世界の医療事情

令和4年10月1日

1. 国名(国際電話国番号)

 マラウイ共和国(国際電話国番号265)

2. 公館の住所・電話番号

Plot No.14/191 (Petroda Glass House),P.O.Box 30780,Lilongwe 3,Malawi

(土日祝日休館)

電話: 0888-985-352

4. 衛生・医療事情一般

(1)気候

 首都リロングウェは標高約1,000mにあり、涼しい乾季(5~8月)、暑い乾季(9~11月)、雨季(12~4月)に大別されます。最も寒い6~7月の最低気温は10℃以下となり、最も暑い10月の最高気温は30℃を越えます。雨季は、激しい雨が短時間降り、その後晴天となり、気温が上昇します。乾期は雨が全く降らず、空気は乾燥しています。晴れれば1年中直射日光が強いです。内陸性気候のため、1日の寒暖差が大きいです。一方、マラウイ湖周辺の標高は約500mで、1年を通じて暑く、直射日光もかなり強く、気温が37℃を越えることがあります。

(2)衛生・医療事情

 衛生環境が良くないため、水が原因と考えられる消化器感染症が多く、毎年コレラの流行や腸チフスの発生があります。邦人は水道水を避けて市販の飲料水を飲むのが一般的です。

 医療施設には国立病院と私立病院があります。国立病院は、医薬品や医療機器の絶対的な不足もあり、日本と同等の医療は期待できません。医療従事者の不足も深刻で、人口10万人あたりの医師数は約5人しかいません(日本は人口10万人あたり約270人)。医師の不足を補うためにClinical Officer(準医師)やMedical Assistant(医療助手)などが実際の医療を支えており、外来では準医師による診察や治療を受けることが一般的です。ほとんどの病院は24時間対応となっていますが、夜間休日に医師や検査技師はいません。また、専門医は非常に少なく、受診できる日時、場所が限定されています。国立病院は、中央病院が北部のムズズ市、中央部のリロングウェ市、南部のブランタイヤ市とゾンバ市にあり、各県には県病院、さらにその下に各地域のヘルスセンターがあります。県病院以上にしか医師はおらず、邦人は私立医療機関を受診するのが一般的です。ブランタイヤ市内を除くと私立医療機関は小規模なため、重篤な場合は中央病院や県病院を受診するしかありません。

 国立の中央病院や主要な私立医療機関では、基本的な血液検査やX線撮影が概ね可能ですが、停電で検査を受けられないことや故障中のまま機器が放置されていることがよくあります。マラリアの検査も概ね可能ですが、検査結果の評価や治療法が不適切な場合があるので注意してください。中央病院には手術室や集中治療室がありますが、設備や機材が老朽化していることが多く、患者で常時混雑して、基本的な解熱鎮痛剤、抗生物質、ワクチンの在庫がないこともあります。当地の血液センターは需要の半数しか血液を供給できていません。また、輸血によりマラリア、HIV(エイズ)、HBV(B型肝炎)などに感染する危険があります。マラウイ国内では心臓カテーテル検査や脳神経外科手術はできません。外科、整形外科、麻酔科などの専門医も極端に不足しており、満足な治療を受けることはできません。全身麻酔を要するような手術や複雑な処置、輸血などが必要な場合は、可能なかぎり南アフリカ共和国に移動して治療を受けることを勧めます。内視鏡検査の機材がある医療機関もありますが、感染症の危険や診断精度などの理由から検査は避けるべきです。国外への移送および医療先進国での治療には高額な費用がかかりますので、十分な補償の海外旅行保険に必ず加入してください。マラウイの国際空港に空港クリニックはありません。

