世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ドミニカ共和国(国際電話番号1)

2 公館の住所・電話番号

 住所:Embajada del Japón en Republica Dominicana, Ave. Winston Churchill, #1099, Torre Citigroup, Piso 21, Acrópolis Center, Ensanche Piantini, Santo Domingo, República Dominicana

 電話:809-567-3365

 ホームページ:在ドミニカ共和国日本国大使館別ウィンドウで開く 

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

(1)気候・地誌

 ドミニカ共和国はカリブ海で2番目に大きいイスパニョーラ島の東側3分の2を占め、九州と高知県を合わせたほどの面積で、西側はハイチに接しています。気候は亜熱帯に属し、サントドミンゴの年間平均気温は26℃前後、平均最高気温は30℃前後、平均最低気温は23℃前後、平均湿度は約80%という高温多湿の環境です。5月から11月は雨が多く、6月から11月はハリケーンシーズンとなります。

(2)医療水準

 当地の医療レベルは、首都サントドミンゴ及び第2の都市サンティアゴとその他の地方都市、さらに農村地区では大きく異なります。米国、ヨーロッパ等の先進国で研修を受けた信頼できる医師もいますが一部の病院に限られます。そのため、必要な場合には先進国での診断、治療を視野に入れて対応していくのが良いと思われます。地方では医療機器が不十分であること、専門医が不足していることなどから、一部を除き、地方や公立の医療施設に高いレベルの医療を期待することは難しい状況です。出来る限り外国人がよく利用する首都の医療機関を受診するようにしてください。特に輸血を必要とする治療、手術は地方では困難です。

 旅行者には公立病院の利用は難しいので、私立病院、個人クリニックの利用をお勧めします。救急外来を除き、専門医の外来を受診する際は予約が必要です。診察料は医師によって異なり、概ね200から250米ドルです。検査を受ける場合、総合病院の多くでは院内に検査施設がありますが、個人のクリニックを受診した場合は、別の検査施設に行くことになり、検査結果も患者自ら取りに行かねばなりません。急病や怪我で緊急性がある場合は、私立病院の救急外来を受診するのがよいと考えます。ほとんどの総合病院には24時間体制の救急外来があります。この場合予約は必要ありませんが、予め救急外来に電話をしておくと円滑に受診できることが多いです。英語を話せる医師がいる場合もあります。

(3)医療保険制度

 当地の医療保険に加入することは出来ますが、手続きが煩雑であることと補償金額が低いことから、移住等生活拠点を長期間にわたってドミニカ(共)に移す方以外は避けたほうが無難です。日本を発つ前に海外旅行傷害保険に加入することをお勧めします。当地からの緊急移送先は通常マイアミもしくは日本となりますが、米国の医療費は高額なので、保険金額は十分な補償が受けられる額に増額しておくことをお勧めします。

(4)救急車の依頼

 救急車が必要な場合は911に電話して依頼します。

 また、民間の移送会社に依頼することもできます。

PROMED Ambulance
電話:809-412-5555
PROMED Ambulance(スペイン語)別ウィンドウで開く
この会社は主要都市に救急車を配備しているので、国内のどこからでも依頼できます。料金は搬送距離によって異なります。ボカチカからサントドミンゴ間402米ドル、サンティアゴからサントドミンゴ間846米ドル、プンタカナからサントドミンゴ間1,090米ドル

(5)水質・食品衛生

 水道水は飲料に適しません。ミネラルウォーターかボトルウォーターを利用してください。一般に食品の取り扱いや保存方法等に問題が多いので、信用できるところ以外で購入した生野菜、カットフルーツ、アイスクリーム等は食べない、コップや水差しで出された水、氷などを避けるといった注意が必要です。

5 かかり易い病気・怪我

(1)経口感染症

 病原微生物(ウイルス・細菌・原虫など)に汚染された食べ物や水・氷から経口的に感染する感染症です。下痢・腹痛・嘔吐・発熱などの症状を呈します。A型肝炎、ジアルジア症、アメーバ赤痢、腸チフス等などです。高温多湿の環境、上下水道の不備、不十分な生鮮食料品の管理(頻繁にみられる停電)等の問題があり、外食する場合には信頼できるレストランを選び、生ものは避けて、よく火の通った料理を選んでください。

