世界の医療事情

フィリピン(セブ)

2022年10月

1. 国名・都市名(国際電話番号)

 フィリピン共和国(セブ)(国際電話国番号63)

2. 公館の住所・電話番号

○ 在セブ領事事務所 (毎週土日休館)
住所:8th Floor, 2Quad Building, Cardinal Rosales Avenue, Cebu Business Park Cebu City, Philippines
電話:(63-32)231-7321 / 231-7322, FAX:(63-32)231-6843
ホームページ:https://www.cebu.ph.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

※土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内しています。

3. 医務官駐在公館ではありません

在フィリピン日本国大使館 医務官が担当

4. 衛生・医療事情一般

 フィリピンは熱帯モンスーン気候帯に属し、年間を通じて高温多湿であるものの、比較的雨の少ない乾期(12月から2月)、厳しい暑さが続く暑期(3月から5月)、蒸し暑くなる雨期(6月から11月)に季節分けされています。

 雨期には水害が発生しやすく、衛生状態が悪化し、汚染された飲食物による食中毒や感染性腸炎が流行します。また、蚊が発生しやすく、毎年デング熱の流行も認められています。

 国土は7,000余りの島々から成り立っており、それぞれの島や地域によって流行する疾病が異なることも特徴の一つです。マニラ首都圏の衛生状態は年々改善されつつあるものの、排気ガスによる大気汚染がひどく、年間を通じて呼吸器系の疾患が多く認められています。

 医療水準は、都市部と地方の格差が大きく、マニラ首都圏では近代的な設備を整えた私立総合病院で最先端の医療を受けることも可能ですが、地方都市では医療施設の老朽化が進んでいるほか、衛生状態も悪く、安心して医療を受けられる水準には達していません。

5. かかり易い病気・怪我

(1)食中毒:

 当地で最も頻繁に見られる疾患です。主に細菌やウイルスに汚染された飲食物を経口摂取することにより発症します。主な症状は腹痛・嘔吐・下痢ですが、発熱や倦怠感・血便等を伴うこともあります。人から人へ直接うつることはありませんが、吐物や排泄物を介して感染することがあります。

(2)デング熱:

 デングウイルスを有する蚊に刺されることで感染します。潜伏期間は4~7日間で、突然の高熱・頭痛・関節痛・発疹が主症状です。地方都市を中心に毎年流行し、年間10~20万人の感染者が報告されています。最も重要な予防策は、肌の露出を避け、虫除けスプレーを使用するなど、蚊に刺されないようにすることです。

(3)ジカ熱:

 2016年以降、中南米や東南アジアで流行しているジカウイルス感染症が、フィリピン国内でも報告されています。デング熱と同様に蚊に刺されることによって感染します。症状は比較的軽いことが多いですが、妊婦が感染すると先天奇形などの原因となることが知られており、蚊に刺されないように注意が必要です。

(4)マラリア:

 マラリア原虫を有する蚊に刺されることで感染します。潜伏期間は2週間程度であることが多く、デング熱と同様に高熱や頭痛・関節痛といった症状が認められます。マニラ首都圏やセブ島での流行は認められていませんが、特定の地域では感染が確認されていますので、旅行前に流行の有無を確認されることをお勧めします。予防策は蚊に刺されないようにするほか、抗マラリア薬を予防的に服用する方法があります。

(5)A型肝炎:

 感染者から排泄される糞便で汚染された飲食物(野菜・水・魚貝類等)を経口摂取することによって感染します。発熱・全身倦怠感・食欲不振が主な症状です。渡航前の予防接種を強く勧めます。

(6)狂犬病:

 当地では毎年多くの人が狂犬病で亡くなっています。発症後の死亡率はほぼ100%で、そのウイルスは犬のみならずコウモリやネズミなどの野生動物も有するため、動物に噛まれた場合は、直ちに医療機関を受診してください。

(7)麻疹(はしか):

 ワクチンで予防が可能ですが、当地では接種率が低く、流行を認めます。ワクチン2回接種(1歳時および学童期以降)を完了していない方は、ワクチンの追加接種をお勧めします。

