世界の医療事情
ニジェール共和国
1 国名・都市名(国際電話番号)
ニジェール共和国(国際電話番号227)
2 公館の住所・電話番号
- 在ニジェール日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
(注)在コートジボワール日本国大使館が管轄しています。 - 住所:Ambassade du Japon en Côte d'Ivoire, Immeuble La Prévoyance, Batiment B, 2ème étage, Avenue Noguès, Plateau, 01 BP 1329 Abidjan 01
- 電話:27-20-21-28-63
- FAX:27-20-21-30-51
- ホームページ:在ニジェール日本国大使館
(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。
3 医務官駐在公館ではありません
在コートジボワール日本国大使館医務官が担当
4 衛生・医療事情一般
内陸国で、海から650km隔たれています。国の西端をニジェール川が流れ、北部は砂漠、南部はサバンナ気候です。ニアメで測定された気象データでは、3から6月が最も暑く、日中温度は43℃に達します。雨季は7から8月で、8月の雨量は約180mmです。医療施設は国立と私立の2種類があります。在留外国人は私立の病院を利用しています。薬局では医師の処方箋なしで、抗菌剤、ワクチン等を購入できます。薬品は全て輸入品で大半がフランス製、その他は中国製、インド製、ナイジェリア製です。
西アフリカの他の諸国と同様、劣悪な衛生環境であり、医療事情は概して良くはありません。2015年には首都ニアメで髄膜炎菌性髄膜炎が流行し多くの市民が亡くなりました。熱帯熱マラリアは国内どこにいても罹りえる病気です。日本のような医療は期待できないので、当地で対処できない病気や外傷の場合には、パリ等ヘの緊急移送が必要になることがあります。それらの費用を考慮すると、海外旅行傷害保険では治療や救援費用は一番高いものに加入しておくことが推奨されます。
5 かかり易い病気・怪我
(1)旅行者下痢症
サルモネラ、大腸菌、コレラ、腸チフス等は、主に食べ物を介して感染し下痢、嘔吐、発熱などを引き起こします。十分加熱したものを食べ、生野菜、カットフルーツ、水道水、氷等はなるべく避けてください。また、疲労、いつもと違う食事、慣れない気候などによって、感染しやすくなることもあります。
(2)マラリア
当国で罹るマラリアはほとんどが熱帯熱マラリアです。放置すると死亡することもある病気です。蚊に刺されないように注意してください。都市部においても感染することがあります。滞在中はもちろん、先進国に戻っても1か月以内に高熱が出たら、マラリアを疑いましょう。マラリアと診断され治療を受けても、1か月以内に熱が出たときはマラリアの再燃ということもあり得ます。
(3)マラリア以外の寄生虫疾患
地方で生活する場合、アメーバ赤痢、ギニア虫症等にも注意が必要です。経口感染する病気が多いので、生野菜、カットフルーツ、水道水、氷、加熱不十分な肉類等は避けてください。
(4)結核
貧困層を中心に結核患者が多数います。2週間以上続く咳、体重減少、倦怠感、寝汗等の症状が出た場合には、医療機関を受診してください。
(5)髄膜炎菌性髄膜炎
サハラ砂漠の南部は髄膜炎ベルト地帯と呼ばれ、主にハルマッタンの季節に髄膜炎が流行します。罹れば2日で死亡することもある病気です。ワクチンがありますので、西アフリカに渡航される際は、接種をお勧めします。4価(ACYW-135)ワクチンの接種をお勧めします。
(6)A型肝炎、B型肝炎
A型肝炎は食べ物から、B型肝炎は血液、体液から感染します。渡航の際は、A型、B型肝炎のワクチンを受けるようにしてください。
(7)ジフテリア
喉や鼻などにジフテリア菌が感染し、毒素を産生することで生じる病気です。喉の痛みや発熱、重症化すると呼吸困難を来し死亡することもあります。ワクチンによる予防効果が大きい感染症です。DPT3種混合ワクチンやTD(破傷風、ジフテリア)のブースター接種をお勧めします。
(8)麻疹(はしか)
麻疹は、麻疹ウイルスが空気感染、飛沫感染などの感染経路で拡がる極めて強い感染力を持つ病気です。感染から10日ほどの潜伏期の後、発熱・咳・鼻水の風邪症状で発症し、数日後に発疹を伴った高熱が出現します。子供のみならず成人でも発症し、時に肺炎等を併発して重症化することがあります。予防接種が有効です。接種歴を確認して、2回接種が完結していない方は必ず予防接種をして入国することをお勧めします。
6 健康上心掛けること
- 防蚊対策:夕方から夜中にかけ、野外で運動、散歩、食事をする時は、蚊に刺されないように、長ズボン、靴下、長袖シャツを着用すると共に、露出部分には蚊の忌避剤を使用してください。忌避剤はDEETが12%以上(できれば30%)のものを用いてください。
- 飲料水には市販のミネラルウォーター又は煮沸消毒した水道水を使用してください。外食時には、衛生的なレストランを選んでください。
