インド
日印首脳会談



1 冒頭
安倍総理から,年に一度の相互訪問は日印関係飛躍の原動力,強いインドは日本のためになり,強い日本はインドのためになる,日印関係は世界で最も可能性を秘めた二国間関係であり,モディ首相と共にその潜在力を全面的に開花させ,地域や世界の平和と繁栄のため貢献していきたい旨述べた。
これに対し,モディ首相から,日本側の歓迎に感動,安倍総理の別荘にお招きいただいたことは一生忘れない,強いインドと強い日本はアジアのため,世界のために役割を果たすことができる,歴史ある二国間関係を新しい分野に広げ,交流を強化したい旨述べた。
2 安全保障
安倍総理から,閣僚級2+2の立ち上げを歓迎,日印両国で地域の連結性を高めるため,バングラデシュ等における協力案件を進めていく旨述べると共に,物品役務相互提供協定(ACSA)の正式交渉開始,海洋安全保障に関する海上自衛隊とインド海軍の協力取決め作成,全軍種間での交流強化,日印宇宙対話の立ち上げ等,着実な協力の進展を歓迎する旨述べた。
モディ首相から,安全保障での協力が進展している,閣僚級2+2の立ち上げや各軍種での協力の進展を評価,今後は海や宇宙での協力が重要であると述べつつ,ACSAの交渉開始,日印宇宙対話,防衛装備協力に言及した。
US-2については,引き続き両国で協議をしていくことで一致した。
3 経済協力,高速鉄道


安倍総理から,高速鉄道では新たな円借款供与等,着実な進展を歓迎,インド在来線の鉄道安全に貢献すべくJICA技術協力を実施中,高速鉄道や連結性強化に資するインド北東部での橋梁建設等を含む7件の円借款供与を決定した旨述べた。
モディ首相から,高速鉄道のプロジェクトの進捗を歓迎,日本側の協力に感謝,円借款を含むODAをインド国民は高く評価しており,感謝している旨述べた。
4 経済関係
安倍総理から,日印通貨スワップの合意に言及しつつ,日印デジタル・パートナーシップの下でスタートアップやIT人材交流の促進,「インド長寿化計画」と日本のアジア健康構想の連携,食品加工等の農業分野での協力,新たな日本式ものづくり学校の開校,特許審査ハイウェイを通じた投資促進,日印エネルギー協力転換プラン合意を含むエネルギー分野での協力等を進めていきたい旨述べた。
モディ首相から,日本企業の投資・進出,メイク・イン・インディアへの貢献を歓迎,IT,エネルギー,保健,農業分野における日本との協力を重視しており,協力を具体化していきたい旨述べた。
原子力協力について,昨年の合意に基づき作業部会で引き続き議論を進めていくことで一致した。
5 人的交流
安倍総理から,2020年の東京五輪に向け,観光,ビジネス,スポーツ,有識者,地方政府,国会議員等の人的交流を抜本的に拡大したい,来年1月からのインド国民に対する更なるビザ緩和を決定,デリーでの日本語教師育成センター立ち上げへの協力に感謝,日本語普及に向け,引き続きモディ首相の協力を得たい旨述べた。
モディ首相から,人的交流の拡大に賛意を示し,査証緩和を歓迎した。
6 グローバル課題


(1)太陽に関する国際的な同盟(ISA)
安倍総理から,日本はインドが主導する「太陽に関する国際的な同盟」(ISA)の枠組協定の受諾を決定,エネルギー転換・脱炭素化に向けた世界的な取組強化に向けて一層緊密に連携していきたい旨述べた。モディ首相から,日本の枠組協定受諾を歓迎する旨述べた。
(2)国連改革
両首脳は,安保理改革で具体的進展を得るべくG4の取組を加速していくことで一致した。
(3)軍縮・不拡散
安倍総理から,日印両国は核兵器のない世界の実現という目標を共有,日本はNPT普遍化,CTBT早期発効を重視しており,対話を続けたい旨述べた。
モディ首相から,核兵器のない世界を目指すことは共通の目標であると述べた。
(4)東アジア地域包括的経済連携(RCEP),WTO
安倍総理から,保護主義への懸念が高まる中,自由で開かれたインド太平洋を実現し,RCEP交渉の年内の実質的な妥結をインドを含めた16カ国で実現するために,世耕経産大臣とプラブー商工大臣にしっかり取り組んでもらう旨述べた。また,多角的貿易体制維持・強化のためWTO改革は重要である旨述べた。
モディ首相から,RCEPでもよく協力していきたい旨述べた。
(5)シップリサイクル
安倍総理から,インドのシップリサイクル条約の早期締結を期待する旨述べた。