世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ザンビア共和国(国際電話番号260)

2 公館の住所・電話番号

在ザンビア日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
住所:Embassy of Japan in Zambia, No. 5218, Haile Selassie Avenue, Lusaka, Zambia
電話:0211-251555
ホームページ:在ザンビア日本国大使館別ウィンドウで開く

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

(1)概要

 ザンビアは南緯8から18度、東経22から34度の南部アフリカに位置する国土面積75万平方キロメートル(日本の約2倍)の内陸国で、コンゴ民主共和国、タンザニア、マラウイ、モザンビーク、ジンバブエ、ボツワナ、ナミビア、アンゴラの8カ国と接しています。公用語は英語で、世界有数の銅産出国です。ザンビアの大部分は亜熱帯気候に属し、その国土の大半は標高700から2,000メートル(首都ルサカは1,300メートル)の高地にあります。涼しい乾季(5から8月)、暑い乾季(9から11月)、雨季(12から4月)に大別され、最も寒い7月は最低気温が10℃以下まで下がり、最も暑い10月は最高気温が35℃を越える日も多いです。雨季の激しい雨の際は、首都ルサカでも冠水する道路が散見されます。内陸であり、標高が高いため一年を通して朝晩の気温差が大きく、乾季の湿度の低下も相まって暑い乾季でも朝晩は肌寒く感じることがあります。加えて、標高が高いことで紫外線も強くなるため、生活当初は肌のトラブルを抱える方が多いようです。

(2)衛生環境

 当国の衛生状態は地域によっても大きく異なってきますが、都市部においてもインフラの老朽化や整備の遅れが目立ち、上下水道の供給も未だ不十分で井戸水を利用する地域が多数みられることから、コレラや腸チフス、赤痢などの経口感染症が流行することがあります。生水は飲めませんので、飲料水には市販のミネラルウォーターを使用してください。

 衛生概念も日本と大きく異なり、都市部の一部のスーパーマーケットを除き肉や魚の売り場は清潔とは言えません。牛乳は賞味期限前であってもしばしばヨーグルト状に変質している物が売られていることもあります。野菜は水環境が劣悪な場所で栽培されているものもあるので、露天等のものには特に注意が必要です。缶詰や瓶詰めは確実に密封されているか(蓋が凹んでいるか)確認してから購入するようにしましょう。ただ、食事にどんなに気をつけていても消化器症状(下痢・嘔吐など)に悩まされている邦人も多いため、整腸剤などは持参された方がよいかもしれません。稀にゲームミートとしてクドゥなど野生動物の肉が供されることがありますが、後述のとおり炭疽症アウトブレイクの報告もあることから食べることは避けた方が無難です。

 ハエや蚊などの害虫も多く見られます。レストランなど外での食事の際は大量のハエが集まってくることも多く、蚊は後述するようにマラリア感染の危険性があります。また、当地の川や湖にはビルハルツ住血吸虫が生息していますので、直接長時間に渡って水に触れること、特に泳ぐことは極力避けた方がよいでしょう。

(3)医療制度・水準

 医療制度に関しては、一般人が公的医療機関を利用する場合は地域の診療所(看護師のみ駐在の所も)から順に郡病院・州病院、そしてルサカ市のザンビア大学付属教育病院(UTH)等の総合病院を頂点とするリファラル制度を取っています。つまり、最初は地元のクリニック(ヘルスセンター)を受診し、疾患の重症度等により必要に応じて上位病院へ紹介されていく仕組みです。総じて公的医療機関は政府の財政難等のために建物の老朽化が進み、衛生的ではなく、医薬品や衛生材料も枯渇していることが多く邦人の利用には適していません。他方都市部には富裕層や外国人を始め邦人の利用実績もある個人開業の医院や民間病院があります。ただしそれらの民間病院では外来受診時、諸検査時、入院時などに都度保証金(デポジット)や前払いが求められることがあるため、受診時には十分な額の現金(デビットカード・クレジットカード対応可の病院もあり)を用意する必要があります。