(2)デング熱

 蚊の媒介で発症するウイルス感染症です。直近5年のドミニカ(共)全土における年間患者発生数は、3,964例(2020年)、3,746例(2021年)、10,784例(2022年)、27,972例(2023年)、9,384例(2024年10月時点)とここ数年は多数の感染がみられます。首都サントドミンゴでも、発熱や倦怠感を主訴に受診した患者は必ずデング熱が鑑別診断に加えられるほど身近な病気となっています。潜伏期は3から10日で、突然の高熱・頭痛・目の奥の痛み・関節痛が1週間ほど続きます。ときに出血傾向を伴う重症化することがあります。予防は蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ)に刺されないことです。長袖の服や長ズボンを着用する、虫よけクリーム、スプレーを適切に使用することが大切です。また蚊の発生源となる水たまりを作らない、窓や戸を開け放しにしないことも併せて行ってください。1年を通して感染があり、5月から11月の雨季に感染リスクが高くなります。

(3)チクングニア熱・ジカウイルス感染症

 いずれも蚊の媒介で発症するウイルス感染症です。チクングニア熱は2014年4月より爆発的に流行しました。2018年10月以降流行はみられません。3から7日の潜伏期の後、発熱と関節痛で発症します。ジカウイルス感染症は2016年1月に当地で最初の症例が報告され、その後の1年間で5,241例の感染が報告されました。2019年以降流行はみられません。3から12日の潜伏期の後、発熱・斑状の発疹・関節痛・結膜充血・頭痛で発症します。ただし感染者の80%が無症状といわれています。いずれも予防はウイルスを媒介する蚊に刺されないことなので、デング熱と同じです。

(4)マラリア

 マラリア原虫に感染した蚊の媒介で発症する感染症です。直近5年のドミニカ(共)全土における年間患者発生数は、829例(2020年)、290例(2021年)、337例(2022年)、271例(2023年)、779例(2024年10月時点)です。ハイチ国境に近いダハボン県、サンファン県、アスア県等で感染例が多いのですが、首都サントドミンゴ、東部のラ・アルタグラシア県のプンタカナなどのリゾート地でも感染例がみられます。潜伏期は7から14日で、発熱・頭痛で発症します。ドミニカ(共)のマラリアは90%強が熱帯熱マラリア(Plasmodium falciparum)です。発症早期に治療を開始しないとしばしば重症化し死に至ります。当地では抗マラリア薬の多くに感受性があります。蚊に刺され発熱が出た場合は医療機関を受診してください。予防は蚊に刺されないことで、特にハマダラカ(マラリア原虫をもつ)は夜間に活発に吸血行動を行いますので夜間の防蚊対策が大切です。また感染リスクが高い地域に出かける場合は、予防薬の内服が必要となる場合もあるので、事前に現地の状況を確認して予防内服の要否を検討して下さい。

(5)狂犬病

 狂犬病ウイルスに感染した犬や猫などのほ乳類に咬まれたりすることで感染します。当地ではヒト狂犬病症例の根絶に至っていません(2017年1例、2018年4例、2019年1例、2020年1例、2024年1例)。潜伏期は1から3か月で、発熱・頭痛・倦怠感などの感冒様症状で発症し、咬まれた部位の痛みや知覚異常も伴います。その後中枢神経症状や痙攣を来たし死亡します。発症すると100%近い死亡率なので、疑いのある場合は咬まれた後、すぐに流水と石鹸で洗い医療機関を受診してください。出来るだけ早く狂犬病ワクチン接種(暴露後免疫)を受ける必要があります。長期滞在や動物との接触が多い場合は可能な限り渡航前にワクチン接種(暴露前免疫)を受けることをお勧めします。

6 健康上心がけること

(1)日焼け

 紫外線が強いので、海水浴や屋外のスポーツ等によりしばしば熱傷(発赤、水泡形成など)が経験されます。屋外で過ごす際には、紫外線を通しにくい服を着る、帽子、サングラス、日傘などを上手に使う、日焼け止めクリームをこまめに塗るといった紫外線対策が必要です。

(2)熱中症

 高温多湿の環境なので、屋外で身体を動かすと汗をかきやすく、熱がこもりやすくなります。通気性・吸水性の良い服装にする、涼しい場所で休憩をはさむ、こまめに水分補給をするといった点を心がけてください。頭痛、だるさ、発熱は熱中症の症状です。安易に考えず、病院受診を検討して下さい。

