タイ王国
菅内閣官房長官とソムキット・タイ王国副首相との会談
本7日午後4時45分から約70分間,菅義偉内閣官房長官は,訪日中のソムキット・チャトゥシーピタク・タイ王国副首相(H.E. Dr. Somkid Jatusripitak, Deputy Prime Minister)との間で,双方の関係閣僚が同席する中で第3回日タイ・ハイレベル合同委員会を開催したところ,概要は以下のとおりです。
なお,同委員会終了後に日タイ共同プレス声明(仮訳(PDF) / 骨子(PDF)
/ 英文 (PDF)
)を発表しました。
- 冒頭に両国の間で7件の文書を交換した後,菅官房長官から,ソムキット副首相の訪日を歓迎するとともに,この委員会を通じ,これまで,鉄道等のタイ国内のインフラ整備,また,産業人材育成分野での協力等で具体的な成果が実現してきている旨述べました。続いて菅官房長官より,タイがプラユット政権発足以降,大胆な経済政策を多く発表されており,その中でも,昨年発表された,労働集約型産業から知識集約型産業へ移行し,産業高度化を達成するための経済政策である「タイランド4.0」については,タイの競争力強化にとり重要な政策である旨発言しました。さらに,菅官房長官より,タイは,日本企業が多く活動する重要な拠点であることから,これら企業への引き続きの配慮を期待したい,タイの産業高度化政策を支えるインフラ整備を日本政府のインフラ輸出支援とリンクさせて,タイの産業高度化を後押ししていきたい旨発言しました。その上で,本日取り上げる諸課題はタイの産業高度化に向けた日・タイ協力において大変重要なテーマであり,関係閣僚による率直な議論が行われ,協力が更に進むことを期待する旨述べました。
- これに対し,ソムキット副首相からは,先ほど,安倍晋三内閣総理大臣に表敬し,タイの経済発展の歴史において,日本からの投資の役割が大きかったこと,また,タイの今後の発展にとっても日本企業が重要である旨お伝えした,また,昨日,「日経アジアの未来」に出席したほか,日本企業1000社以上に対してタイの経済政策についてお話ししたところ,投資家を始めとした出席者に大変興味を持って頂いた,本日の会合では,日本とタイの今後の協力関係の発展について議論したい旨述べました。
- 続いて,両国が高い関心を有する諸分野の中で,特に東部経済回廊(EEC)開発,中小企業(SME)強化,CLMVT(カンボジア,ラオス,ミャンマー,ベトナム,タイ)マスタープラン,鉄道,電子基準点について,出席閣僚の間で有意義な意見交換が行われました。
【参考1】主要同席者
1 日本側:世耕弘成経済産業大臣,石井啓一国土交通大臣,岸信夫外務副大臣,和泉洋人内閣総理大臣補佐官
2 タイ側:ウッタマ工業大臣,アピラディ商務大臣,アーコム運輸大臣,ピチェート・デジタル経済社会大臣,アチャカ科学技術大臣,ウィラサック外務副大臣
【参考2】会合冒頭に交換された文書
1 東部経済回廊及び産業構造高度化に向けた協力に関する覚書
(1)日本側署名者:世耕弘成 経済産業大臣
(2)タイ側署名者:ウッタマ・サワナヤナ 工業大臣
概要:経済産業省とタイ工業省の間で,EECを中心としたタイ産業の高度化に向け,日本産業界の声を伝えるための日・タイ対話の実施,インフラを含めたEECに係る情報共有等の協力を表明するもの。
2 鉄道協力に関する協力覚書
(1)日本側署名者:石井啓一 国土交通大臣
(2)タイ側署名者:アーコム・トゥームピタヤパイシット 運輸大臣
概要:国土交通省とタイ運輸省の間でバンコク~チェンマイ高速鉄道、新たな貨物鉄道サービス、バンコク首都圏鉄道マスタープランの改定支援、バンスー駅周辺の都市開発等の鉄道分野に係る案件全般の協力を表明するもの。
3 電子基準点網の構築に関する協力覚書
(1)日本側署名者:石井啓一 国土交通大臣
(2)タイ側署名者:アチャカ・シーブンルアン 科学技術大臣
概要:国土交通省とタイ科学技術省の間で、地理空間情報を活用した高度情報化社会を推進するため、衛星測位技術を活用した電子基準点網の構築に関する協力を表明するもの。
4 情報通信デジタル技術分野に関する協力覚書
(1)日本側署名者:高市早苗 総務大臣
(2)タイ側署名者:ピチェート・ドゥロンカベロート デジタル経済社会大臣
概要:総務省とタイ・デジタル経済社会省の間で、情報通信デジタル技術分野における協力を一層推進していくことを表明するもの。
5 産業人材育成に関する協力覚書
(1)日本側署名者:岸信夫 外務副大臣
(2)タイ側署名者:ウィラサック・フートラクン外務副大臣
概要:外務省とタイ外務省の間で、昨年12月の日タイハイレベル合同委員会の際に提言した「日タイ産業人材育成協力イニシアティブ」に基づき、自動車、鉄道、ICT、農業などの特定の分野における産業人材育成の協力を表明するもの。
6 タイ工業省産業振興局と日本貿易振興機構(JETRO)との連携と協力に関する覚書
(1)日本側署名者:三又裕生 JETROバンコク事務所長
(2)タイ側署名者:パス・ロハジュン タイ工業省産業振興局長
概要:JETROバンコク事務所とタイ工業省との間で、相互に緊密な連携と協力により、タイと日本の中小企業間のビジネス関係を促進するための協力の枠組みを確立し、両国の経済・産業の発展に貢献することの協力を表明するもの。
7 経済地理シミュレーションを用いたEEC開発の分析・視覚化に関する覚書
(1)日本側署名者:三又裕生 JETROバンコク事務所長
(2)タイ側署名者:アナン・サニットウォン タイ地理情報・宇宙技術開発庁事務局長
パンアート・チャイラット タイ国家イノベーション庁事務局長
概要:JETROバンコク事務所とタイ地理情報・宇宙技術開発庁及びタイ国家イノベーション庁との間で、JETROアジア経済研究所の経済地理シミュレーションモデル(GSM)を使ったEEC開発の分析結果を5D(3D+時間+価値)視覚化することの協力を表明するもの。