 医療レベルは、首都ルサカにある有力民間病院においても全診療科の専門医が常勤として在籍しているわけではなく、医療スタッフ・医療衛生材料が不足する状況が散見されますが、病院による差が著しいというのが正直なところです。ルサカにある有力民間病院は一般的な手術(急性胆嚢炎など)や、急性心筋梗塞に対するカテーテル検査・治療、冠動脈バイパス手術を行えるまでの医療レベルを有しています(その治療成績は、件数も少なく現状日本との比較は困難です)。残念ながら、そのような病院でさえ脳神経外科医は不在であり、くも膜下出血などの脳外科緊急手術などは当地で受けられません。また、政府が担っている輸血体制も脆弱でかつその品質管理も日本同様にはなされていないので、輸血に伴う感染のリスクが伴い、輸血によって感染した場合も輸血検体が保管されていないため輸血による感染であるという証明が非常に難しい状況です。待機的手術や分娩(分娩後の出血で輸血を必要とする場合や、難産での帝王切開への移行後に大量出血する場合などがありえます)など、予定が立てられる治療・医療行為の場合は、日本での対応をお勧めします。妊娠中の方も病院を選べば、一定レベルの妊婦健診も当地では受けられる(健診やその際の超音波検査等の回数は日本とは違います)ので、日本での出産を前提に当地で過ごすことも可能とは考えますが、当然ながら様々なリスクを家族間で事前に相談することや、その費用は保険ではカバーされない可能性もあり事前に保険会社等に問い合わせることが必要です。

 少しずつ医療レベルは向上しているとはいえ、当地でも対応できない病気の治療は南アフリカやフランス等医療レベルの高い国へ緊急移送を行う必要が出てきます。この場合は手続が円滑に運んでも相当の時間(数日)を要するので、日本では救命可能な疾患でも救命できない状況や、後遺症が残る状況もあり得ます。緊急移送に関しては、移送費(数千万円に及ぶことがあります)をカバーできるだけの海外旅行傷害保険への加入(及び、十分なカバレージ)を強くお勧めします(持病の悪化の場合は保険の対象外となり、自費となることもあります。詳しくは加入される保険の約款を事前にご確認ください)。

 ルサカ以外の地方では基本的な診断ですら不確実な状況で、専門医もほとんどいません。体調不良を感じた場合は、まずは速やかにルサカの医療機関を受診することを強くお勧めします。ただし、リビングストンなどの地方空港は夜間閉鎖されるため、重症時でも夜が明けるまで現地の医療機関に一時収容されることになります。

 歯科に関してはルサカ市内であれば、軽度のう歯(虫歯)の治療や詰め物がとれた場合などの処置は可能になっていますが、技術的・衛生的な観点から極力日本で治療を済ませておくことが望ましいでしょう。

 上記を踏まえ、長期間の滞在が見込まれる場合は、渡航前に健康診断、歯科健診を受診しておくことお勧めします。当然のことながら生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)やその他の持病をお持ちの場合は、主治医とよく相談した上で渡航するように心がけてください。常用薬がある方は、数週間分の予備も含めてご持参ください。市内の薬局にてある程度の薬は入手可能ですが、在庫切れの場合や、同一名称の薬剤でも用量の規格が違う場合もあり得ます。メガネは当地でも作成可能ですが、日本のような高機能レンズがないこと、作成に時間がかかることなどから予備を持参することも検討してください。

5 かかり易い病気・怪我

(1)経口感染症

 病原微生物に汚染された食べ物や水から経口的に感染する感染症で、コレラ、腸チフス、細菌性赤痢、アメーバ赤痢、A型肝炎などが雨季を中心に頻繁に発生し、寒い乾季にはロタウイルス感染症なども発生しています。最近では2023年と2024年の雨季にかけて首都のルサカ中心部でコレラのアウトブレイク(爆発的な感染の広がり)が発生しました。コレラはザンビア全土で発生する危険性があり、特に雨季の生水、氷、生野菜、加熱されていない食品から感染しますので、飲料水は市販のミネラルウォーターか最低限煮沸した水を使用し、食べ物は十分に洗浄・加熱調理した物を食べ、外食する際も不衛生なレストラン等での食事は極力避けることを心がけてください。新しい生活様式で身につけた手洗いの励行(特にトイレ後、調理前、食事前)は世界どこでも非常に効果的ですので、忘れずに実践するように心がけてください。なお、当地でメイドを雇用する場合は、継続的に衛生教育を行うことが重要です。