(8)ポリオ:

 ワクチンで予防が可能ですが、当地では接種率が低く、2019年に新たな国内患者の発生が確認されました。渡航前の追加接種をお勧めします。

(9)結核:

 世界保健機関(WHO)はフィリピンを「結核高まん延国」に指定しています。薬の効きにくい多剤耐性結核(MDR-TB)も多く認められています。貧困層では充分な治療が行われていないことが多いため、注意が必要です。

(10)HIV/エイズ・性感染症:

 HIV感染を含む性感染症が流行しています。節度ある行動が求められます。

6. 健康上心がける事

(1)生水や水道水は飲用に適していません。屋台や路地で販売されている飲食物も衛生上問題があります。食中毒予防のため、食事はホテルあるいは清潔なレストランで、よく加熱調理されたものを食べるようにしてください。

(2)日差しが非常に強く、湿度が高いため、外出する際には日焼け止めを使用し、帽子着用の上、こまめに水分を補給するよう心掛けてください。

(3)地方や農村部では、蚊にさされないよう、長袖・長ズボンを着用し、虫除けスプレーを使用してください。

(4)狂犬病予防のため、不用意に動物に手を出さないよう注意してください。

(5)首都圏を中心に大気汚染がひどいため、外出後の手洗いとうがいを励行してください。

7. 予防接種

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら

(1)赴任者に必要な予防接種(成人・小児)

  • 成人:A型肝炎・B型肝炎・破傷風・日本脳炎・狂犬病等の予防接種を推奨します。ポリオや麻疹風疹の追加接種も検討してください。
  • 小児:日本の定期接種に加え、A型肝炎等の接種を行うことを推奨します。
  • WHOが指定している黄熱病汚染地域からの1歳以上の渡航者は、入国時にワクチン接種済み証明書(イエローカード)が必要です。

(2)現地の小児定期接種一覧

初回 2回目 3回目 4回目 5回目
BCG 出生時        
B型肝炎 出生時 4週 10週 14週  
3種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳) 6週 10週 14週 12ヶ月 4歳
Hib(インフルエンザ菌b型) 6週 10週 14週 12ヶ月  
ポリオ(IPV/OPV) 6週 10週 14週 12ヶ月  
肺炎球菌 6週 10週 14週 12ヶ月  
麻疹(はしか) 9ヶ月(6ヶ月から可能)        
MMR(麻疹・おたふく風邪・風疹混合ワクチン) 12ヶ月 16ヶ月      

注:2021 National Immunization Programに含まれるものを記載。DTaP/DTwP + Hib + HBV or Hibの5種混合で接種することもある。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

【幼稚園】

 入学に際して接種証明を義務づけている施設は少なく、通常の予防接種を済ませていれば問題はないものと思われます。

【インターナショナル・スクール】

 入学に際し下記の予防接種を済ませていることが求められます。回数等は児童の年齢により異なりますので学校にお問い合わせ下さい。

DPT/DT, Tetanus, Polio, Measles, Mumps, Rubella, Hepatitis A, Hepatitis B

8. 病気になった場合(医療機関等)

 セブには、日本語医療通訳や受診サポートを行う日本人スタッフが常駐している医療機関があります。必要とする通訳サポートの内容、海外旅行傷害保険の加入状況、加入されている保険会社によって、有償となる場合もありますが、外国語での受診に不安がある時など活用いただくのも一案です。
 当地では医療機関受診の際、診療費の前払いや支払能力の提示を求められますので、現金・クレジットカード・海外旅行傷害保険証書などを忘れずにご準備下さい。

