報道発表

我が国主催PSI海上阻止訓練「Pacific Shield 25」及びオペレーション専門家会合(OEG)(結果)

令和7年12月5日

 12月2日から5日の間、我が国主催にて「PSI(拡散安全保障イニシアティブ)海上阻止訓練『Pacific Shield 25』」及び「オペレーション専門家会合(OEG)」が開催されたところ、結果概要以下のとおりです。

1 訓練全体の概要

  1. 日程・場所
    日程:令和7年12月2日~5日(PSI海上阻止訓練「Pacific Shield 25」については12月2日~4日、オペレーション専門家会合(OEG)については12月5日)
    場所:外務省、房総半島沖海空域
  2. 訓練参加主体
    我が国:外務省、警察庁、財務省・税関、海上保安庁、防衛省・自衛隊
    訓練参加国:オーストラリア、ニュージーランド、韓国、シンガポール、米国((注)アジア太平洋ローテーション訓練参加国)
  3. オブザーバー参加国・関係機関(合計:20か国・1関係機関)
    1. オペレーション専門家グループ(OEG)参加国(12か国)
      アルゼンチン、カナダ、チリ、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スペイン、トルコ、英国
    2. PSIに参加しているアジア太平洋諸国(6か国)
      ブルネイ、パプアニューギニア、スリランカ、タイ、トンガ、マレーシア、ベトナム
    3. PSIに参加していないアジア太平洋諸国(2か国)
      ラオス、ナウル
    4. 関係機関(1機関)
      国連軍縮部
  4. 経緯
    2013年のPSIハイレベル政治会合で、我が国、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、シンガポール及び米国の6か国が、1年ごとにPSI訓練を持ち回りで開催(アジア太平洋ローテーション訓練)することで一致しました。我が国はこれまで、2004年10月の海上阻止訓練「Team Samurai 04」、2007年10月の海上阻止訓練「Pacific Shield 07」、2012年7月の航空阻止訓練「Pacific Shield 12」及び2018年7月の海上阻止訓練「Pacific Shield 18」を主催しており、今般のPSI海上阻止訓練「Pacific Shield 25」で5回目の訓練主催となりました。
  5. 目的
    • 大量破壊兵器等に対する我が国を始めとするアジア太平洋諸国の拡散阻止能力の向上や連携の強化
    • PSIの取組に関する理解の増進
    • PSI未参加国へのアウトリーチ
  6. アジア太平洋ローテーション訓練(APER)共同声明
     訓練後、アジア太平洋ローテーション訓練6カ国(我が国、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、シンガポール、米国)は、共同声明を発出しました。

2 大西洋平外務大臣政務官主催歓迎レセプション(2日)

大西洋平外務大臣政務官の挨拶
レセプションの様子
  1. 場所:都内
  2. 参加者:訓練参加国及びオブザーバー参加国関係者、訓練参加省庁を含む我が国政府関係者
  3. 内容:
     大西洋平外務大臣政務官は、歓迎の挨拶において、本訓練を通じて、アジア太平洋地域における能力と協力を高め、参加者の意識を上げ、我々の強い意志を示すことで、PSIの目的を前進させることを希望する、また、関係する省庁が連携して、国際的な平和と安全保障を更に促進するため、引き続きPSIのパートナーと協力していく考えである旨述べました。

3 アカデミック・セッション(2日)

中村仁威軍縮不拡散・科学部長の挨拶
  1. 場所:外務省
  2. 参加機関
    我が国:外務省、警察庁、財務省・税関、海上保安庁、防衛省・自衛隊
    その他:各国関係機関
  3. 内容:
     訓練参加国から、PSIや不拡散に関するプレゼンテーションを実施しました。

参加国代表

4 机上訓練(2日)

机上訓練の様子
  1. 場所:外務省
  2. 参加機関
    我が国:外務省、警察庁、財務省・税関、海上保安庁、防衛省・自衛隊
    その他:各国関係機関
  3. 内容:
     大量破壊兵器関連物質の拡散に関する架空のシナリオに基づき机上訓練を実施し、対応策をとる上での国内の意思決定と多国間協力のあり方を検証しました。

5 実動訓練(3日)

捜索訓練
追跡訓練
  1. 場所:房総半島沖海空域
  2. 参加機関
    我が国:外務省、防衛省・自衛隊(海上自衛隊P-1哨戒機、護衛艦「もがみ」及び乗船チーム)
    その他:オーストラリア(国防軍乗船チーム)、韓国(海軍・沿岸警備隊乗船チーム)、米国(海軍駆逐艦「レナ・サトクリフ・ヒグビー」並びに海軍・沿岸警備隊乗船チーム)
  3. 内容:
     海上自衛隊P-1哨戒機、護衛艦「もがみ」及び乗船チーム、オーストラリア国防軍乗船チーム、韓国海軍・沿岸警備隊乗船チーム、並びに米国海軍駆逐艦「レナ・サトクリフ・ヒグビー」及び海軍・沿岸警備隊乗船チームが大量破壊兵器関連物質を積載した容疑船舶の捜索、追跡、停船の呼びかけ、乗船等にかかる訓練に参加しました。
乗船訓練

6 港湾訓練(3日)

合同チームによる立入検査
税関X線検査車両によるコンテナ検査
  1. 場所:お台場
  2. 参加機関
    我が国:外務省、警察庁、財務省・税関、海上保安庁
    その他(観覧):訓練参加国及びオブザーバー参加国関係者
  3. 内容:
     我が国周辺でテロ活動を計画している組織が関与した積荷を搭載した可能性のある貨物船が、我が国に入港するという想定の下、警察、税関及び海上保安庁合同チームが、当該貨物船の立入検査を実施し、税関が化学兵器に転用可能な物質であることを特定の上、警察のNBCテロ対応部隊が回収・除染するまでの一連の動きにつき、訓練を実施しました。
税関爆発物探知犬によるコンテナ内検査
警視庁による容疑物質の簡易検査

7 オペレーション専門家会合(OEG)(5日)

  1. 場所:外務省
  2. 参加機関
    我が国:外務省
    その他:計18か国の関係者(アルゼンチン、豪州、カナダ、チリ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、ニュージーランド、ポーランド、ポルトガル、韓国、シンガポール、スペイン、トルコ、英国、米国)
  3. 内容:
     今後のPSIの活動の在り方につき、幅広く議論を行いました。

(参考1)PSI(拡散に対する安全保障構想)概要

 2003年、PSIは、ブッシュ米大統領の提唱により、日本を含む11か国で発足。現在116か国が参加。大量破壊兵器・ミサイル等の拡散を阻止するため、国際法・各国国内法の範囲内で、参加国が共同して移転及び輸送の阻止のための措置を検討・実践する取組。
 2013年に、PSIに参加するアジア太平洋地域の主要国である日本、米国、韓国、豪州、ニュージーランド、シンガポールが、1年毎に持ち回りで6か国が参加する訓練を主催することで合意し、2014年からこれを実施。日本は、2004年及び2007年の海上阻止訓練、2012年の航空阻止訓練、2018年の海上阻止訓練を本邦で実施し、本年12月に、5回目の訓練として、海上阻止訓練「Pacific Shield 25」を開催。


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