(2)マラリア

 マラリア原虫をもった蚊(ハマダラカ属)に刺されることで感染する病気です。1週間から4週間ほどの潜伏期間をおいて発熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛などの症状が出ます。マラリアには、熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリアがありますが、ザンビアのマラリアはその99%が熱帯熱マラリア(又は熱帯熱マラリアとその他の重複感染)です。熱帯熱マラリアは発症早期に治療を開始しないと重症化し、しばしば死に至ります。マラリアを疑わせる症状(発熱、頭痛、吐き気、関節痛等)がある場合は早めに医療機関を受診し、マラリアの検査を受けることが重要です。 ハマダラカは特に夕方から明け方の時間帯に活発に吸血行動を行いますので、この時間帯に蚊に刺されないようにする防蚊対策が重要です。防蚊対策としては、夜間の外出時は長袖長ズボンを着用し肌の露出を少なくすること、露出部には必ず昆虫忌避剤を使用すること、網戸を設置すること、蚊取り線香等を使用することや、就眠前に昆虫忌避剤の室内空間への使用や蚊帳の中に入ること、などを心がけてください。蚊取り線香、電気式蚊取器、昆虫忌避剤などは当地でも入手可能です。ザンビアでは一年を通して熱帯熱マラリアの患者が発生していますが、特に雨季に多数発生しています。幸い首都のルサカや観光地として訪問されることの多いリビングストンではマラリア感染の報告は少ないですが、感染リスクを過小評価することなく常にマラリア感染対策を念頭に置いて行動して下さい。

 なお、医療機関へのアクセスが困難な地域に旅行・滞在される場合には、上述のマラリアの予防対策に加え抗マラリア薬の予防内服も検討してください。最近は、渡航外来という標榜科で海外渡航者の健康管理を行う病院・クリニックが日本国内でも増えていますので、渡航前に一度受診することをお勧めします。渡航外来受診に関しては、日本渡航医学会ホームページの「国内トラベルクリニックリスト」も参考になります。

(3)ビルハルツ住血吸虫症

 河川や湖にはビルハルツ住血吸虫が生息しています。カリバ湖やザンベジ川、隣国マラウイのマラウイ湖などが特に危険とされています。手足を数分間浸すだけでも皮膚から侵入して感染し、皮膚炎や膀胱炎の症状が起こり、慢性化すると膀胱癌の原因になることが知られています。現在日本には生息しない風土病のため、帰国後に症状が出現した場合は、日本の医療機関受診時に渡航歴やその際の行動歴、本病名の可能性がないかなどを担当医師に伝えるとよいでしょう。ビルハルツ住血吸虫症に対するワクチンはありませんが、治療薬としてプラジカンテルが有効です。

(4)麻疹

 当地では小児に対する予防接種が十分でないため、散発的に麻疹の流行が発生しています。麻疹は空気感染することが知られており、免疫を持たない場合は高率に感染します。日本国内で生活している小児は定期予防接種を受けていれば問題ないことが多いですが、成人については麻疹の罹患歴や接種歴が明らかでないことも多いため渡航前に医療機関で麻疹抗体価を検査し、必要であれば予防接種を受けた上で渡航することをお勧めします。

(5)季節性インフルエンザ

 当地は南半球に位置しており、日本で冬に流行する季節性インフルエンザの流行時期は涼しい乾季(5から8月)となります。一般的には確定検査はほぼ行われず、結果的に診断されずに見逃されることが多いこともあり、渡航前に予防接種も検討してください。季節性インフルエンザワクチンとしては、可能であれば南半球用ワクチンを接種するとよいでしょう。

(6)蠅蛆症(ようそしょう、ハエウジ症とも呼ばれる)

