世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 キプロス共和国(国際電話番号357)

2 公館の住所・電話番号

在キプロス日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
住所:2nd floor, 5 Esperidon Street, Strovolos, Nicosia, Cyprus
電話:22-394800(代表)
ホームページ:在キプロス日本国大使館別ウィンドウで開く

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

3 医務官駐在公館ではありません

 在レバノン日本大使館医務官が担当

4 衛生・医療事情一般

 地中海東部に位置するキプロスは地中海性気候帯に分類され年間通して雨は少なく、夏は高温で乾燥しますが、冬は気温も下がり雨の日もみられます。

 国内のインフラは整っており、一部を除き上下水道も完備されています。

 (なお、本稿には、トルコが支配するいわゆる「北キプロス・トルコ共和国」の情報を含みません)

 キプロスの医療水準は世界的に見てある一定の水準を満たしていると言えます。ほぼすべての分野が網羅されており、国内で治療を受けることができます。

 医療機関には公立病院、私立病院、開業医などあり、皆保険制度に加入する現地人は、公立病院で安価に医療を受けられますが、より専門的でより手厚いケアを求める場合は、民間保険を使って私立の医療機関を選択するなど、目的により使い分けされています。外国人が皆保険制度に加入するにはさまざまな条件をクリアする必要があり、原則その対象にはなり得ませんが、外国人でも公立医療機関を利用することはできます。

 規模が大きく、専門医数の多い病院は首都ニコシアに集中しますが、各都市の病院も整備されています。

 また、私立病院でも、集中治療用の病床数はそれほど多くないので、主に重症疾患、重度のけが・やけど等の場合、各都市にある公立総合病院が中心的役割を担っています。

 日本語が通じる医療機関はありませんが、公立・私立を問わず国内全域でギリシャ語ではなく英語で意思疎通できる場合が多いです。

5 かかり易い病気・怪我

 1年を通して特に注意すべき風土病などはありません。11月から4月にかけて、季節性インフルエンザ患者が認められますが、近年では大流行に及んだことはありません。狂犬病のリスクも低いと考えられています。

6 健康上心がけること

(1)食中毒(旅行者下痢症)

 季節によっては外食時など、衛生管理に気を遣う飲食店を選択する必要があります。汚染された乳製品を介して感染するブルセラ症や、毒を持つ魚による食中毒なども報告されています。

 国内の上水道は整備されていますが、水質は不明な点もあり、特に飲用についてはミネラルウォーターを用いるのが無難です。

(2)日焼け・熱中症

 年間通して日差しが強く、夏場は特に気温も上昇しますので、日焼け止め、サングラス、帽子の着用など日焼け対策と、十分な水分・塩分補給を心がけてください。

(3)大気汚染

 季節にもよりますが大気汚染が指摘されています。国内の複数箇所で大気の状況は観測されており、PM2.5、PM10、NO、オゾン濃度などがモニターされています。アレルギー疾患や呼吸器疾患との関連が気になる場合は「Air Quality in Cyprus(英語)別ウィンドウで開く」で確認することが出来ます。

(4)皮膚のトラブル

 海水浴の季節には、海でクラゲに刺される被害やある種の魚に触れて発症する蕁麻疹などに注意が必要です。また、地方都市のリマソールやパフォスなどで、リケッチア(ダニが媒介)や皮膚リーシュマニア(咬むハエが媒介)などの皮膚寄生虫感染症のリスクが指摘されています。見慣れない皮膚の異常を感じたら、早めに現地の専門家を受診してください。

(5)こころのトラブル

 現地に住んだり、長く滞在したりする場合、新しい生活環境に適応するために半年から1年程度の時間がかかる場合があります。過剰に適応しすぎることなくマイペースを心がけ、悩みすぎる前に誰かに相談しましょう。生活の中に運動を取り入れたり、日本語で気兼ねなく話す時間を作ったりすることも、ストレスを軽減する効果があります。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

(1)赴任者に必要な予防接種

 入国に際して必要な予防接種はありません。成人するまでに日本で推奨される一連の予防接種と、A型、B型肝炎ワクチンなどを接種しておくとよいでしょう。

 予防接種は一般病院と下記ワクチンセンターでも受けられます。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

 小児定期予防接種は現地の小児科医が対応します。ワクチンセンターでは小児予防接種を取り扱っておりませんのでご注意ください

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 現地校に入学・入園する際に予防接種証明の提出を求められることがあります。また、現地医師(内科・眼科)発行の診察証明を求められる場合もあります。

