世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

フィリピン共和国(マニラ)(国際電話番号63)

2 公館の住所・電話番号

在フィリピン日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
住所:Embassy of Japan in the Philippines, 2627 Roxas Boulevard, Pasay City, Metro Manila, 1300, Philippines
電話:(63-2)8551-5710、FAX:(63-2)8551-5785
ホームページ:在フィリピン日本国大使館別ウィンドウで開く

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内しています。

4 衛生・医療事情一般

 フィリピンは熱帯モンスーン気候帯に属し、年間を通じて高温多湿であるものの、比較的雨の少ない乾期(12月から2月)、厳しい暑さが続く暑期(3月から5月)、蒸し暑くなる雨期(6月から11月)に季節分けされています。

 雨期には水害が発生しやすく、衛生状態が悪化し、汚染された飲食物による食中毒や感染性腸炎が流行します。また、蚊が発生しやすく、毎年デング熱の流行も認められています。国土は7,000余りの島々から成り立っており、それぞれの島や地域によって流行する疾病が異なることも特徴の一つです。

 マニラ首都圏の衛生状態は年々改善されつつあるものの、排気ガスによる大気汚染がひどく、年間を通じて呼吸器系の疾患が多く認められています。

 医療水準は、都市部と地方の格差が大きく、マニラ首都圏では近代的な設備を整えた私立総合病院で最先端の医療を受けることも可能ですが、地方都市では医療施設の老朽化が進んでいるほか、衛生状態も悪く、安心して医療を受けられる水準には達していません。

5 かかり易い病気・怪我

(1)食中毒

 当地で最も頻繁に見られる疾患。主に細菌やウイルスに汚染された飲食物を経口摂取することにより発症。主な症状は腹痛・嘔吐・下痢ですが、発熱や倦怠感・血便等を伴うこともある。人から人へ直接うつることはないが、吐物や排泄物を介して感染することがある。

(2)デング熱

 デングウイルスを有する蚊に刺されることで感染。潜伏期間は4日から7日間で、突然の高熱・頭痛・関節痛・発疹が主症状。地方都市を中心に毎年流行し、年間10から20万人の感染者が報告されている。最も重要な予防策は、肌の露出を避け、虫除けスプレーを使用するなど、蚊に刺されないようにすること。

(3)ジカ熱

 2016年以降、中南米や東南アジアで流行しているジカウイルス感染症が、フィリピン国内でも報告されている。デング熱と同様に蚊に刺されることによって感染。症状は比較的軽いことが多いが、妊婦が感染すると先天奇形などの原因となることが知られており、蚊に刺されないように注意が必要。

(4)マラリア

 マラリア原虫を有する蚊に刺されることで感染。潜伏期間は2週間程度で、デング熱と同様に高熱や頭痛・関節痛といった症状で発症。マニラ首都圏やセブ島での流行はみられないが、特定の地域では感染が確認されているため、旅行前に流行の有無をチェックされることを推奨。予防策は蚊に刺されないようにするほか、抗マラリア薬を予防的に服用する方法がある。

(5)A型肝炎

 感染者から排泄される糞便で汚染された飲食物(野菜・水・魚貝類等)を経口摂取することによって感染。主な症状は発熱・全身倦怠感・食欲不振。渡航前の予防接種を推奨。

(6)狂犬病

 当地では毎年200人以上が狂犬病で亡くなっている。発症後の死亡率はほぼ100%で、そのウイルスは犬のみならずコウモリやネズミなどの野生動物も有するため、動物に噛まれた場合は、直ちに医療機関を受診してください。

(7)麻疹(はしか)

 ワクチンで予防が可能。当地では接種率が低く、流行を認める。ワクチン2回接種(1歳時および学童期以降)を完了していない方は、ワクチンの追加接種を推奨。

(8)ポリオ

 ワクチンで予防が可能。当地では接種率が低く、2019年に新たな国内患者の発生が確認された。渡航前の追加接種を推奨。

(9)結核

 世界保健機関(WHO)はフィリピンを「結核高まん延国」に指定。2022年のWHOの推計では、人口10万人あたりの発症率は638人で、レソトに次ぎ世界で2番目に高い国となっている。薬の効きにくい多剤耐性結核(MDR-TB)も多く認められる。貧困層では充分な治療が行われていないことが多いため、注意が必要。