 湿っている洗濯物にプチフライ(ニクバエ)が卵を産み、その服を着用すると体温でふ化し幼虫(ウジ)が皮膚に入ることで発症します。ルサカ市内でも確認されておりますので、洗濯物は室内に干すか、やむなく室外に干した場合は使用前にしっかりアイロンを掛ける必要があります。治療薬はなく、外科的に皮膚の中にいるウジを取り除きます。

(7)アフリカ睡眠病(アフリカトリパノソーマ症)

 トリパノソーマという寄生虫を持ったツェツェバエに刺されて感染し、早期に適切な治療をしないと命に関わる病気です。特にSouth Luangwa国立公園やLower Zambezi国立公園などへサファリで訪れて感染する事例が報告されています。ツェツェバエは日中に活動し、明るい色や黒いものを目標とする性質があることが知られています。同時に薄い生地の服の上からでも刺すこともできるため、サファリに行かれる際は帽子をかぶり、薄い色の肌の露出の少ない厚めの生地の衣服を着用しましょう。なお、ツェツェバエに対しては、昆虫忌避剤はその効果が証明されていませんが、他の感染症予防の観点からは日々の昆虫忌避剤の使用は効果的と考えます。

(8)炭疽(たんそ)症

 炭疽症は、土壌中に存在している炭疽菌に家畜や野生動物が最初に感染し、感染した動物や汚染された動物性食品をヒトが摂取することで感染する感染症です。感染後1日から2か月程度で発症し、早期に適切な治療をしないと死に至る可能性があります。最近では2023年5月から11月にかけてルサカ州を含むザンビア10州のうち9州に及ぶアウトブレイク(爆発的な感染の広がり)が発生しました。突然死んだ動物の肉、急なと殺で得られた肉、ゲームミートとして提供される肉、露店での安い肉など出所が不確かな肉の取扱いや摂取は避け、手洗いを励行してください。

(9)狂犬病

 狂犬病ウイルスに感染した犬や猫などのほ乳類に咬まれたりすることで感染します。発症した場合はほぼ100%死亡します。当地では犬や猫以外に野生動物も感染している可能があり、むやみに動物に手を出さないようにしましょう。狂犬病ウイルスは発病した動物の唾液の中におり、唾液が傷や粘膜についても感染します。咬まれたりしたら直ちに傷口を流水・石鹸等で洗いながら、咬まれた動物の体調を観察してください(弱っている動物の場合、狂犬病を発症している可能性がより高まります)。そして可及的速やかに医療機関を受診して狂犬病暴露後ワクチンを接種することが非常に重要です。

 残念ながら地方の場合、医療機関に狂犬病ワクチンの在庫がなかったり、期限が切れていたりすることも多いので、地方に滞在する場合は事前に(曝露前)接種をすることをお勧めします。ただ、事前に予防接種をしていても咬まれた場合は、接種完了後からの期間等によって曝露後のワクチン接種が必要となり得ますので、速やかな医療機関の受診をお勧めします。

(10)HIV/AIDS・結核

 HIV感染率は軽度低下傾向にあり、また米国の強力な支援により当地でも治療・管理が可能な病気になってきています。しかし、HIVの成人罹患率は現在も約11%に達しています。食事などの日常生活で感染することはありませんが、無防備な性交渉は感染リスクが高いことを意識して行動してください。特に不特定多数の相手との性交渉は非常に危険です。また怪我人を手当てする際なども他人の血液や体液との接触する可能性があり注意が必要です。加えて当地は、結核の高蔓延国であり、HIV感染者は免疫が低下するため結核の合併も多く見られ問題となっています。

(11)スキンケア(日焼け、肌荒れ)

 高地であり紫外線が非常に強いので、予想外に日焼けをする可能性が高く日焼け対策(サングラス、日焼け止め、帽子等)を準備されるとよいでしょう。また年間通して湿度が低く空気が乾燥していることも影響してか、湿疹やニキビの悪化などの肌トラブルが多く見られます。性別・年齢にかかわらず、日頃から皮膚の保湿を始めたスキンケアを心がけるとよいでしょう。

(12)アレルギー性鼻炎(花粉症)

 ザンビアでは9月から10月頃にかけてジャカランダの花が満開を迎えます。鮮やかな薄紫色の花で非常に綺麗なのですが、この花粉で花粉症を発症される方がいます。アレルギー性鼻炎(花粉症)で治療歴のある方々は、その治療薬を持参されることをお勧めします。