(3)交通事故

 整備不良車両、交通ルールの無視、道路事情の悪さ等により交通事故が多発しています。

(4)水難事故

 ダイビング、シュノーケリング等のマリンスポーツを楽しむ場合、水難事故には十分注意してください。サントドミンゴには高圧酸素療法を行うことができる潜水病治療施設がありますので、減圧症(筋肉痛、関節痛、胸苦しさ、しびれ感等)になった場合、下記に記載する医療機関を受診ください。

Oxygen Wellness Center
所在地:C/Fantino Falco #.24, casi esq, Av. Tiradentes Suite 1, Santo Domingo
担当医:Dr.Edward Canó Alfau
電話:809-532-9988

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

(1)赴任者に必要な予防接種

 日本から入国する際に求められる予防接種はありませんが、以下の予防接種は可能な限り日本で受けておくのが良いと思われます。

  • 成人:A型肝炎、B型肝炎、破傷風、腸チフス、狂犬病
  • 小児:わが国の定期接種である4種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ)、肺炎球菌、B型肝炎、ロタ、インフルエンザ菌b型(Hib)、BCG、日本脳炎、麻疹、風疹、水痘、ヒトパピローマウイルス(HPV)及び任意接種であるおたふく風邪。

(2)現地の小児定期予防接種一覧:

 ドミニカ共和国の小児の定期予防接種

  初回 2回目 3回目 4回目 5回目
BCG 出生時        
ポリオ(OPV) 2か月 4か月 6か月 1歳6か月 4歳
3種混合(DPT) 2か月 4か月 6か月 1歳6か月 4歳
ロタウイルス 2か月 4か月      
肺炎球菌 2か月 4か月 1歳    
インフルエンザ菌b型(Hib) 2か月 4か月 6か月    
B型肝炎 出生時 2か月 4か月 6か月  
麻疹 12か月 1歳6か月      
風疹(MMR) 12か月 1歳6か月      
おたふく風邪(MMR) 12か月 1歳6か月      
ヒトパピローマウイルスVPH 9から14歳        
  • (注)ポリオ定期接種は生ワクチン、私立クリニックでは不活化ワクチン接種可能
  • (注)私費で予防接種を受ける場合は、診察料とワクチン代の実費が必要となります。私立病院小児科、クリニックなどで受けられます。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 公立、私立を問わず、入学時の提出書類として医師が作成した予防接種証明書を要求されます。同様にインターナショナルスクールにおいても、入学時に予防接種証明書の提出が必要です。日本出発前に英文の予防接種証明書を作成してもらって下さい。

8 病気になった場合(医療機関等)

 日本人が比較的利用しやすく医療水準も許容できるレベルにあると思われる病院を以下に列挙します。なお、受付や検査部門では通常スペイン語のみの対応となりますが、医師の多くは英語での対応が可能です。

(首都)サントドミンゴ

(1)Hospiten Santo Domingo(オスピテン サントドミンゴ)
所在地:Alma Máter esq. Bolivar, s/n 1422 Santo Domingo
電話:809-541-3000(代表)
FAX:809-381-1070
概要:1978年開院、2001年に全面改装した全個室44床、ICU7床、NCU4床を持つ病院です。消化器科、呼吸器科、循環器科、神経内科、小児科、泌尿器科、外科、整形外科、脳神経外科、心臓外科、眼科、耳鼻咽喉科を標榜しています。1階の救急部門は入り口が別で24時間診療を行っています。夜間の救急は医師2名(他に病棟に2名、ICUに1名、小児ICUに1名)が対応しています。検査室も同じフロアにあり、24時間稼働しています。救急対象患者は、大人、小児の両方です。5階は特別フロアで、病室と家族用の部屋が隣同士で各室にシャワーがある特別室があります。1日約500米ドルかかります。この病院には英語を話すコーディネーターがおり、外来・検査の予約、案内をしてくれます。
(2)Centro de Medicina Avanzada Dr. Abel González(クニリカ アベルゴンザレス)
所在地:Av. Abraham Lincoln #953, casi esquina Gustavo Mejía Ricart, Santo Domingo
電話:809-227-2235(代表)
FAX:809-541-2303
概要:ベッド数25床、ICU6床の総合病院。通常の外来受診はすべて予約制ですが、救急外来は予約不要で24時間対応しています。大人、小児ともに受診可能です。基本的にドミニカ(共)人の富裕層や外国人をターゲットにした私立病院です。心臓のカテーテル検査、心臓外科手術も行っています。
(3)CEDIMAT(Centro de Diagnostico, Medicina Avanzada, Conferencias Medica, Laboratorio y Telemedicina)(セディマット)
所在地:Plaza de la Salud, Dr. Juan MI. Taveras R, Ensanche La Fe, Santo Domingo
電話:809-565-9989
概要:総合病院Hospital general de la Plaza de la Saludと同じ敷地にある高度医療を担う私立病院です。循環器科、心臓外科で150床、その他の科で70床のベッドがあります。また24時間対応の救急外来を有しますが、対象患者は大人のみです。またサントドミンゴでは唯一、小児の心臓外科手術を行っており、循環器科、心臓外科、脳神経外科はこの国のトップクラスと言われています。MRI、CTも設置され、血液バンクも稼働しています。敷地内にヘリポートがあり、地方や隣国ハイチから重症患者が搬送されて来ます。
(4)HAMADA DENTAL CLINIC
所在地:Plaza KM local 203, Av. Charles Summer Esq. Apolinar Tejera, Los Prados, Santo Domingo, Distrito Nacional
電話:809-542-2193
概要:ドミニカ(共)生まれの日系2世。2012年にUniversidad Catolica Tecnologica del Cibaoを卒業。2012年から2013年に東京医科歯科大学齲歯制御学分野で研修を受けています。