 国立病院および私立ミッション系病院は無料診療と有料診療に分かれ、受付や待合が別になっています。私立医療機関は原則前払いで、入院時には保証金を要求されることもあります。クレジットカードはほぼ使えず、海外旅行保険のキャッシュレスサービスを使える施設もほとんどないので、費用は一旦自分で支払うことになり、現金がないと診察が受けられません。すべての医療機関で日本語は通じませんが、病院職員はほぼ全員が英語を話せます。国立・私立を問わず、外国人医師が診療にあたっていることがよくありますが、診療科や滞在期間はさまざまで、長期休暇で不在のこともあります。医師の診療時間は変更されることがあるので、事前に確認をとることを勧めます。ただし、電話番号は頻繁に変わり、固定電話はつながらないことが多いので、実際には訪問して確認や予約をすることになります。

5. かかり易い病気・怪我

(1)マラリア

 マラウイ国内で毎年600万人以上の患者が発生すると推定されていますが、邦人でも時折患者が出ています。雨季の1月から3月に特に多く発生しますが、都市部でも一年中患者が発生しています。治療が遅れると重症化して死亡する熱帯熱マラリアも蔓延しており、マラウイ全土で一年を通して発生しています。マラリア原虫を保有したハマダラカに吸血されると潜伏期間(約7~28日、一般的には10日程)を経て、悪寒、発熱、頭痛、悪心嘔吐、下痢、関節痛などの症状が現れます。早期診断、早期治療が重要です。特に、小児や妊婦では進行が早いため注意が必要です。予防のためのワクチンはないので、蚊帳の中で寝る、蚊取り線香などの殺虫剤を使う、身体に虫除け剤を塗布するなど、蚊に刺されないようにすることが対策の第一歩になります。ハマダラカは夜行性なので、夜間外出時や室内での防蚊対策を特に入念に行ってください。居住環境で蚊が避けられない場合は、マラリア薬の予防内服を勧めます。当地の薬局でも購入できますが、在庫がないこともあるので事前に日本で準備してください。過去の事例では重症化率が高いので、マラウイを含むマラリア蔓延地域に7日以上滞在する場合は、防蚊対策に加えて、必ず予防内服を検討してください。

 ほとんどの病院で診断や治療が可能ですが、診断精度は低いため、薬局で購入できる迅速診断キットの併用を勧めます。迅速診断キットの場合、感染していても必ず陽性になるとは限らないので、24時間以内に繰り返し検査することが必要です。いずれにしても、マラリアが疑われる場合はできるだけ早く医療機関を受診してください。治療経過の観察には、顕微鏡による原虫数の確認が必要です。

 治療薬としてはアーテメーター+ルメファントリン合剤(商品名Coartem、もしくは後発品のLonart)が勧められていますが、当地薬局では在庫切れのこともあります。確定診断がなされないままマラリア治療薬が処方されることがありますが、治療が遅れると重症化して死亡するため、安易な自己判断で服用を中止することは避けてください。重症化した場合は医療先進国への緊急移送を勧めます。

(2)狂犬病

 狂犬病ウィルスに感染した犬や猫などの哺乳動物に咬まれることで感染します。発症すればほぼ100%死亡します。発症を予防するために咬まれた後すぐ予防接種が必要です。咬まれる前に予防接種を受けていた人も咬まれた後に追加の予防接種を受ける必要があります。当地では、犬や猫以外の野生動物も感染している可能があるので、むやみに動物に手を出さないほうが安全です。都市部、地方とも野犬が多く、夕方以降は多数の犬が路上を徘徊しているので、徒歩で外出することは控えてください。当地の医療機関における狂犬病ワクチンの在庫状況は不安定です。また、γグロブリン製剤はほぼ手に入らないので、動物に接する機会がある場合は、あらかじめ狂犬病の予防接種を受けておくことを勧めます。

(3)交通事故

 近年、車両数が急速に増えて、交通事故が頻繁に発生し、死傷者が出ています。信号無視、車両の整備不良、積載物超過、定員外乗車、速度超過、不注意運転、道路の陥凹などが原因となっていて、ミニバスの事故も頻発しています。信号機は故障していることが多く、注意していても事故に巻き込まれるおそれがあります。自転車が無灯火で走行しているうえ、街灯も少なく視界が悪いので、夜間は特に危険です。また、郊外では自動車と動物との接触事故も起こるので注意してください。シートベルトは必ず着用し、ミニバスの利用は避けるほうが安全です。