(13)交通事故

 経済成長とともに車の数が急速に増えています。ただ中古車が中心であることから整備不良の車も多く、例えばウインカーが壊れていることで曲がった後でもウインカーが消えずもう一度曲がるのか、停止するのかわからなかったり、一方のランプが壊れていることで、ハザードランプかウインカーかが識別できなかったりなど、予測困難なことにも遭遇しやすく交通事故も急増しています。また、ルサカ市内でも信号がほとんどないことから、歩行者の道路の横断は交通量にかかわらず日常茶飯事でかなり注意が必要です。歩行者としてはもちろん、運転手としてもスピードを出さず、車間距離を保ち安全運転に気をつけてください。夜間は街灯が非常に少ないことから、歩行者も見えにくくなるためより危険です。シートベルトの着用と子供の後部座席乗車は法律で義務付けられており、安全面からも遵守しましょう。

6 健康上心がけること

  1. 防蚊対策を徹底しましょう。マラリアは在留邦人にとって最大の脅威です。
  2. 生水や加熱していない食べ物、出所の不確かな肉は避けましょう。
  3. 川や湖では泳がない(入らない)ようにしましょう。
  4. 予防接種や健康診断は、可能な限り日本で受けてから渡航しましょう。
  5. 飲み慣れた薬を多めに持参するよう心がけてください。
  6. 非常に乾燥しているので、水分を多めに取り、肌の保湿を心がけましょう。
  7. 紫外線や防蚊対策として外出時はなるべく帽子、サングラス、長袖、長ズボンを着用してください。
  8. 夜間の外出は、マラリア感染や治安上の点からなるべく控えましょう。
  9. スポーツ等を通じて人々と交流を図り、肉体的・精神的健康を維持しましょう。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

(1)入国時に必要な予防接種

 ザンビア入国の際に義務づけられている予防接種はありません。近隣の黄熱流行国に行く予定のある方は、黄熱ワクチンを接種して来られるとよいでしょう(ザンビアでも接種可能ですが、流通状態は不安定です)。

ア 成人

 衛生面の観点から破傷風ワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、腸チフスワクチンを接種することをお勧めします。麻疹、風疹の流行が散発的に見られるため、接種歴のない方、抗体価の低い方は接種をお勧めします。なお、2022年に近隣国マラウイやモザンビークで野生型ポリオの発生が確認されたため、ポリオワクチンの追加接種に関しても日本の渡航外来などで相談することをお勧めします。

 余裕があれば、髄膜炎菌ワクチン(4価)、狂犬病ワクチン、コレラワクチンの接種も検討するとよいでしょう。コレラに関しては前述のとおり2023/2024年の雨季にルサカ市内中心部でもコレラが大流行しています。特に貧困街の生活環境に近い場所で活動が予定される方は、コレラワクチンの接種を検討してください。

イ 小児

 小児の場合、不慣れな地での不必要な感染を防ぐ意味とワクチンの流通状況が不安定であることから、日本での満1歳までの定期予防接種は完了させてから渡航することを強くお勧めします。その他、推奨する予防接種はA型肝炎ワクチン、おたふくかぜワクチン、腸チフスワクチンです。上述の様に近隣国での野生型ポリオ発生の受け、小学生入学の年齢に相当する子女を帯同する場合は、ポリオワクチンの追加接種もお勧めします。また余裕があれば、髄膜炎菌ワクチン(4価)、狂犬病ワクチンの接種もお勧めします。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

ワクチン名 初回 2回目 3回目 4回目
BCG 出生時 (12週)    
ポリオ 出生時から13日 6週 10週 14週
5種混合(DPT+B型肝炎+Hib) 6週 10週 14週  
麻疹 9か月 18か月    
ロタウイルス 6週 10週    
肺炎球菌 6週 10週 14週  

