison Avenue, 7th Floor, New York, NY 10017
- 電話:1-212-204-8567
- ホームページ:J+MED on Madison
- エ ジャパニーズメディカルケア(J・MEDICAL)
- 所在地:315 Madison Avenue, Floor 17, New York, NY 10017
- 電話:1-212-365-5066
- ホームページ:J・MEDICAL
- オ 安心メディカル
- 所在地:36 West 44th Street, Suite 303, New York, NY 10036
- 電話:1-212-730-9010
- ホームページ:安心メディカル
- カ ひばりファミリーメディカル(Hibari Family Medical)
- 所在地:725 River Road, Suite 214, Edgewater, NJ 07020-1171
- 電話:1-201-581-8553
- ホームページ:ひばりファミリーメディカル
(4)邦人医療支援ネットワーク
- ジャムズネット(JAMSNET:Japanese Medical Support Network)
- ニューヨーク周辺で活動をしている医療系邦人支援グループ同士の情報交換、相互連携を目的としたネットワークが2006年1月に設立されました。日本語で病気の相談、エイズ検査情報提供、メンタルヘルス支援、DV被害者支援、子育てについての相談等々を行っている多数のグループが参加していますのでご参照ください。
- ホームページ:ジャムズネット
9 その他の詳細情報入手先
10 一口メモ(もしもの時の医療英語)
主要言語版については「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照願います。