(4)経口感染症

 コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、アメーバー赤痢、A型肝炎、寄生虫などの感染症が常に発生しています。生水、氷、生野菜など加熱されていない食品は危険です。市販の飲料水か煮沸した水を使用し、食べ物も十分加熱調理したものを選び、長時間放置されたものは避けてください。市販の飲料水にも粗悪品があるので、信頼できる場所で購入することが大切です。

(5)性感染症・血液感染症

 成人(15歳~49歳)のHIV推定感染率は8.9%(2022年)と高く、不特定な相手との性交渉は危険です。また、サハラ以南のアフリカ地域はB型肝炎の蔓延地域で、持続感染者は12-22%と報告されているので、他人の血液に不用意に触れないようにしてください。

(6)経皮感染症

 河川や湖には、ビルハルツ住血吸虫が生息しており、手足を浸すことにより、幼虫が皮膚から侵入して感染します。急性期には皮膚炎や膀胱炎などの症状がおこり、感染を繰り返すと膀胱癌の原因になります。当地の医療機関では血液検査により感染の有無を判断することができますが、検査精度は不明です。人家の付近や水草のあるところ、流れのない浅いところが特に危険といわれますが、基本的に水辺はすべて危険で、観光地のマラウイ湖も安全ではありません。シャワーなどに湖水をそのまま使用している施設もあるので、注意してください。感染した場合の治療薬は当地の薬局でも手に入ります。

 アメリカ鉤虫の感染者が野外で排便すると、便中の虫卵が土壌中で孵化して幼虫となります。その土の上を素足で歩くと、露出した皮膚から幼虫が侵入して感染し、成虫になると小腸に寄生し、鉄欠乏性貧血の原因になります。戸外で寝そべったり、素足で歩いたりしないようにしてください。

(7)アフリカトリパノゾーマ症(アフリカ睡眠病)

 寄生虫をもったツェツェバエに刺されて感染し、刺された部位に疼痛を伴う丘疹が一時的にできます。その後、発熱、頭痛、筋肉痛などの症状や頸部リンパ節の腫れが現れて、やがて中枢神経が障害され、命に関わる病気です。マラウイでは年間40人弱の東アフリカ睡眠病の患者が報告されています。診断できる施設が限られているため、患者の全体数は把握できていませんが、Rhumphi(ルンピ)、Nkhotakota(コタコタ)、Kasungu(カスング)が危険地域とされています。ツェツェバエは動いているもの、明るい色や暗い色、青色に惹かれる性質があるので、サファリのゲームドライブでは、帽子をかぶり、肌の露出が少なく、布地がしっかりした、周囲に溶け込む色の衣服を着用するようにしてください。

(8)毒蛇、サソリ、毒虫(ナイロビフライ)、アフリカダニ熱

 地方だけでなく、都市部の住宅地においても毒蛇やサソリが出現します。当地の医療機関は抗毒素血清をほとんど常備していないので、咬まれないようにしてください。

 ナイロビフライは体液に毒があり、皮膚につくと激しい皮膚炎を起こすので、潰さないようにしてください。アフリカダニ熱は、ダニに咬まれることによって細菌の一種のリケッチアが感染し、発熱・発疹などを起こします。予防のためには20%以上のDEET(昆虫忌避薬)を塗布してください。

(9)落雷

 雨季の初めには突然の雷雨が起こり、落雷による死亡がよくあるので、注意してください。雷鳴が始まれば戸外での活動を中止して、安全な場所に待避してください。落雷による死亡のほとんどは不整脈なので、直撃を受けて意識がないときは、心臓マッサージが有効です。

(10)高所潜水・高山病

 マラウイ湖は標高500m程度の高所にあるためダイビングによる減圧症を発症しやすく、特別な注意が必要です。また、マラウイ南部にあるムランジェ山は標高3002メートル、北部のニイカ高原にあるンガンダ山は標高2605メートルなので、登山の際には高山病に対する注意が必要です。マラウイには高圧酸素療法などの治療設備はありません。