(10)HIV/エイズ・性感染症

 HIV感染を含む性感染症が流行。節度ある行動が求められる。

6 健康上心がけること

(1)生水や水道水は飲用に適していません。屋台や路地で販売されている飲食物も衛生上問題があります。食中毒予防のため、食事はホテルあるいは清潔なレストランで、よく加熱調理されたものを食べるようにしてください。

(2)日差しが非常に強く、湿度が高いため、外出する際には日焼け止めを使用し、帽子着用の上、こまめに水分を補給するよう心掛けましょう。

(3)地方や農村部では、蚊にさされないよう、長袖・長ズボンを着用し、虫除けスプレーを使用してください。

(4)狂犬病予防のため、不用意に動物に手を出さないよう注意しましょう。

(5)大気汚染がひどい日は外出を控えてください。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら

(1)赴任者に必要な予防接種(成人・小児)

  • 成人:A型肝炎・B型肝炎・破傷風・日本脳炎・狂犬病等の予防接種を推奨。ポリオや麻疹風疹の追加接種も検討してください。
  • 小児:日本の定期接種に加え、A型肝炎等の接種を推奨。
  • WHOが指定している黄熱汚染地域からの1歳以上の渡航者は、入国時に黄熱予防接種証明書(イエローカード)が必要。

(2)現地の小児定期接種一覧

初回 2回目 3回目 4回目 5回目
BCG 出生時        
B型肝炎 出生時 4週 10週 14週  
3種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳) 6週 10週 14週 12か月 4歳
Hib(インフルエンザ菌b型) 6週 10週 14週 12か月  
ポリオ(IPV/OPV) 6週 10週 14週 12か月  
肺炎球菌 6週 10週 14週 12か月  
麻疹(はしか) 9か月(6か月から可能)        
MMR(麻疹・おたふく風邪・風疹混合ワクチン) 12か月 16か月      

(注):2021 National Immunization Programに含まれるものを記載。DTaP/DTwP+Hib+HBV or Hibの5種混合で接種することもある。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

【幼稚園】入学に際して接種証明を義務づけている施設は少なく、通常の予防接種を済ませていれば問題ないことが多い。

【インターナショナル・スクール】入学に際し下記の予防接種を済ませていることが求められます。回数等は児童の年齢により異なりますので学校にお問い合わせ下さい。

 DPT/DT, Tetanus, Polio, Measles, Mumps, Rubella, Hepatitis A, Hepatitis B

8 病気になった場合(医療機関等)

 マニラ首都圏には、日本語医療通訳や受診サポートを行う日本人スタッフが常駐している医療機関があります。必要とする通訳サポートの内容、海外旅行傷害保険の加入状況、加入されている保険会社によって、有償となる場合もありますが、外国語での受診に不安がある時などは役立ちます。

 当地では医療機関受診の際、診療費の前払いや支払能力の提示を求められます。現金・クレジットカード・海外旅行傷害保険証書などを忘れずにご準備下さい。

(マニラ首都圏)Makati City, Metro Manila マカティ市

(1)マニラ日本人会診療所
所在地:23F Trident Tower, 312 Sen. Gil Puyat Ave., Makati City
電話:(02)-8818-0880、(02)-8819-2762
ホームページ:https://www.jami.ph/clinic/別ウィンドウで開く
診療時間:月曜日から金曜日8時30分から11時30分、13時30分から16時、土曜日8時30分から11時30分、13時から14時30分(日曜日、祝日は休診)
概要:日本人医師が非常勤(水曜日・金曜日)で慢性疾患を専門に対応、事務員に日本人がおり、フィリピン人医師を含めたスタッフも簡単な指示は日本語で対応可。大型医療機器はないものの、一般健診レベルの検査は院内で完結する。支払いはクレジットカード(デビットカードは不可)、現金または小切手
(2)Makati Medical Center(救急外来あり)
所在地:2 Amorsolo cor. Dela Rosa St., Makati City
電話:(02)-8888-8999
ホームページ:Makati Medical Center(英語)別ウィンドウで開く
概要:大型医療機器は日本と遜色ないレベルのものを備え(ECMOあり)、清潔感もある。同院とは別組織の、ジャパニーズヘルプデスク(02-8817-1289、0917-716-9007)が院内にあり、別料金を払えば日本人コーディネーターに予約から通訳まで補助を受けられる。

