報道発表

インドに対する円借款に関する書簡の交換

平成30年10月29日

1 本29日,東京において,日印首脳会談の後,安倍晋三内閣総理大臣及びナレンドラ・モディ首相(H.E. Mr. Narendra Modi, Prime Minister of India )の立会いの下,我が方平松賢司駐インド大使と先方スジャン・R・チノイ駐日インド大使(H.E. Mr. Sujan R.Chinoy, Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of India to Japan)との間で,「ムンバイ・アーメダバード間高速鉄道建設計画(第二期)」他6件の円借款の供与(供与限度額合計3,164億5,800万円)に関する書簡の交換が行われました。

2 対象案件の概要

(1)日本の新幹線システムを導入する高速鉄道建設,「日印新時代」を象徴する旗艦事業に融資
(円借款「ムンバイ・アーメダバード間高速鉄道建設計画(第二期)」,供与限度額1,500億円)

 この計画は,インド政府がマハラシュトラ州ムンバイからグジャラート州アーメダバード間において,日本の新幹線システムを利用して高速鉄道を建設するために同政府に融資するものです。これにより,現行の在来線特急では,ムンバイからアーメダバード間約500キロメートルの移動に約7時間かかるところを,高速鉄道を利用すると約2時間に短縮される見込みで,高頻度な大量旅客輸送システムの実現による交通ネットワークの効率化,広範な対象地域の経済開発の促進に寄与することが期待されます。

(2)メガラヤ州における再生可能エネルギーの推進に資する水力発電所改修に融資
(円借款「ウミアム・ウムトゥル第3水力発電所改修計画」,供与限度額54億9,700万円)

 この計画は,インド政府がメガラヤ州ウミアム川・ウムトゥル川流域において,ウミアム・ウムトゥル第3水力発電所2基の改修を実施するために同政府に融資するものです。現在,水車の損傷等により1号機では年間約7,600時間,2号機では年間約4,000時間が計画外に発電停止していますが,2025年(事業完成2年後)には,いずれも年間約90時間に短縮される見込みで,同州の産業発展及び生活水準の向上に寄与することが期待されます。

(3)インドにおける日本の経済協力の代表例であるデリーメトロの延伸・拡充に融資
(円借款「デリー高速輸送システム建設計画(フェーズ3)(第三期)」,供与限度額536億7,500万円)

 この計画は,インド政府がデリー首都圏において,総延長約116キロメートルの地下鉄を建設するために同政府に融資するものです。これにより,デリーメトロ全体における1日あたりの利用者数は,フェーズ3着工時(2012年)の約190万人から約270万人へと増加する見込みで,交通混雑の緩和と交通公害減少に寄与することが期待されます。

(4)インド北東部における連結性向上に資する橋梁建設に融資
(円借款「北東州道路網連結性改善計画(フェーズ3)(第一期)」,供与限度額254億8,300万円)

 この計画は,インド政府がアッサム州ドゥブリとメガラヤ州プルバリを結ぶ橋梁等(総延長約20キロメートル)を建設するために同政府に融資するものです。これにより,2030年(事業完成2年後)の旅客数は新たに年間約295万人を見込み,所要移動時間は最寄りの迂回路経由による約8時間13分から約23分に短縮される見込みで,同地域の経済発展の促進に寄与することが期待されます。

(5)西ベンガル州における再生可能エネルギーの推進に資する揚水発電所建設に融資
(円借款「トゥルガ揚水発電所建設計画(第一期)」,供与限度額294億4,200万円)

 この計画は,インド政府が西ベンガル州プルリア郡において,揚水発電所を建設するために同政府に融資するものです。これにより,2029年(事業完成2年後)には,新たに約280万世帯分の年間使用電力量に相当する年間発電量1,803ギガワットアワーの発電が可能となり同州の産業発展及び生活水準の向上に寄与することが期待されます。

(6)慢性的な交通渋滞が深刻なチェンナイ都市圏における周辺環状道路建設に融資
(円借款「チェンナイ周辺環状道路建設計画(フェーズ1)」,供与限度額400億7,400万円)

 この計画は,インド政府がタミル・ナド州チェンナイ都市圏において,周辺環状道路(約133キロメートル)のうち,市北部のエンノール港へのアクセス道路となる区間(本線と支線にて構成)を建設するために同政府に融資するものです。これにより,2025年(事業完成2年後)には,整備区間の本線(約31.4キロメートル)の所要時間は現在の約50分から約22分に短縮,支線(約23.7キロメートル)の所要時間は約36分から約22分に短縮される見込みで,同都市圏の経済発展に寄与することが期待されます。

(7)森林面積の減少及び住民の生活環境悪化が進むトリプラ州の植林活動に融資
(円借款「トリプラ州持続的水源林管理計画」,供与限度額122億8,700万円)

 この計画は,インド政府がトリプラ州において,持続的森林管理,水土保全活動及び生計向上活動を実施するために同政府に融資するものです。この計画には約2万3千人の地域住民や実施機関職員が参加し,新たに4万2千ヘクタールが植林されるなど,同地域の森林の質の向上が見込まれ,同州の森林生態系の改善及び地域住民の生計向上に寄与することが期待されます。

3 供与条件

(1)上記2(1)

金利年0.1%
償還期間50年(15年の据置期間を含む。)
調達条件タイド

(2)上記2(2),(3),(4)及び(5)

金利年1.5%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
償還期間30年(10年の据置期間を含む。)
調達条件一般アンタイド

(3)上記2(6)

金利年1.45%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
償還期間30年(10年の据置期間を含む。)
調達条件一般アンタイド

(4)上記2(7)

金利年1.25%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
償還期間30年(10年の据置期間を含む。)
調達条件一般アンタイド

[参考]インド基礎データ
 インドは,面積約329万平方キロメートル(日本の約8.7倍),人口13億2,400万人(2016年,世界銀行),人口1人当たりの国民総所得(GNI)1,680米ドル(2016年,世界銀行)。

             

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