6. 健康上心がける事

(1)予防接種は日本ですべて受けてきましょう。

(2)慣れた薬や体温計を持参し、不用意な医療機関受診を避けましょう。

(3)生水や加熱していない食べ物は避けましょう

(4)乾燥しているので、水分を頻回に取りましょう。

(5)外出時は、帽子、長袖、長ズボンを着用し、紫外線や防虫対策をしましょう。

(6)川や湖には不用意に入らないようにしましょう。

(7)健康維持のために、十分な休息と睡眠を取りましょう。

7. 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関などについてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

 マラウイ国内で受けられる予防接種は限られているうえ、冷蔵品の信頼性には疑問があるため、必要な予防接種は赴任前に受けてください。接種できるワクチンも在庫が不安定なため、必ず接種直前に在庫を医療機関に確認してから受診してください。

成人

 A型肝炎、B型肝炎、破傷風の予防接種を勧めます。また、狂犬病、腸チフスも受けておくと安心です。黄熱や髄膜炎菌性髄膜炎の流行地ではありませんが、近隣アフリカの流行地に出向く可能性のある人は赴任前に接種を勧めます。ダニ脳炎、日本脳炎の予防接種は必要ありません。

小児

 日本国内の小児定期予防接種スケジュールに従って接種を受けておくことを勧めます。日本でも定期接種が開始されたB型肝炎の予防接種も忘れずに受けてください。幼児は自己規律が難しいので狂犬病の予防接種を勧めます。成人同様にA型肝炎、腸チフスなども接種しておくと安心です。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

  初回 2回目 3回目 4回目
BCG 出生時      
ポリオ(OPV) 出生時 6週 10週 14週
DTP 6週 10週 14週  
MR(麻疹、風疹) 9ヶ月 15ヶ月    
ムンプス(おたふく風邪) 実施されていない      
B型肝炎 6週 10週 14週  
インフルエンザ菌b型 6週 10週 14週  
肺炎球菌(PCV) 6週 10週 14週  
ロタウイルス 6週 10週    

(注)

  • ポリオは日本とは違い経口生ワクチンです。
  • DTP、B型肝炎、インフルエンザ菌b型のワクチンは、2002年から5価のワクチンとして接種されています。
  • 肺炎球菌ワクチンは2011年に、ロタウイルスワクチンは2012年に開始されています。
  • 2017年から麻疹ワクチンに替えてMRワクチンが導入されています。
  • ビタミンAが生後6か月から5歳未満まで6か月ごとに、1歳未満児には10万単位、それ以上には20万単位が投与されています。
  • 駆虫剤が1歳から5歳未満まで6か月ごとに投与されています。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明書

 予防接種証明を提出する必要はありません。学校の課外行事の参加に狂犬病の予防接種が必要になった例はあります。

8. 病気になった場合(医療機関など)