(注)5歳以下は、予防接種、乳幼児健診(体重のみの測定で、通常医師の診察はありません)、ビタミンAと駆虫薬が無料で提供されます。

  • ビタミンA:生後6か月から10から20万単位を6か月毎に5歳まで。
    (母乳なしの際は、0から5か月の時に5万単位)
  • 駆虫薬:生後1年からメベンダゾール500ミリグラムを6か月毎に5歳まで。

(3)現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 現地校に入学する際には接種証明(英語訳)の提出が必要です。

 インターナショナルスクールの場合は各校で異なりますので、事前に問い合わせることをお勧めします。
 参考:諸外国、地域の学校情報(外務省ホームページ)

8 病気になった場合(医療機関等)

緊急移送サービス会社

 公的な救急車には期待できないことから、緊急時や病気発生時には、病院に直接電話して病院保有の救急車を依頼するか、以下の有料救急車サービスの利用をお勧めします。

(1)SES
概要:ルサカ、キトウェ、リビングストンの3か所に拠点を持つ緊急移送会社で、高規格救急車が配備されており救急救命士が24時間体制で待機しています。ザンビア国内の陸送、空送及び南アフリカへの移送サービスなどを提供しています。
ヘルプ・ライン:737(上記3拠点全てにつながります。)
ホームページ:SES(英語)別ウィンドウで開く
ルサカ本部
所在地:Corner of Kafue Road and Mahogany Drive, Lilayi 10101, Lusaka
電話:0962-740300、0969-327426
キトウェクリニック
所在地:Plot 698, Nationalist Way, Parklands, Kitwe
電話:0967-770304
リビングストンクリニック
所在地:Mosi-Oa-Tunya Road, Town area 1, Livingstone, Zambia
電話:0977-740306

一般病院

 当地で医療機関を受診する場合、以下の医療機関では邦人の利用実績があります。基本的に病院スタッフは英語が話せます。時間内の診察料は、総合診療科(家庭医)で300から500クワチャ、専門医は500から800クワチャくらいが一般的です。専門医を受診するには通常予約が必要です。記載内容は、逐次変更される可能性がありますので、受診前に直接医療機関にお問い合わせ下さい。

(1)Medland Hospital
所在地:Plot 9 Mukonteka Road, Rhodes Park, Lusaka
電話:3111、0761-101600
Eメール:info@medlandhospital.com
概要:2019年8月開業の総合病院。ベッド数約70床、手術室、ICU、NICU、心臓カテーテル検査室、透析室、臨床検査室がある。心臓カテーテル検査・治療ができる私立病院の一つ。外国人専門医が多数在籍し、内科、循環器内科、外科、小児科、産婦人科、整形外科、心臓血管外科、眼科、泌尿器科、耳鼻科などを有する。内部も清潔で各国の大使館職員なども利用しており、邦人の緊急移送実績もある。検査機器としてはX線、マンモグラフィ、CT、MRI、超音波、内視鏡などがある。
診察時間:平日8時から17時(救急は毎日24時間対応)
(2)Coptic Hospital
所在地:Plot 11304 Manchinchi Road, Northmead, Lusaka
電話:0211-290508、0970-344444
Eメール:inforzm@coptichospitals.org
概要:エジプトのコプト教会系の病院で、エジプト人医師が多く在籍。ベッド数約120床、手術室、ICU、NICU、透析室、臨床検査室がある。診療科としては内科、外科、産婦人科、小児科、整形外科、循環器内科、脳外科、眼科、耳鼻科、皮膚科などを有する。検査機器としてレントゲン、超音波、マンモグラフィ、CTなどがある。私立総合病院としては診療費が比較的安価ではあるが、その分、ザンビア人の利用頻度も高い。
診察時間:平日8時から17時、土曜日は診療科により異なる(救急は毎日24時間対応)
(3)Fairview Hospital
所在地:Stand 30079, Corner of Church & Chilubi Road, Fairview, Lusaka
電話:0211-373000、0211-373009、0950-203159
Eメール:opd@fairview.co.zm
概要:2011年2月開院の総合病院。ベッド数約60床、手術室、ICU、透析室、臨床検査室あり。内科、外科、小児科、産婦人科、脳外科、循環器科、消化器科、耳鼻科などを有する。検査機器としてはMRI、CT、超音波、内視鏡、などがある。
診察時間:平日8時から17時、土曜日8時から12時30分(救急は毎日24時間対応)
(4)Care For Business Medical Centre
所在地:4192, Addis Ababa Drive, Lusaka
電話:0971-252488
Eメール:membership@cfbmedic.com.zm
概要:ルサカでは歴史のある私立総合病院。ベッド数約20床、手術室、透析室あり。診療科としては内科、外科、産婦人科、循環器科などがある。基本的には会員制だが、会員でなくても診療を受け付けている。
診察時間:平日8時から17時(救急は毎日24時間対応)
(5)Victoria Hospital
所在地:5498 Lunsemfwa Road, Kalundu, Lusaka
電話:0211-290985、0955-255798
Eメール:victoriahospital.rcpt@gmail.com
概要:インド系総合病院でインド人医師が多く在籍。ベッド数約50床、手術室、ICU、NICU、臨床検査室などがある。内科、外科、産婦人科、小児科、脳外科、皮膚科など主な診療科が揃っている。検査機器はCT、超音波、超音波、内視鏡などがある。
診察時間:平日8時から17時(救急には毎日24時間対応)
(6)Forest Park Specialized Hospital
所在地:8238 Nangwenya Road, Longacres, Lusaka
電話:0965-273649
Eメール:info@forestparkhospital.co.zm
概要:2019年に規模を拡張した総合病院。ベッド数約20床、手術室、ICU、臨床検査室がある。エジプト人医師が多く在籍し、内科、外科、産婦人科、小児科、脳外科、消化器科、循環器内科、泌尿器科などがある。2021年に心臓カテーテル検査・治療を開始しているが循環器内科医は1人体制。検査機器はCT、超音波、内視鏡などがある。
診察時間:平日8時から17時(救急は毎日24時間対応)

