インドネシア共和国

令和4年4月29日
通訳のみを交えた1対1の会談に臨む、岸田総理大臣とジョコ大統領の様子 日・インドネシア首脳会談(テタテ会合) (写真提供:内閣広報室)
日・インドネシア首脳会談の全体会合が行われている様子 日・インドネシア首脳会談(全体会合) (写真提供:内閣広報室)
ジョコ大統領夫妻主催夕食会に出席する、日・インドネシア両国関係者の様子 ジョコ大統領夫妻主催夕食会 (写真提供:内閣広報室)

 現地時間4月29日午後4時13分(日本時間午後6時13分)から約90分間、インドネシアを訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、ジョコ・ウィドド・インドネシア共和国大統領(H.E. Mr. Joko Widodo, President, the Republic of Indonesia)と、大統領宮殿において、日・インドネシア首脳会談を実施したところ、概要は以下のとおりです。会談には、日本側から磯﨑仁彦内閣官房副長官、森昌文内閣総理大臣補佐官他が、また、インドネシア側からは、アイルランガ経済担当調整大臣、ルトノ外務大臣、ルトフィ商業大臣、ブディ運輸大臣、アリフィン・エネルギー鉱物資源大臣、プラモノ内閣官房長官他が同席しました。なお、会談の冒頭、30分間は通訳のみを交えた1対1の会談を行ったほか、歓迎式典、植樹式、共同記者発表、ジョコ大統領主催夕食会が行われました。

1 総論

 冒頭、ジョコ大統領から、岸田総理と緊密に連携しながら両国の戦略的パートナーシップを一層強化したい旨述べました。これに対し、岸田総理から、両国は、ウクライナ情勢、東シナ海・南シナ海情勢、北朝鮮情勢など多くの挑戦に直面しており、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化が一層重要である旨、また、我々が共有する原則を脅かす行動には毅然と反対し、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」と「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」の実現に向け、協力を更に進めたい旨述べました。

2 二国間関係

  • (1)ジョコ大統領から、地域の平和と安定の実現に向けて日本は強力なパートナーであり、貿易、投資、インフラ、海洋、水産など様々な分野において両国の協力案件を着実に進展させたい旨述べました。岸田総理から、昨年12月のパティンバン港の自動車ターミナルの開業を歓迎するとともに、同港拡張のための追加的な円借款の供与を決定したことを伝えました。さらに、岸田総理から、都市高速鉄道、スマートシティ、離島開発等の分野において引き続き協力したい旨、また、スールー・セレベス海を含めたインドネシアを取り巻く域の平和と安定の確保のため、海上保安能力の向上を一層支援したく、巡視船供与に向けた調査を開始予定である旨述べました。
  • (2)ジョコ大統領から、エネルギー移行はG20の優先課題の一つでもあり、二国間で具体的な協力を更に進めたい旨述べました。これに対し、岸田総理から「アジア・ゼロ・エミッション共同体構想」の実現に向けて緊密に連携していくととともに、各国の実情に応じたエネルギー移行を支援していく旨伝えました。また、石炭・天然ガスの供給を含め、両国のエネルギー安全保障の強化に向けて、エネルギー分野の協力を推進していくことで一致しました。
  • (3)ジョコ大統領から、インドネシアへの最大の投資国であり、自動車やエネルギーなど様々な分野で日本の更なる投資を期待する旨述べました。これに対し、岸田総理から、官民対話の開始を歓迎しつつ、日本の「アジア未来投資イニシアティブ」を通じて、地域のサプライチェーンの強靱化やデジタル技術を活用した社会課題の解決を後押ししていく、また、インドネシアの自動車産業の発展に総力を挙げて貢献したい旨述べました。
  • (4)ジョコ大統領から、日本産食品への輸入規制につき、撤廃に向け前向きな発言がありました。岸田総理から謝意を述べつつ、早期撤廃に向けて引き続き支援をお願いする旨述べました。
  • (5)両首脳は、日本語能力向上など人的交流拡大に向けた協力の強化についても意見交換をしました。岸田総理から、ポストコロナの経済回復のための財政支援借款300億円を供与する方針を伝えました。

3 地域情勢及び国際場裏における協力

  • (1)ウクライナ情勢について、まず、岸田総理から、今般のロシアによるウクライナ侵略は、明白な国際法違反であり、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがすものであって、強く非難する旨述べました。その上で、両首脳は、両国が共に賛成した国連総会決議を想起しつつ、ウクライナに対する軍事攻撃は容認できないこと、いかなる地域においても、武力の行使・威嚇による主権や領土一体性の侵害、また、力による一方的な現状変更は認められず、国際法に基づき紛争の平和的解決を求めること、さらに、国際人道法に反する民間人・施設への攻撃に反対すること、を確認しました。また、両首脳は、武力行使の即時停止と対話による事態の打開及び食料やエネルギー分野を始めとする世界経済への影響に連携して対応することを確認しました。また、両首脳は、人道状況を改善するため、人道支援の実施に向けて両国で連携していくことで一致しました。
  • (2)地域情勢に関しては、岸田総理から、東シナ海や南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みに対して強い反対を表明しました。法の支配に基づく自由で開かれた海洋を守るため、引き続き協力していくことを確認しました。さらに、経済的威圧やサイバー攻撃といった話題についても意見交換し、経済安全保障分野の協力を進めていくことで一致しました。 また、両首脳は、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応において引き続き連携していくことを確認したほか、ミャンマー、軍縮・不拡散、安保理改革等の地域及び国際社会の諸課題にも連携して対応することで一致しました。
  • (3)また、岸田総理から今年のG20の「共に、より強い回復」とのテーマ及びデジタル、エネルギー移行、保健という優先分野は時宜を得たものであり、G20議長国のインドネシアを最大限支援していく旨述べ、両首脳はG20の成功に向けた緊密な連携を確認しました。
  • (4)両首脳は、来年が両国の外交関係開設65周年及び日ASEAN友好協力50周年であり、二国間関係、日ASEAN関係を一層発展していくことで一致しました。

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