インド
第8回日印外相間戦略対話
平成27年1月18日



17日午後4時(デリー時間)から約4時間、インドを訪問中の岸田文雄外務大臣は、スシュマ・スワラージ・インド外相(Mrs. Sushma Suwaraj, External Affairs Minister of of India)との間で第8回日印外相間戦略対話を実施したところ、概要は以下のとおり。今回の外相間戦略対話では、まず少人数会合において、北東州の開発を含む地域連結性強化やインフラ分野での協力、原子力協力などについて約35分意見交換を行い、その後、全体会合で、二国間関係、国際場裡での協力、戦略的な地域協力等について約2時間意見交換を行い、引き続き、ワーキング・ディナー形式で約1時間強、主に地域情勢に関し意見交換を行った。
また、これに先立ち同17日午前、岸田大臣は、世界問題評議会(The Indian Council of World Affairs)において、「インド太平洋時代のための特別パートナーシップ」と題する政策スピーチを行った。
(注)日印外相間戦略対話は、2007年以降、日インド交互に実施されており、前回は、2013年3月に東京で実施した。
1 二国間関係
(1) 冒頭
岸田大臣から、日本は先の大戦の反省にたち、戦後一貫して、平和国家として世界の繁栄に貢献した、その歩みは今後も揺らぐことなく、今後も貢献していく考えである旨述べた。また、インド太平洋地域が世界の繁栄の中心となる時代が到来しつつある中、日印のパートナーシップは、新たな時代をリードする特別な関係を有している、このような考えの下、再任後最初にインドを訪問した、また、この特別なパートナーシップの重要性を伝えるため、本日、世界問題評議会でスピーチを行った旨述べた。
(2) 政治・安全保障
日米印協力を含む政治対話、海上共同訓練等の安全保障協力の推進を確認した。特に、2+2対話について、次官級対話の早期の開催で合意した。また、日本の積極的平和主義について、岸田大臣から、昨年9月の日印首脳会談でモディ首相が支持してくれたことに謝意を表明の上、日本の安全保障法制の整備の現状を説明した。
(3) 軍縮・不拡散
岸田大臣から、軍縮・不拡散に関するインドの立場はよく承知しているが、日本はNPT(核兵器不拡散条約)の普遍化を追求している旨述べた上で、インドに対して核実験モラトリアムの継続等、建設的な対応を期待する旨述べた。その上で、協力できるところは協力していくことを確認した。
(4) 経済・経済協力
「日印投資促進パートナーシップ」のフォローアップとして、岸田大臣から、日本の直接投資額と進出企業数を5年で倍増する目標に関し、2014年10月時点で日系進出企業数が前年に比べ137社増加し1,209社となったこと等を紹介の上、ビジネス環境の改善が引き続き不可欠であり、双方の努力によりWin-Winの関係を構築したい旨述べた。また、岸田大臣から、ジャパン・プラス・チームについて、日本経済界の期待が高く、効果的な機能を強く期待する旨述べた。
さらに、高速鉄道について、岸田大臣から、ムンバイ・アーメダバード路線に関する共同調査の進捗を歓迎の上、インドでの新幹線導入第一号となることへの期待を述べた。
ODAについては、岸田大臣から、今回、インドのインフラ整備のための500億円の円借款の交換公文が署名されたことを歓迎した上で、日印双方に利益となる形で協力していきたい旨述べた。
(5) 科学技術協力
双方は、科学技術は戦略的協力の新たな分野として非常に重要であるとの認識を共有し、今年は日印科学技術協力協定締結30周年であることを踏まえ、具体的な協力を進めていくことで一致した。
2 国際場裡での協力・戦略的な地域協力
国際場裡での協力に関し、安保理改革についての緊密な協力を確認した。戦略的な地域協力に関し、WTO(世界貿易機関)・RCEP(東アジア地域包括的経済連携)等について意見交換を行った。また、岸田大臣から、SAARC(南アジア地域協力連合)域内の連結性を高めたい、また、SAARCとASEAN(東南アジア諸国連合)の連結性強化でも協力したい、この関連で、今月からインド北東州の道路網改善事業に関する調査を実施中である旨述べた。
3 地域情勢等
ワーキング・ディナーでは、東・東南アジアや、スリランカを含む南アジアの安全保障環境、中東、アフリカ等の地域情勢等について意見交換を行った。