Lilongwe リロングウェ

(1)Kamuzu Central Hospital(カムズ セントラル ホスピタル)
所在地:Area 33,next to Kamuzu College of Nursing
電話:01-754-725
診療時間:24時間対応
概要:市内にある国立中央病院で、病床数は830床とマラウイ国内2番目の規模ですが、入院患者は1500人といわれ、1つのベッドを複数の患者で使用したり、廊下にもベッドを設けることが常態化しています。医師はマラウイ人と外国人の混成です。広い敷地内に施設が分散しているので、初めて受診する人には部署がわかりにくくなっています。診療はほぼ無料であるため常時患者があふれており、有料部門(OPD2)があるものの邦人の利用には適しません。しかし、首都で唯一人工呼吸管理ができる施設なので、重症の場合は受診するしかありません。2016年に集中治療室8床、重症者病床10床、内視鏡検査室を新築しており、血液透析設備も6床稼働しています。検査は、単純X線撮影、CT、超音波検査、血液検査(一般、生化学)、尿検査(一般)などがありますが、MRIはありません。画像検査、血液検査は、機器の故障や試薬の不足により使用できないことがよくあります。故障していたCTの修理が終わり2020年途中から使用できるになりました。
(2)Daeyang Luke Hospital(ダイヤン ルーク ホスピタル)
所在地:Area 25,on the right of the M1 road to the airport,behind Malawi Institute of Management
電話:0997-434-873、 0997-434-874
診療時間:24時間対応
概要:リロングウェ市内からカムズ国際空港に向かうM1道路の脇道沿いにある私立病院で、病床数は150床です。韓国の教会と企業の支援で2008年に設立され、以前は数人の韓国人医師がいましたが、現在はマラウイ人医師のみとなっています。医師は外科医の院長と一般医8名、産婦人科医1名、眼科医1名で、他に準医師が8名おり、外来診療は、診療費がほぼ無料の準医師外来と、医師が担当する有料外来とに区別されています。また、非常勤医による泌尿器科の予約外来があります。手術室が2室あり、産婦人科などの手術を行っています。集中治療室が4床ありますが、人工呼吸管理は困難です。単純X線撮影、消化管造影、CT、超音波検査、心電図検査、血液検査(一般、生化学)、尿検査(一般)などが可能です。消化管内視鏡検査設備はあるものの検査できる医師がいません。
(3)Lilongwe Adventist Hospital(リロングウェ アドベンティスト ホスピタル:旧アドベンティスト ヘルス センター)
所在地:Area 14 Plot 5,off Presidential way
電話:0999-365-301
診療時間:24時間対応。歯科は金曜日午後・土曜日・日曜日休診
概要:市内にある私立病院。医師は一般医に加えて、米国人外科医、フィリピン人産婦人科医が常駐しています。2018年に手術室が完成しました。さらに2020年に集中治療室も完成し、個室入院設備もできました。フィリピン人歯科医が2名おり歯科治療が可能ですが、受診には予約が必要です。眼科医はいませんが、視機能訓練士が在勤し、眼鏡作成ができます。非常勤医による整形外科外来が毎週あり、また、循環器、小児科の専門外来が毎月1回あります。検査は単純X線撮影、消化管内視鏡検査、超音波検査、心電図検査、血液検査(一般、生化学)、尿検査(一般)などが可能です。
(4)ABC (African Bible College) Community Clinic(エービーシー コミュニティ クリニック)
所在地:Area 47,in African Bible College
電話:0888-211-085
診療時間:8時30分–11時30分 / 14時–15時30分(月~金)、8時–11時30分(土)、日曜日休診