小児科

(1)Pendleton Family Practice
所在地:7 Chituli Road, Northmead, P.O.Box38049, Lusaka
電話:0211-252352、0965-390003(WhatsApp使用可能)、0979-390003
Eメール:info@pendleton.clinic.com
概要:3人のザンビア人小児科専門医が運営する小児科専門クリニック。予防接種、栄養指導、言語療法なども行っている。アデノウイルス、ロタウイルスなどの迅速診断も行っている。予約診察が基本であり、当日受診の際には事前に連絡をする必要がある。
診察時間:平日8時から16時、土曜日8時から12時30分

整形外科

(1)St. John PaulII Orthopedic Mission Hospital(旧Italian Hospital)
所在地:22 Dunduza Chisidza Crescent, Longacres, Lusaka
電話:0975-206986
概要:ベッド数約35床の整形外科専門病院で、理学療法のレベルが高い。手術室(日本の草の根無償資金協力によりアップグレードされた)、リハビリ室、装具室がある。簡単な臨床検査は院内でできる。検査機器として超音波、MRIがある。
診察時間:平日・土曜日7時から16時(救急は毎日24時間対応)

眼科

(1)Dr. Agarwal's Eye Hospital
所在地:Stand 599, Protea Road, Lusaka
電話:0953-489823
概要:2014年4月開設。10か国に61の病院を持つインド系眼科医療グループ傘下のクリニック。インド人の医師1名常勤で、非常勤の医師も数名在籍。入院施設もあり、各種の眼科検査・眼科手術を行っている。眼鏡販売可。通常受診は待ち時間が長いが、別途予約代を支払うことで予約どおりの診察が可能となる。
診察時間:平日8時から17時、土曜日8時から13時

歯科

(1)PearliWhyte Dental Solutions
所在地:3 Millenium Village, Birdcage Walk, Longacres, Lusaka
電話:0211-220828、0977-606364
Eメール:admin@pearliwhyte.com
概要:南アフリカの歯科大学を卒業したザンビア人歯科医が開設し、インド人歯科医と共に3人で診療している。デジタルレントゲンなど近代的な機器を備え、清潔で各国大使館関係者も利用している。予約診察が基本であり、受診の際には事前に連絡をする必要がある。
診察時間:平日8時から15時

10 一口メモ

 当地では英語が通じます。「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照ください。

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