○Cebu セブ圏の主な病院

(1) Cebu Doctors’University Hospital(救急外来あり)
所在地:Osmena Boulevard, Cebu City
電話:(032)-255-5555 / (032)-253-7511
概要:別組織ながら同じ建物内にジャパニーズヘルプデスクがあり(電話:0917-571-7436、Email:cduh@j-helpdesk.com)、別料金を払えば日本語で予約、通訳などの補助を得られます。冠動脈のカテーテル治療など一通りの高度医療は対応可能。
(2) Chong Hua Hospital Cebu City (救急外来あり)
所在地:Don Mariano Cui St., Fuente Osmena, Cebu City
電話:(032)-255-8000
ホームページ:chonghua.com.ph別ウィンドウで開く
(3) Chong Hua Hospital Mandaue City(救急外来あり)
所在地:Mantawi International Drive, Subangdaku, Mandaue City
電話:(032)-233-8000
ホームページ:chonghua.com.ph別ウィンドウで開く
概要:ジャパニーズヘルプデスク対応(電話:0917-791-2177、
Email:cedu-north@j-helpdesk.com
(4) University of Cebu Medical Center (救急外来あり)
所在地:Ouano Ave., Subangdaku, Mandaue City
電話:(032)-517-0888
ホームページ:ucmed.ph別ウィンドウで開く
(5) Maayo Well Cebu
所在地:U.N. Avenue Corner DM Cortes Street, Mandaue City
電話:(032)-888-2662 / (0998)-962-1234
ホームページ:maayowell.com別ウィンドウで開く
(6) Mactan Doctors Hospital (救急外来あり)
所在地:Basak, Lapu-Lapu City
電話:(032)-239-7002 to 7016
(7) ARC Hospital (救急外来あり)
所在地:Barangay Agus, Lapu-Lapu City, Cebu
電話:(032)-260-9189
ホームページ:www.archospitals.org 別ウィンドウで開く
(8) ACE Mediacl Hospital (救急外来あり)
所在地:Natalio Bacalso Ave., Cebu City, Cebu
電話:(032)-265-5833
ホームページ:https://www.acemedicalcentercebu.com別ウィンドウで開く

○セブ圏の主な歯科医院

(1)Docor Dental Clinic
住所:Miller Hospital, 400 Tres de Abril St, Cebu City, 6000 Cebu
電話番号:0918-985-8570
概要:総合病院(Miller Hospital)の中にあるクリニックなので、処方薬の受け取りに便利で、万一の医科的な合併症の際には院内紹介で対応。日本に留学し歯学博士を取得したフィリピン人女性医師で、日本語での会話可。土曜日以外で完全予約制。施設は清潔。支払いは現金か小切手のみ。
(2) TYAデンタルクリニック
住所:TF Bldg., M.L Quezon Ave., Casuntingan, Mandaue City, Cebu
電話番号:0916-624-4144
概要:予約や通訳をアシストしてくれる日本人が常駐。院長は日本とフィリピンのハーフで片言の日本語のみ可。完全予約制で週に2回のみオープン。車工場に隣接。支払いは現金のみ。

9. その他の詳細情報入手先

(1)在フィリピン日本国大使館 ホームページ:https://www.ph.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(2)フィリピン保健省 ホームページ: http://www.doh.gov.ph/別ウィンドウで開く

(3)世界保健機構(WHO)ホームページ: http://www.who.int/countries/phl/en/別ウィンドウで開く

10. 一口メモ(もしもの時の医療英語)

フィリピンの病院では診察の際、医師やその他職員とは英語で会話が可能です。英語については、「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照願います。

11. 新型コロナウイルス関連情報

 COVID-19流行中には、政府・自治体・施設管理者により様々な行動制限が課されています。入国時や国内旅行においても、書類提示や検査が求められています。これらは頻繁に変更されるうえ、違反者は検挙されることもあります。上記の情報源等より最新情報の入手に努めてください。

 商業施設やレストランではマスクを着けていないと入店できない場合があります。空港や公共交通機関ではマスクの着用が義務付けられています。

 陰性証明書の発行を含むPCR検査は、主要病院で対応していますが、事前の問い合わせをお勧めします。治療については、主要病院で人工呼吸器を使った治療も可能ですが、キャパシティが必ずしも十分ではありませんので、満床のため入院できない可能性に留意する必要があります。

このページのトップへ戻る
世界の医療事情へ戻る