アジア
岸外務副大臣のカンボジア及びパキスタン訪問(結果)
平成29年5月8日
5月1日(月曜日)から6日(土曜日)にかけて,岸信夫外務副大臣は,カンボジア及びパキスタンを訪問したところ,概要は以下のとおりです。
カンボジア
1 日程概要
2日:プラック・ソコン外務国際協力大臣との会談、ソック・チェンダソピア首相補佐特命大臣兼カンボジア開発評議会事務局長との会談,カンボジア人元日本留学生との夕食会3日:オーン・ポンモニラット経済財政大臣との昼食会、プン・プレック浄水場視察,母子保健センター視察、故中田厚仁氏(国連ボランティア)慰霊碑及び故高田晴行警視(国連カンボジア暫定機構・文民警察官)への献花
2 主な行事の概要
(1)カンボジア政府要人との会談
岸副大臣より、昨年9月の直行便就航により人的交流が活発化する中、明年1月にシェムリアップに領事事務所を開設することを決定した旨伝達し、両国間の戦略的パートナーシップを一層深化させていく考えを述べました。カンボジア側からは、賛同の意とともに、これまでの日本の支援に対する高い評価と謝意が示されました。
イ 経済協力・投資
岸副大臣より,質の高いインフラ整備や人材育成などを通じてカンボジアの国造りを引き続き支えていく旨述べた上で、シハヌークビル港の物流改善に資する技術協力プロジェクトや人材育成奨学計画の新規実施について伝達しました。また、昨年の投資額が過去最高になるなど、着実に増加する日本からの投資をさらに呼び込むため、通関を含む物流や人の移動の円滑化をはじめ、投資環境整備に向けた一層の取り組みを促しました。先方からは、日本の支援に重ねて謝意が述べられ、人材育成の重要性が強調されました。
ウ 人権・司法分野の取り組み
クメール・ルージュ裁判につき、岸副大臣より、国際予算に対する新規拠出の決定を伝達した上で、裁判の迅速な完結に対する期待を表明したところ、プラック・ソコン大臣より、日本からの支援に謝意を示し、本裁判を完結させて国民に正義を実現することが政府の責務である旨述べました。併せて、カンボジアの人権状況の改善に向けた取り組みについて意見を交わしました。
エ 地域・国際場裡の課題
50周年を迎えたASEANが中心性や一体性を堅持する重要性について認識を共有した上で、海洋の問題や北朝鮮情勢などについて意見交換を行いました。
オ その他
岸副大臣より、2025年国際博覧会の大阪での開催の立候補について伝達し、カンボジアの支持を要請しました。また、本年11月のカンボジアにおける日本映画祭の開催に向けて協力を求めました。
(2)カンボジア人元日本留学生との意見交換
(3)プン・プレック浄水場視察
(4)母子保健センター視察
(5)慰霊碑献花
カンボジアにおける国連平和維持活動の中で命を落とした故高田晴行警視(国連カンボジア暫定機構・文民警察官)及び故中田厚仁氏(国連ボランティア)慰霊碑に献花しました。パキスタン
1 日程概要
4日(イスラマバード):シャリフ首相表敬,ジャンジュア国家安全保障担当首相顧問との会談,ジャンジュア外務次官(外務大臣代行)との会談・昼食会,アーシフ水利電力大臣との会談,円借款案件「イスラマバード・ブルハン送電網増強計画(フェーズ1)」署名式への立会い,日・パキスタン国交樹立65周年記念レセプション出席5日(カラチ):日系企業視察,ジンナー廟献花,ズベイル・シンド州知事との会談,両国ビジネス関係者との意見交換,カラチ商工会との意見交換兼夕食会
2 主な行事の概要
(1)パキスタン政府要人との会談
岸副大臣より,日・パキスタン国交樹立65周年に対する祝意を述べ,1957年に祖父・岸元総理が日本の総理として初めてパキスタンを訪問してから60周年の本年,パキスタンを訪問することができ大変光栄である,日本はパキスタンとの関係を重視しており,この訪問を機に,更なる二国間発展の発展に繋げたい旨述べました。
これに対して,シャリフ首相は,日・パキスタン両国は平和と繁栄の理念を共有しており,二国間関係の発展に向けて協力していきたい旨述べました。
イ 経済関係
岸副大臣から,日本は,シャリフ首相が就任以来取り組んできた経済財政改革やテロ対策を強く支持する旨述べるとともに,日パキスタン貿易・投資関係が着実に進展しており,更なる企業進出のため,治安対策,税制の安定性,透明性の確保など投資環境整備を要請しました。また,円借款案件「イスラマバード・ブルハン送電網増強計画(フェーズ1)」に関する交換公文の署名について紹介し,引き続き,経済基盤の整備,社会基盤の整備,国境地域などの安定,バランスのとれた経済社会の発展努力を支援していきたい旨述べました。
これに対して,パキスタン側から,これまでの日本の支援に対する謝意が示されました。また,パキスタンの治安対策への取組や改善状況に対する説明とともに,更なる日本企業の新規進出に対する強い期待が表明されました。
ウ 地域情勢
パキスタン・インド間の関係について,岸副大臣から,両国が自制し,話し合いにより事態安定化に向けた取組を進めることを求め,近隣両国との良好な関係,協調が望まれる旨述べました。これに対し,パキスタン側より,地域の安定には両国間の話し合いが不可欠であり,引き続き,関係改善に取り組んでいくことへの意欲が示されました。
また,北朝鮮問題について,岸副大臣から,シャリフ首相,ジャンジュア安全保障問題顧問,ジャンジュア外務次官(外相代行)に対し,国連安保理で北朝鮮の非核化が議論されたわずか6時間後に北朝鮮が再び弾道ミサイルを発射したことは,国際社会に対する正面からの挑戦であり,断じて容認できない旨説明し,北朝鮮に核・ミサイル計画を放棄させるため,安保理決議の実効性の確保を含め,協力していきたい旨述べました。シャリフ首相からは,日本の懸念を全く共有する,パキスタンは国連安保理決議の全事項を履行する旨述べられ,北朝鮮に断固として対応することで双方の見解が一致しました。