サンティアゴ

 サンサントドミンゴ北西160kmにあるドミニカ(共)第2の都市

(1)Hospital Metropolitano de Santiago(オスピタル メトロポリターノ デ サンティアゴ)
所在地:Autopista Duarte Km 2.8, Santiago
電話:829-947-2222(代表)
FAX:829-947-2130
ウェブサイト:Hospital Metropolitano de Santiago(スペイン語)別ウィンドウで開く
概要:2008年に建設されたベッド数400(個室298、スイートルーム12)の私立病院です。ドミニカ(共)最大規模の病院で、診察室300室、手術室20室、ICU28床、新生児ICU12床、小児ICU7床を備えています。またCT、MRIが各2台あり、手術室には手術支援ロボット「ダヴィンチ」が導入されています。救急外来は成人と小児に分かれています。
(2)Clínica Unión Médica(クリニカ ウニオン メディカ)
所在地:Ave. Juan Pablo Duarte No.176, los Caballeros, Santiago
電話:809-226-8686
ウェブサイト:Clínica Unión Médica(スペイン語)別ウィンドウで開く
概要:スタンダードからスイートまで170の病室を備える私立総合病院で、ほぼ全科をカバーしています。救急外来は24時間受診可能で救急担当医2名の他に、小児科医と産婦人科医も24時間常駐しています。市の中心部にあり、受診者でにぎわっています。MRI、CTも各2台設置されています。

プンタカナ(ババロ)

 サントドミンゴ東部210kmにあるビーチリゾート。年間を通じ外国人旅行者が訪れます。

(1)Hospiten Bávaro(オスピテン ババロ)
所在地:Carretena Higüey - Punta Cana a 500 mts del Cruce de Verón), 1422 Punta Cana Bávaro
電話:809-686-1414(代表、救急)
ウェブサイト:Hospiten Bávaro(スペイン語)別ウィンドウで開く
概要:総ベッド数71床、ICU7床の私立病院です。サントドミンゴにあるHospiten Santo Domingoと同じ系列です。救急外来は24時間受診可能で小児の救急患者も受け入れています。またCTも設置されています。スペイン語、英語の他、フランス語での対応が可能です。

10 現地語一口メモ(スペイン語)

 下記以外に、「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(スペイン語)も参照ください。

  • 医者:doctor(ドクトール)
  • 女性医師:doctora(ドクトーラ)
  • 飲み薬:Medicina(メディシーナ)
  • 注射:inyección(インジェクシオン)
  • 頭痛:dolor de cabeza(ドロール・デ・カベサ)
  • 腹痛:dolor de estómago(ドロール・デ・エストマゴ)
  • 下痢:diarrea(ディアレア)
  • 発熱:fiebre(フィエブレ)
  • 吐き気:náusea(ナウセア)
  • 傷:herida(エリーダ)
  • 具合が悪い:Me siento mal(メ・シエント・マル)
  • 病院へ連れて行って欲しい。:Quiero que me lleve a un hospital(キエロ・ケ・メ・ジェベ・ア・ウン・オスピタル)
世界の医療事情へ戻る