概要:市内にある私立病院。有料部門と無料部門があります。入院患者は妊婦と小児が中心ですが、成人用のエアコン付個室があります。分娩設備、手術室、聴覚外来があり、小児科医1名、聴覚医1名と一般診療の準医師4名が常駐しています。非常勤医による産婦人科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科の予約外来があります。外国人がよく利用しています。歯科設備もありますが、邦人の利用は勧めません。検査は単純X線撮影、心電図検査、血液検査(一般、生化学)、尿検査(一般)などが可能です。
この施設内に間借りしている検査専門の私立施設CMAD(Center for Medical Diagnostics)があります。CT、マンモグラフィー、X線装置、超音波装置など画像検査が充実しています。
(5)ZMK Medical Centre(ゼットエムケイ メディカルセンター)
所在地:Area 9 Plot 363,behind Pacific Palms,Next to Madidi Lodge
電話:01-753-786、0999-455-786
診療時間:24時間対応
概要:市内にある私立診療所。内科だけでなく簡単な外科的処置にも対応します。富裕層を対象としており、内部もきれいです。院長は一般医のインド人医師で、住居が隣接しており、24時間対応が可能。入院設備は2人部屋が1つとエアコン付きの個室が2つあります。海外旅行傷害保険に加入していると、キャッシュレスサービスを受け付けてくれることがあります。検査は、心電図検査、血液検査(一般、生化学)などが可能です。心筋トロポニン迅速測定キット、t-PA治療薬、アーテスネートの注射薬の在庫を持っていることがあります。酸素や患者監視装置を備えた救急車を1台所有しており、医師同乗の救急車を現場に派遣することも可能です。医療費は高額ですが、国外緊急移送の経験が豊富な医療機関です。
(6)Partners in Hope(パートナーズ イン ホープ)
所在地:Area 36,opposite St. John's Secondary School
電話:0999-961-961、0999-971-731
診療時間:24時間対応
概要:市内を南に抜けるM1道路沿いにあるNGOの私立病院で、HIV患者の無料診療を行っています。欧米人医師3人とマラウイ人医師4人が診療しており、個室を含む入院設備が15床あります。外国人が良く利用しており、原則予約制ですが、夜間休日も診療しています。検査は、単純X線撮影、超音波検査、心電図検査、血液検査(一般、生化学)などができます。国際緊急医療搬送サービスを手がけているInternational SOS から認定を受けている病院です。
(7)Family Dental Clinic(ファミリー デンタル クリニック)
所在地:Area 14,off Presidential way
電話:0999-220-440、0888-220-440
診療時間:9時-16時(12時-13時は昼休み)(月~金)、9時-12時(土)
概要:市内にある私立歯科医院。イラン人歯科医とマラウイ人歯科医の2名に加えて歯科衛生士もおり、X線撮影装置もありますが、歯科技工は南アフリカ共和国に外注しています。外国人患者がよく受診しており、診察には予約が必要ですが、緊急時には電話で相談すると予約診療の合間に診察が受けることができます。
(8)MASM ambulance(マズム救急搬送サービス)
所在地:Area 14,behind Lingadzi inn
電話:0888-189-072、0888-189-070
民間の保険会社MASMの運営する救急搬送サービスです。寝台や酸素を備えた救急車を2台保有し、リロングウェ市内の救急搬送や緊急移送時の空港への搬送に24時間対応しています。搬送先は利用者の要望も汲んで探してくれます。同じ敷地内にMASMの運営するクリニックもありますが、こちらは8時-17時の診療のみで入院対応もしていません。

