シンガポール共和国

令和7年9月22日
第18回日本・シンガポール・シンポジウムの会場風景

 9月17日から18日、東京において公益財団法人日本国際問題研究所(JIIA)及びシンガポール国際問題研究所(SIIA)の共催により第18回日本・シンガポール・シンポジウムが開催されたところ、概要は以下のとおり(共同議長:佐々江賢一郎JIIA理事長、アショーク・ミルプリ・テマセク国際政策・ガバナンス部長)。

1 非公開セッション

 9月17日の非公開セッションでは、以下3つの議題につき議論された。

  1. 「混乱した世界における地域の政治・安全保障の発展」
     第1セッションでは、秋田浩之日本経済新聞コメンテーター、佐竹知彦青山学院大学准教授及びヴィクラム・ナイアー・シンガポール・センバワングループ代表選挙区議員が報告者を務め、国際秩序が益々不安定化する中、地域はいかに安定を実現できるかについて議論が行われた。
  2. 「日・ASEAN関係の基盤としての相互理解と機能的協力の強化」
     第2セッションでは、ング・ホイ・ミン聯合早報外信部長及び飯島佑美JIIA研究員が報告者を務め、地域の秩序を維持するために、日本とASEANは、主要アクターとして、いかに多面的な方法で協力を強化することができるかについて議論が行われた。
  3. 「不確実性の中の経済協力、サプライチェーン強靱化」
     第3セッションでは、大矢伸双日総合研究所チーフアナリスト及びヘン・イー・クァン東京大学公共政策大学院教授が報告者を務め、貿易政策、経済安全保障、産業政策が益々複雑に入り組む中、「自由で開かれたルールに基づく秩序」の原則を、経済分野での協力やサプライチェーン戦略にいかに統合していくべきかについて議論が行われた。

2 公開セッション

基調講演を行う生稲晃子外務大臣政務官 生稲晃子外務大臣政務官
ステージ上の河野太郎衆議院議員 河野太郎衆議院議員

 9月18日には公開セッションが行われた。

(1)冒頭、生稲晃子外務大臣政務官、シム・シンガポール外務兼内務担当上級国務大臣及び日本シンガポール友好促進議員連盟会長の河野太郎衆議院議員がそれぞれ基調講演を行い、歴史的転換点にある国際情勢の中で、日本とシンガポールは地域及び国際社会の課題に共に取り組む重要なパートナーであり、来年の外交関係樹立60年も見据え、デジタル・グリーンといった新たな分野を含む協力や、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持と発展に寄与できるとの展望が示された。

(2)その後、「再構築に向かう世界での日本・シンガポール協力」をテーマとして議論が行われた。
  山田滝雄 JIIA 上席フェロー、サイモン・テイ・シンガポール国際問題研究所理事長、菊地朋生早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授及びアドリアン・ング・シンガポール通商産業省 アジア・中東・アフリカ担当局長が、国際秩序の不安定化が進む中、基本的な価値を持つ日本とシンガポールは、安定化の支えとしての役割をいかに果たすことができるか、また既存の経済秩序が変わる中、二カ国はそれぞれの強みを梃子に、いかに最前線の課題における協力を進めることができるかについて議論し、続いて、聴衆を交えて活発な質疑応答が行われた。

3 総括

 2日間にわたる議論を経て、参加者の間で、両国が60年近くにわたり培ってきた強固な関係を確認するとともに、不透明性を増す国際社会において、幅広い分野で二国間の協力を一層発展させるだけでなく、地域の平和と繁栄のため共に連携を強化することが必要であるとの認識が共有された。


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