- 日中運動すると大量に発汗します。水分補給はもちろんのこと、塩分補給も心掛けましょう。
- エアコンの効いたホテルに滞在する場合、蚊の活動性は低くなりますが、夜間は冷えすぎて体調を崩す原因になります。またエアコンを設置していないホテルでは、蚊帳がない所や、また蚊帳の中では、夜間暑くて眠れない所もあります。事前に滞在するホテルについての情報を入手して、快適な睡眠を確保してください。
7 予防接種(ワクチン接種機関含む)
(1)赴任者に必要な予防接種
成人
入国時に必要なワクチン
- 黄熱:生後9か月以上のすべての渡航者に接種が求められています。未接種の場合や黄熱予防接種証明書(通称イエローカード)を所持していないと、空港や国境の入国管理強制的に接種されます。予防接種後10日から有効となりますので、事前に接種してきてください。
推奨ワクチン
A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、腸チフス、DPTブースター(ジフテリア、百日咳、破傷風の追加接種)
小児
成人と同じ
(2)現地の小児定期予防接種
初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | |
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BCG | 出生時 | |||
ポリオ | 出生時 | 6週 | 10週 | 14週 |
DPT | 6週 | 10週 | 14週 | |
MMR | 実施されていない | |||
麻疹(はしか) | 9か月 | 16から23か月 | ||
ムンプス(おたふく風邪) | 実施されていない | |||
B型肝炎 | 6週 | 10週 | 14週 | |
インフルエンザ菌b型(Hib) | 実施されていない | |||
ロタウイルス | 6週 | 10週 | ||
髄膜炎菌 | 6週 | 10週 | 14週 | |
肺炎球菌 | 6週 | 10週 | 14週 | |
黄熱 | 9か月 |
(3)小児が現地の公立校に入学、入園する際には必要な予防接種、接種証明
証明書は必要ありません。
8 病気になった場合(医療機関等)
日本語が通じる医療機関はありません。英語を話す医師は希にはいますが、多くはフランス語しか通用しません。救急車の利用は期待できません。
(首都)ニアメ
私立病院では、診療費の前払いやデポジットを求められることがあります。参考例:一般外来10,000FCFA、専門外来15,000FCFA、休日や時間外20,000FCFA、入院100,000FCFA、超音波検査50,000FCFA、内視鏡検査160,000FCFA、CT検査70,000FCFAなど。
- (1)Polyclinique Magori
- 所在地:Avenue de la Liberté, rond point sixième, BP10394, Niamey
- 電話:20-74-12-91、94-14-31-16、94-22-49-92、89-39-57-20
- 概要:ニジェールにおいて最も医療設備および人材の整った私設病院です。入院が避けられない場合に案内する病院ですが、病状が深刻な場合は早急に先進国への転送を考慮してください。診療時間は、毎日6時から7時30分、12時30分から14時30分、18時から21時で、24時間救急診療も受け付けています。
- E-mail:contact@clinique-magori.com
- (2)Clinique Gamkalley
- 所在地:Corniche Gamkalley, BP 324 Niamey
- 電話:94-25-95-82、80-07-56-04
- 概要:私立病院。一般的な検査機材は設備されています。24時間救急診療に対応しており、救急搬送や緊急移送も可能です。
- ホームページ:Clinique Gamkalley(フランス語)
)
- (3)Clinique Jean KABA
- 所在地:Rue du Président Henrich-Lubké, BP232, Niamey
- 電話:20-73-21-08、20-73-26-52
- FAX:20-73-62-80
- 概要:老舗の病院で、小規模ですが身近な病院として利用可能です。専門医の診察は予約が必要です。資機材は老朽化していますので、検査の必要な疾病の場合はお勧めできません。診療時間は、毎日8時から12時30分、15時30分から18時30分で、24時間救急診療も受け付けています。
- ホームページ:Clinique Jean KABA
- E-mail:clijkaba@yahoo.fr
10 一口メモ
ニアメでは教育を受けた人がフランス語を話しますが、ハウサ語等の部族語しか話せない人も多いです。フランス語に関しては、「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時のフランス語)を参照願います。