Blantyre ブランタイヤ

(1)Queen Elizabeth Central Hospital(クィーン エリザベス セントラル ホスピタル)
所在地:along Chippembere Highway
電話:01-877-333
診療時間:24時間対応
概要:市内にある国立中央病院で、マラウイ最大の病院です。病床数は1400床で、医師数は一般医のほかに専門医が約20名おり、研修医も多いため、夜間の当直も準医師ではなく医師が行っています。診療はほぼ無料ですが、一般外来、眼科、耳鼻咽喉科、歯科などの一部に有料部門があります。集中治療室、内視鏡検査室があり、血液透析設備5床も稼働しています。2017年6月にはマドンナの慈善団体の支援にて新築された小児外科病棟が開業しています。しかし、それ以外の設備の多くは老朽化しており、邦人には市内私立病院の受診を勧めます。検査は単純X線撮影、CT、MRI、超音波検査、心電図検査、血液検査(一般、生化学)、尿検査(一般)などが可能です。マラウイ国内でMRIを設置している唯一の病院です。
(2)Blantyre Adventist Hospital(ブランタイヤ アドベンティスト ホスピタル)
所在地:Robins road
電話:01-820-488
診療時間:24時間対応
概要:キリスト教系団体と関連した中規模私立病院で、病床数は41床です。7-8名の一般医のほか、外科、小児科、産婦人科などの専門医、歯科医の診療があり、専門医の診察には予約が必要です。集中治療室が5床あり、感染症に対応できる隔離室もあります。検査は単純X線撮影、CT、超音波検査、心電図検査、血液(一般、生化学)、尿検査(一般)などが可能です。救急外来は24時間対応で一般医が診察し、必要に応じて各専門医を呼び出します。救急車を所持しており呼寄せることもできます。
(3)Mwaiwathu Private Hospital(ムワイワツ プライベート ホスピタル)
所在地:Chileka road,close to Wenela Bus Depot
電話:01-822-999、 01-834-989
診療時間:24時間対応
概要:1998年開院の64床の中規模私立病院で、施設もきれいで、外国人や富裕層がよく利用しています。常勤の一般医4名、外科医1名、小児科医1名のほか、非常勤の整形外科、外科、耳鼻咽喉科、小児科、産婦人科、精神科、神経外科の専門医の診療が可能ですが、専門医受診には予約が必要です。検査は単純X線撮影、CT、超音波検査、心電図検査、血液検査(一般、生化学)、尿検査(一般)などが可能です。血液透析施設5床、集中治療室5床があります。救急は24時間対応で、救急外来棟において一般医が診察し、必要に応じて各専門医を呼び出す体制です。施設内にMASMの事務所があり、寝台と酸素を備えた救急車が常駐しており、救急搬送サービス(TEL 01-831-744/788、 0888-189-074/075)を利用できます。
(4)Beit Cure International Hospital(ベイトキュア インターナショナル ホスピタル)
所在地:near Queen Elizabeth Central Hospital
電話:01-871-900
診療時間:7時30分-16時30分(月~金)、土曜日・日曜日休診
概要:米国のキリスト教系団体が母体の私立整形外科専門病院。小児は無料、成人は有料で診療を行っています。医師は、整形外科専門医5名(うち4名が欧米人医師)、総合診療医3名の構成です。整形外科の治療はほぼすべて施行可能なものの、CTも集中治療室もないため、救急には対応しておらず、全身状態の悪い患者も受け入れていません。
(5)Shalom Dental Services(シャローム デンタル クリニック)
所在地:Pagat Mall,opp. Standard Bank,Victoria Avenue
電話:01-832-256
診療時間:8時-17時(月~金)、8時-12時(土)
概要:市内にある私立歯科医院。マラウイ人歯科医が2名いて、それぞれの診察室にX線撮影装置を備えています。院内に歯科技工室があり、米国の歯科材料を輸入して、専属の技師がクラウンなどの作成を行っています。基本は予約診療ですが、歯科的な救急にも対応しています。

Mzuzu ムズズ

(1)Mzuzu Central Hospital(ムズズ セントラル ホスピタル)
所在地:off Lubinga Road (M1)
電話:0992-798-168
診療時間:24時間対応
概要:市の北部に2000年開院の国立中央病院で病床数は375床。国立中央病院としては最も規模が小さいものの、院内は明るく清潔感があり、集中治療室も4床あります。マラウイ人の一般医9名と専門医8名、それに中国人医師団6名と多数の準医師がいます。検査は単純X線撮影、超音波検査、消化管内視鏡検査、血液検査(一般、生化学)、尿検査(一般)などが可能で、PCR検査や細菌培養、耐性結核菌の検査もできます。診療科は内科、外科、産婦人科、小児科、整形外科、眼科、歯科などです。
(2)MASM Medi Clinic Katoto(マズム メディクリニック カトト)
所在地:off Kamuzu Avenue (M1)
電話:01-303-140
診療時間:24時間対応
概要:市の中心より南西に離れたところにある28床の私立診療所で、民間医療保険会社MASMが運営しています。医師2人と準医師2人がおり、夜間は準医師が対応します。一般診療が主ですが、木曜、金曜の午後は産婦人科医による診療があります。X線撮影装置を備えた歯科診療設備があります。検査は単純X線撮影、超音波検査、血液検査(一般、生化学)、尿検査(一般)などが可能です。入院患者に食事は提供されないため、入院する際にはレストランからのデリバリーなどで食事を調達しなくてはなりません。敷地内に寝台や酸素を備えた救急車が2台常駐し、救急搬送サービス(TEL 0888-189-068、0888-189-069)を提供しています。

