報道発表
「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議第6回会合の開催(結果)
令和7年3月31日



3月30日及び31日、「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議の最終会合となる第6回会合が東京・渋谷の国連大学において開催されました。会合には、白石隆座長(熊本県立大学特別栄誉教授)を始めとする日本人委員3名、核兵器国と非核兵器国の双方からの外国人委員11名の合計14名の委員が参加しました(2名はオンラインで部分参加、1名は欠席)。加えて、政治リーダーとしてフェデリカ・モゲリーニ欧州大学院大学学長(元欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長)(Honourable Federica Mogherini, the Rector of the College of Europe: former High Representative of the European Union for Foreign Affairs and Security Policy and Vice-President of the European Commission)が参加し、率直かつ忌憚のない議論が行われました。また、日本政府からは、30日の開会セッションに岩屋毅外務大臣が出席し、歓迎の挨拶を行いました。
- 30日午前の開会セッションでは、冒頭、岩屋外務大臣から、歓迎の辞として、我が国として「核兵器のない世界」の実現という理想に向けて一歩一歩前進していく姿勢が揺らぐことは全くなく、日本政府として、今次会合において取りまとめられる予定の提言を受け止め、「核兵器のない世界」に向けた現実的かつ実践的な取組を継続していきたい旨述べました。その後、政治リーダーとして、モゲリーニ欧州大学院大学学長が挨拶をするとともに、グテーレス国連事務総長(H.E. Mr. António Guterres, Secretary-General of the United Nations)、ミチェル・バチェレ・チリ元大統領(H.E. Ms. Michelle Bachelet, former President of the Republic of Chile)、ハンス・ブリックス元IAEA事務局長(H.E. Dr. Hans Blix, former Director General of the International Atomic Energy Agency)、アミーナ・モハメド元ケニア外務長官(Ambassador Amina Mohamed, former Cabinet Secretary for Foreign Affairs of the Republic of Kenya)からのビデオ・メッセージがそれぞれ紹介されました。また、白石座長からの挨拶が行われました。
- 30日及び31日の2日間にわたり、委員らは6つのセッションを通じ、これまでの会合で積み重ねられた議論を踏まえて、「核兵器のない世界」の実現に向けた具体的方策を検討し、2026年NPT運用検討会議に向けた提言を発出しました。政府としては、今般の提言も参考にしつつ、2026年NPT運用検討会議に向けて、「核兵器のない世界」の実現に向けた現実的かつ実践的な取組を一層進めていく考えです。加えて、4月28日から開催されるNPT運用検討会議第3回準備委員会の機会も活用し、今回の提言の内容を国際社会に発信して参ります。
- また、今次会合に対面で参加した委員らは、30日、長島昭久総理大臣補佐官主催の昼食会に参加しました。31日には、委員らは、石破茂内閣総理大臣を表敬するとともに、軍縮関連の国会議員連盟との意見交換を行いました。さらに、同日夜には、英利アルフィヤ外務大臣政務官主催夕食会に出席し、和やかな雰囲気の中で意見交換を行いました。
(参考2)
「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議による提言(英文(PDF)/和文仮訳(PDF)
)
<概要>
これまでの国際賢人会議第1回~6回会合で積み重ねられた議論を踏まえて、2026年NPT運用検討会議に向けて、
- 侵略行為や武力による領土獲得を行わないことを含め、国連憲章を全体として遵守
- 常に、国際人道法を含む、適用可能な国際法の遵守
- 核兵器のない世界に向けて尽力する責任(最も大きな責任を負うのは核保有国)
- NPTを中核とする多国間の核不拡散体制の維持・強化のための対話と協力の文化を醸成、技術を含む新たな挑戦と機会に迅速に適応できるよう協力
- 核兵器への依存から脱却するために努力し続ける(核抑止が安全保障の最終的な形態であるとこれまで示されたことはなく、これからもそうあってはならない)
(参考3)「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議
- 核兵器国と非核兵器国、さらには、核兵器禁止条約の参加国と非参加国からの参加者が、それぞれの国の立場を超えて、知恵を出し合い、「核兵器のない世界」の実現に向けた具体的な道筋について、自由闊達な議論を行う場として立ち上げられたもの。2022年12月の第1回会合以来、今回を含めて6回の会合を開催。
- 「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議委員(15名)
【対面参加】
- 白石 隆(座長)
- 熊本県立大学特別栄誉教授
- アンゲラ・ケイン
- 元国連事務次長兼国連軍縮担当上級代表
- 高見澤 將林
- 東京大学公共政策大学院客員教授
- ジョージ・パーコビッチ
- 米カーネギー国際平和財団「核兵器のない世界に向けたジャパン・チェア」兼核政策プログラム・シニアフェロー
- イアン・アンソニー
- スウェーデン国防研究所(FOI)防衛分析部安全保障政策班分析官
- ブルーノ・テルトレ
- 仏戦略研究所副所長
- ディナ・カワール
- 駐米ヨルダン大使
- マンプリート・セティ
- 印空軍力研究センター(CAPS)フェロー
- 秋山 信将
- 一橋大学国際・公共政策大学院教授/日本国際問題研究所軍縮・科学技術センター所長
- ターニャ・オグルビー・ホワイト
- 核軍縮・不拡散アジア太平洋リーダーシップ・ネットワーク(APLN)上級研究顧問
- アントン・フロプコフ
- 露エネルギー・安全保障研究センター(CENESS)センター長
- 趙通(ジャオ・トン)
- 米カーネギー国際平和財団シニアフェロー
【オンライン参加】
- ローズ・ゴッテメラー
- 元米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)
- グスタヴォ・スラウビネン
- 第10回NPT運用検討会議議長
【欠席】
- マルティ・ナタレガワ
- 元インドネシア外務大臣