岸田外務大臣

平成26年3月24日
テイン・セイン大統領表敬
日・ミャンマー外相会談
 3月24日(月曜日)、岸田文雄外務大臣は、ミャンマー・ネーピードーでミャンマー側要人と会談したところ、概要は以下のとおり。

1 日程の概要 (24日)

日ミャンマー外相会談及びワナ・マウン・ルイン外相主催昼食会、テイン・セイン大統領表敬、E/N署名式立会い、アウン・サン・スー・チー・ミャンマー国民民主連盟(NLD)議長との会談、シュエ・マン連邦議会議長表敬

2 訪問の成果

  • 日ミャンマー外交関係樹立60周年、かつ、ミャンマーが初めてASEAN議長国をつとめる重要な節目の年である本年の早いタイミングでの訪問を通じ、ミャンマーとの連携・協力を強化。昨年の安倍総理のASEAN歴訪、日ASEAN特別首脳会議の開催を通じて高まった関係緊密化の機運を受け、外相レベルでフォローアップを行う機会となった。
  • テイン・セイン大統領、ワナ・マウン・ルイン外相との会談においては、(1)幅広い二国間関係の強化、(2)ASEAN関連会合に向けた連携、(3)少数民族との和平に向けた「積極的平和主義」の下での我が国からの支援等について、率直な意見交換を行い、各分野で協力を進めていくことで一致。また、我が国から、ミャンマーにおける遺骨収集について理解と協力を求めた
  • シュエ・マン・ミャンマー連邦議会議長、アウン・サン・スー・チー・ミャンマー国民民主連盟(NLD)議長とも会談。議員間交流や来年の総選挙に向けた取組等を含め意見交換。

3 主要行事の概要

(1)日ミャンマー外相会談及び昼食会

ア  冒頭、ワナ・マウン・ルイン外相から、岸田大臣の訪問を歓迎する、これを機に日ミャンマー間の協力関係を一層強化したい旨述べた。岸田大臣からは、昨年9月、12月に続く再会となり嬉しい、本年は外交関係樹立60周年であり幅広い分野で両国の信頼と協力関係を深めたい、ミャンマーのASEAN議長国就任にあたり地域の課題につき連携を強化したい旨述べた。

イ  二国間関係全般について、以下のやり取りがあった。
  1. 政治・安全保障:岸田大臣から、外交・防衛当局間の交流強化への期待を表明するとともに、昨年9月のミャンマーのIAEA追加議定書(AP)の署名を評価し、グローバルな軍縮・不拡散体制の拡充の観点から包括的核実験禁止条約(CTBT)、化学兵器禁止条約(CWC)の締結を含め更なるミャンマーの取組を支援したい、人権分野における協力も深めたく、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の早期開設を期待したい旨述べた。これに対し、先方から、外交・防衛当局間の継続的な交流強化を図りたい、軍縮・核不拡散関連の上記条約の署名・締結に向けて努力していきたい、OHCHR事務所の開設についても関係当局と調整しつつ取り組んでいきたい旨述べた。
  2. 経済・経済協力:岸田大臣から、ODAによるインフラ整備や民生向上支援を継続する考えを表明するとともに、鉄道・病院・農業の各分野における無償資金協力(約62億円)の本日の交換公文署名をもって、昨年5月に安倍総理が表明した910億円の支援は達成される旨述べた。また、ダウェー開発については、タイとダウェーを結ぶ幹線道路整備に係る協力準備調査の実施決定を伝達した。これに対し、先方から、910億円の支援表明の達成に対する謝意を述べつつ、タイとダウェーを結ぶ道路の整備に係る日本側の関心を歓迎する旨述べた。
  3. 文化・人的交流:岸田大臣から、日本が1月から数次査証発給を開始していることを紹介の上、ミャンマー側による日本側に対する査証緩和措置の早急な決定を改めて要請した。また、昨年末安倍総理が発表した「文化のWAプロジェクト」を受けて4月、国際交流基金にアジアセンターを設置し、ミャンマーを含む東南アジア各国の芸術家、文化人、市民間の双方向交流事業や、日本語学習支援事業を実施していくとの方針を伝達し、今後協力を一層進めたい旨述べた。これに対し、先方から、関係当局とも連携しつつ協力をしていきたい旨述べた。
  4. 岸田大臣から、ミャンマーからの遺骨帰還事業について、今後ミャンマーの理解と協力を得たい旨述べた。これに対し、先方から、同事業については以前から協力してきているので、今後とも必要な協力をしていきたい旨述べた。
ウ 少数民族支援については、岸田大臣から、「積極的平和主義」の下、本年1月、和平プロセスの進捗に合わせて5年間で100億円の支援を行うことを決定するとともに国際機関を通じた避難民支援(16億円)を本日署名予定である、笹川陽平・ミャンマー国民和解担当政府代表とも連携しつつミャンマーの取組みを支援したい旨述べた。また、ラカイン州情勢について国際社会としての懸念を改めて伝達した。これに対し、先方から、日本の少数民族支援には感謝しており、現在、ミャンマーでは関係者間の和平に向けた努力が続けられているが、最終的には少数民族地域における開発が重要である、この分野での日本からの協力に期待している、笹川代表の役割を高く評価しており引き続き連携していきたい、ラカイン州の開発に係る日本の協力には感謝しており、今後の協力に期待する旨述べた。

エ 岸田大臣から、本年ASEAN議長国を務めるミャンマーを日本として支えていくことを伝達するとともに、海洋の問題における法の支配の重要性や拉致問題を含む北朝鮮問題等について先方と意見交換を行った。
 

(2) テイン・セイン大統領表敬

ア 岸田大臣から、日本は今後もミャンマーの改革努力を支援していく、外交関係樹立60周年・ミャンマーのASEAN議長国就任という重要な年に両国間の対話と協力関係の定着と強化を図りたい旨述べた。これに対し、テイン・セイン大統領は、外交関係樹立60周年という記念すべき本年、様々な行事を通じて日・ミャンマー関係を進展させたい旨述べた。

イ 岸田大臣から、ヤンゴン・マンダレー間の鉄道開発等において我が国官民による協力の進展を期待する旨述べた。また、投資環境の改善に向けた投資協定の締結及び着実な実施、日緬共同イニシアティブの活用、国際入札における透明性確保を要請した。このほか、基幹送変電設備の整備のため、247億円の新規円借款を供与する用意がある旨伝えた。これに対し、先方から、経済協力に対する謝意表明があったほか、インフラ、教育、保健、都市・農村開発等の分野での協力継続に期待が示された。また、国際入札の透明性向上、許認可手続の電子化等を通じて投資環境整備に努めたい、さらに、タイとダウェーを結ぶ道路の調査を歓迎するとともに、日本企業の投資を期待したい旨述べた。

ウ このほか、少数民族との停戦・和平に向けた取組、ラカイン州情勢等が話し合われたほか、総選挙に向けた情勢等についても意見交換を行った。
 

(3) アウン・サン・スー・チー・ミャンマー国民民主連盟(NLD)議長との会談

ミャンマーの改革の進展と定着に向けた日本の継続的な支援や、2015年総選挙に向けた情勢等について、意見交換を行った。
 

(4) シュエ・マン連邦議会議長表敬

岸田大臣から、昨年11月の同議長の訪日の成功を祝しつつ、日ミャンマー間における議会間交流を継続・強化していくことの重要性について意見交換を行った。

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