Zomba ゾンバ

(1)Zomba Central Hospital(ゾンバ セントラル ホスピタル)
所在地:along M3
電話:01-525-334、0999-962-683
診療時間:24時間対応
概要:市の南西部にある国立中央病院で、病床数は560床です。リロングウェ、ブランタイヤの中央病院と比較すると規模が小さく、医師は10名と少ないですが、準医師が42名と多数の看護助手がいます。そのため、診療は最初に準医師が行い、必要に応じて医師を呼ぶ体制となっています。集中治療室が6床ありますが、ブランタイヤまでは車で1時間程度の距離であるため、重症者は同市の病院に搬送しています。診療科は内科、外科、産婦人科、小児科、整形外科、眼科、歯科などです。検査は単純X線撮影、超音波検査、消化管内視鏡検査、血液検査(一般、生化学)、尿検査(一般)などが可能です。予算不足のため、入院患者への食事は朝、夕の1日2食のみの提供となっています。
(2)MASM Medi Clinic Zomba(マズム メディクリニック ゾンバ)
所在地:off 14th Avenue
電話:01-527-186
診療時間:24時間対応
概要:市の中心を貫く幹線道路(M3)より奥まったところにある12床の診療所で、民間医療保険会社MASMが運営しています。一般医が1人常駐していますが、夜間は準医師が対応します。X線撮影装置はありませんが、超音波検査ができ、歯科診療施設もあります。入院患者に食事は提供されないため、入院する際にはレストランからのデリバリーなどで食事を調達しなくてはなりません。

9. 一口メモ(もしもの時の医療チェワ語)

 公用語は現地語のチェワ語と旧宗主国語の英語です。ほとんどの医療機関は英語による受診が可能ですので、主要言語英語をご参照ください。参考までに、簡単な日本語-チェワ語対照表を示します。

  • 病院 - chipatala(チパタラ)
  • 医師 - dokotala(ドコタラ)
  • 飲み薬 - mankwala(マンクワラ)
  • 注射 - jekisoni(ジェキソニ)
  • 頭痛 - kupweteka Mutu (クプェテカ ムトゥ)
  • 腹痛 - kupweteka m'mimba(クプェテカ ム・ミンバ)
  • 下痢 - kutsekula m'mimba(クツェクラ ム・ミンバ)
  • 発熱 - kutentha thupi(クテンタ トゥピ)
  • 吐気 - nseru(ンセル)
  • 傷 - chilonda(チロンダ)
  • 蛇 - njoka(ンジョカ)
  • 山 - phiri(ピリ)
  • 湖 - nyanja(ニャンジャ)
  • 具合が悪い - Sindikupeza bwino(スィンディクペザ ブィノ)
  • 頭が痛いです - Ndikumva mutu (ンディクンバ ムトゥ)
  • 熱があります - Ndikumva thupi kutentha (ンディクンバ トゥピ クタンタ)
  • 病院はどこですか - Kodi chipatala chiri kuti ? (コディチパタラ チリ クティ)
  • 病院へ連れて行って欲しい - Chonde nditengereni kuchipatala(チョンデ ンディテンゲレニ ク チパタラ)

10. 新型コロナウイルス感染情報

(1)流行の概要

 2020年3月から2022年10月までで5回の大きい流行がありました。(2020年3~5月、2020年7~9月、2021年1~3月、2021年7~10月、2022年1~3月)2022年10月6日の時点で累積感染者数は88,039人で死亡者数は2,682人でした(死亡率3.05%)。2022年10月現在は1日あたりの新規感染者数は数名と少ない状況です。

(2)検査

 私立医療機関で迅速検査キットが普及しています。またPCR検査も特定の医療機関で行っています。どちらも有料です。

(3)感染者の隔離、入院

 軽症の場合自宅で過ごし、中等症以上の患者は指定された医療施設に入院します。

(4)旅行者の出入国に関して

 ワクチンを2回以上接種したことを示す証明書があれば入国可能です。ワクチン接種証明書が無い場合はマラウイ入国前72時間以内に受検したPCR検査の陰性証明書が必要です。出国時は目的国のルールに従い用意した必要書類を提示します。

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