キプロスの小児定期予防接種一覧(出典:2017年キプロス小児科協会推奨版)
  初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目
B型肝炎 2から3か月 4から5か月 6から8か月      
Hib 2から3か月 4から5か月 6から8か月 12から20か月    
DTP 2から3か月 4から5か月 6から8か月 15から20か月 4から6歳 11から12歳
ポリオ(IVP) 2から3か月 4から5か月 6から8か月 15から20か月 4から6歳  
肺炎球菌(PCV13) 3か月 5か月 7か月 15から18か月    
ロタウイルス 2か月 3か月 4から6か月      
髄膜炎菌C 12から13か月          
髄膜炎菌B(注) 2か月 4か月 6か月 12から20か月    
髄膜炎菌(A、C、W135、Y)(注) 12か月          
MMR 13から15か月 4から6歳        
水痘(注) 15から18か月 4から6歳        
A型肝炎(注) 24か月 30か月        
HPV 12から14歳          
季節性インフルエンザ(注) 6か月から          

(注)政府・保健省が無料提供するワクチンと小児科協会推奨版は、ワクチン項目も時期も異なります。
注髄膜炎菌B/ACWY、A型肝炎、水痘ワクチン、一部インフルは任意接種

  • BCGは出生時に感染の高リスク児にのみ接種。
  • Hib(ヒブ):ヘモフィルスインフルエンザB
  • DPT:D(ジフテリア)、P(百日咳)、T(破傷風)。11から12歳へのDPTは青少年用製剤。
  • MMR:おたふくかぜ、麻疹、風疹
  • HPV:ヒトパピローマウイルス

8 病気になった場合(医療機関等)

 特定の医師や外来を受診するには予約が必要です。また下記医療機関にはいずれも24時間オープンの救急部門があり、いつでも受診できます。現地開業医に受診する場合の診察料の目安は50から80ユーロです。入院が必要な場合は、病院によって保証金の前払いを求められることがあります。入院費は高額ですので、旅行前に旅行者傷害保険への加入を強くお勧めします。私立病院での精算はクレジットカード払いができますが、開業医や公立病院では現金払いが原則です。

 救急車はダイヤル「112」番で要請できます。まず、救急車を呼びたい旨を明確にして、「場所」、「状況(病状)」、「名前」を伝えます。駆けつける救急車は、黄色の公営救急車(無料)で、基本的に最寄りの公立総合病院まで搬送します。希望する私立病院に直接要請すれば、病院保有の救急車が駆けつけますが、この場合は有料になります。前述のように、交通事故などで重いけがをした場合等は、救急隊員の判断により重症を専門にする公立総合病院に搬送される場合があります。

(首都)ニコシア

(1)American Medical Center(アメリカンメディカルセンター)私立
websiteAmerican Medical Center(英語)別ウィンドウで開く
電話:22-476777
所在地:215, Spyrou Kyprianou Ave., 2047 Strovolos, Nicosia
24時間救急病院かつ総合病院。Gesy非加盟。
(2)Apollonion Private Hospital(アポロニオン病院)私立 国家医療システム(Gesy)加盟
websiteApollonion Private Hospital(ギリシャ語)別ウィンドウで開く
電話:22-469000
所在地:20 Lefkotheou Ave. Strovolos, Nicosia
24時間救急病院かつ総合病院。外国人の利用も多い。
(3)Aretaeio Hospital(アレテイオ病院)私立 国家医療システム(Gesy)加盟
websiteApollonion Private Hospital(英語)別ウィンドウで開く
電話:22-200300
所在地:55-57, Andreas Avraamides St. Strovolos, Nicosia
24時間救急病院かつ総合病院であり、専門医が多い。外国人の利用も多い。
(4)Nicosia General Hospital(ニコシア総合病院)公立
電話:22-603000
所在地:215 Nicosia - Limassol Old Road, Nicosia
国内最大規模の公立総合病院・救急病院
(5)Latsia Health Centre(ワクチンセンターのみ)
電話:22-467496
所在地:11 Dimitris Stavrou, Latsia
平日のみ営業(受診前に要確認)
(注)旅行前ワクチンは予約必須、また小児ワクチンは受け付けていない

9 その他の詳細情報入手先

10 一口メモ(もしもの時のギリシャ語)

 前述のように、キプロスの医療機関では英語での意思疎通が可能ですが、とくに助けを求めるために必要なギリシャ語表現が、9.大使館ホームページの「基礎情報」>「安全の手引き」中に掲載されていますので、ご参考になさってください。

世界の医療事情へ戻る