フィリピン共和国

平成28年9月6日
  1. 本日、海上自衛隊練習機TC-90並びにTC-90に関係する器材(整備器材、地上支援器材及び補用品)及び技術情報(操縦及び整備並びにこれらに付随するもの)(以下「TC-90等」という。)のフィリピンへの移転(以下「本件海外移転」という。)について、日フィリピン両国の首脳間で合意された。本件海外移転については、平成28年8月31日に、「防衛装備移転三原則」(平成26年4月1日閣議決定)及び「防衛装備移転三原則の運用指針」(平成26年4月1日国家安全保障会議決定、平成28年3月22日最終改正)に従い、国家安全保障会議で審議した結果、海外移転を認め得る案件に該当することを確認している。
  2. 多数の島々によって国土が成り立つ島嶼国であるフィリピンにとって、人道支援・災害救援、輸送及び海洋状況把握に関する能力の向上は重要な課題であり、本年5月2日の日比防衛相電話会談においては、海洋安全保障分野における両国間の連携強化の必要性を踏まえて本件海外移転を具体化していくことが確認された。本件海外移転は、最大5機のTC-90のフィリピンへの移転を行うとともに、フィリピン海軍要員の教育・訓練の支援と、フィリピン海軍による運用を持続していくための維持整備分野に係る支援を行うものである。フィリピン海軍は、人道支援・災害救援、輸送及び海洋状況把握に関係する任務の遂行のために、TC-90を運用することとしており、本件海外移転は、救難、輸送、警戒及び監視に係る協力として、友好国であるフィリピンとの安全保障・防衛協力の強化に資することから、我が国の安全保障の観点から積極的な意義を有する。
  3. さらに、本件海外移転の仕向先はフィリピンであり、最終需要者はフィリピン海軍及びその契約者であって、適正管理の確実性は高い。加えて、移転されるTC-90等は下記4.のとおり適正管理が確保されることとなっている他、TC-90は民生品で使用されている汎用的な技術を用いて民間航空機(米国ビーチクラフト社製キングエアC90)を改造したものであること等を考慮すれば、我が国の安全保障上の問題はないと認められる。
  4. 本件海外移転は「防衛装備品及び技術の移転に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の協定(以下「協定」という。)」に基づき実施されるものであり、フィリピン政府が今後具体的に我が国から移転されるTC-90等を目的外使用し、又は第三国移転する場合には、我が国の事前同意が義務付けられることから、TC-90等のフィリピンへの移転後の適正な管理が確保されると認められる。
  5. 日本政府は、今後、協定に基づく手続を正式に開始する。経済産業省においては、上記の国家安全保障会議での審議の結果を踏まえ、本件海外移転に関する許可申請があった場合には、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)に基づき、適切に対応することとする。
【参考】TC-90の概要
海上自衛隊練習機TC-90は、気象条件の制約のため、目視に頼ることなく、航空機の姿勢、高度、位置及び進路の測定を計器のみに依存して行う、「計器飛行」の教育に使用されている。
TC-90は、米国から輸入された民間航空機であるC90を国内企業が民生品で使用されている汎用的な技術を用いて改造されたものである。

フィリピン共和国へ戻る