(マニラ首都圏)Taguig City, Metro Manila タギッグ市

(1)St. Luke’s Medical Center(救急外来あり)
所在地:32nd St., Bonifacio Global City, Taguig City
電話:(02)-8789-7700
ホームページ:St. Luke’s Medical Center(英語)別ウィンドウで開く
概要:大型医療機器は日本の最新かそれ以上のものを備え(ECMOあり)、高級感がある。ジャパニーズヘルプデスク(02-8817-1289、0917-716-9007)に対応し、別料金を払えば日本人コーディネーターに予約から通訳まで補助を受けられる。

(マニラ首都圏)Pasay City, Metro Manila パサイ市

(1)San Juan De Dios Hospital(救急外来あり)
所在地:2772 Roxas Boulevard, Pasay City
電話:(02)-8831-9731

(マニラ首都圏)Manila City, Metro Manila マニラ市

(1)Manila Doctors Hospital(救急外来あり)
所在地:667 United Nations Avenue, Ermita, Manila City
電話:(02)-8558-0888
ホームページ:Manila Doctors Hospital別ウィンドウで開く

(マニラ首都圏)Quezon City, Metro Manila ケソン市

(1)St. Luke’s Medical Center(救急外来あり)
所在地:279E Rodriguez Sr. Ave., Quezon City
電話:(02)-8723-0101
ホームページ:St. Luke’s Medical Center別ウィンドウで開く

(マニラ首都圏)Muntinlupa City, Metro Manila モンテンルパ市アラバン地区

(1)Asian Hospital and Medical Center(救急外来あり)
所在地:2205 Civic Drive, Filinvest Corporate City, Alabang, Muntinlupa City
電話:(02)-8771-9000、(02)-8876-5739(救急外来)
ホームページ:Asian Hospital and Medical Center(英語)別ウィンドウで開く
概要:ジャパニーズヘルプデスク対応。

マニラ首都圏の歯科クリニック

(1)Kobayashi Dental Clinic & Laboratory
所在地:No.6 Lapu-lapu Ave., Magallanes Village, Makati City, 1232
電話:(02)-852-3622
ホームページ:Kobayashi Dental Clinic & Laboratory(英語)別ウィンドウで開く
概要:先代の日本人院長は亡くなり、フィリピン人医師の奥さんが引き継ぐ。邦人の診療経験は豊富で、歯科診療関連の意思疎通は日本語である程度可能。歯科材料は積極的に日本のものを使用している由。パノラマ撮影可。支払いは現金以外に各種クレジットカードやキャッシュレスの保険に対応。
(2)Navales Dental
所在地:Suite 1405 Medical Plaza Makati Bldg., Amorsolo cor. Dela Rosa Sts., Legaspi Village, Makati City
電話:(02)-7751-8101、(02)-8817-4824、0917-559-8156
ホームページ:Navales Dental別ウィンドウで開く
概要:マカティメディカル向かいのMedical Plaza Makatiの14階に入居。院長は日本への留学経験があり、日本語で診療可能です。支払いは現金、銀行振り込み、GCash(クレジットカード不可)。
(3)Little Ones Dental Clinic
所在地:Unit MM 3114, 3rd Floor, SM Mall of Asia, J.W. Diokno Boulevard, Mall of Asia Complex, Pasay City, 1300
電話:(02)-810-1841
ホームページ:Little Ones Dental Clinic(英語)別ウィンドウで開く
概要:診療室の壁には絵が描いてあり、待ち合い室も含め子供向けの演出がなされている。巨大なSM Mall of Asia内にあり、場所は事前に要確認。支払いはGCashなどの電子マネーのみ。

9 その他の詳細情報入手先

(1)ホームページ:在フィリピン日本国大使館別ウィンドウで開く

(2)ホームページ:フィリピン保健省(英語)別ウィンドウで開く

(3)ホームページ:世界保健機構(WHO)ホームページ(英語)別ウィンドウで開く

10 一口メモ(もしもの時の医療英語)

 フィリピンの病院では診察の際、医師やその他職員とは英語で会話が可能です。「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照願います。

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