報道発表

フィリピン共和国に対する円借款5件に関する書簡の署名・交換

令和7年3月21日

 3月21日(現地時間同日)、フィリピン共和国の首都マニラにおいて、遠藤和也駐フィリピン共和国日本国特命全権大使と、エンリケ・マナロ・フィリピン共和国外務大臣(Hon. Enrique A. Manalo, Secretary for Foreign Affairs of the Republic of the Philippines)との間で、総額1,715.80億円を限度とする円借款5件に関する書簡の署名・交換が行われました。

  1. 対象案件の概要
    1. 気候変動対策プログラム(供与限度額:350.00億円)
       本プログラムは、フィリピンにおいて、財政支援を通じて気候変動対策における優先順位の高い政策等の実行の改善・立案を支援することにより、気候変動対策資金導入のための制度・体制強化、気候変動の影響に対する強靭性の強化、低炭素社会の実現に向けた計画・実施能力の強化を図り、もって同国の気候変動対策目標の実現に寄与するものです。
    2. ユニバーサル・ヘルス・ケア構築プログラム(供与限度額:300.00億円)
       本プログラムは、フィリピンにおいて、財政支援を通じて、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成のために優先順位の高い政策等の実行を支援することにより、質の高い保健サービスへの公平なアクセスの改善を図り、もって経済の安定及び社会開発の促進に寄与するものです。
    3. ダバオ市バイパス建設計画(第三期)(供与限度額:463.38億円)
       本計画は、フィリピンのミンダナオ島ダバオ市において、同市の南端部と中央部にかけてバイパス道路を建設することにより、増加する交通量への対応及び市内の交通渋滞の改善並びに同市を核とするミンダナオ島最大の経済圏内の物流改善を図り、もってミンダナオ島の経済発展に寄与するものです。
       なお本計画では、本邦技術活用条件(STEP)が適用され、日本の高度な技術(全断面早期閉合工法(掘削技術)、AGF-P工法(NATM補助工法)、開削トンネル工法)が活用されます。
    4. パッシグ・マリキナ川河川改修計画(フェーズIV)(第二期)(供与限度額:457.59億円)
       本計画は、フィリピンのマニラ首都圏において、パッシグ・マリキナ川の河川改修及び可動堰等の建設、並びに洪水に対する非構造物対策を実施することにより、マニラ首都圏中心部の洪水被害の軽減を図り、もって同地域の脆弱性の克服及び生活・生産基盤の安定に寄与するものです。
       なお本計画では、本邦技術活用条件(STEP)が適用され、運搬性に優れており、通常の鋼矢板と比較して強度を保ったままコストを抑えることができる「ハット型鋼矢板+H型鋼工法」、及び振動・騒音抑制といった環境配慮の必要性から、本邦企業が強みを有する技術である「ウォータージェット併用バイブロハンマ工法」が活用されます。
    5. カビテ州産業地域洪水リスク管理計画(第二期)(供与限度額:144.83億円)
       本計画は、フィリピンのカビテ州において、分水路の建設・改修及び河川改修といった洪水対策を実施することにより、産業集積地を中心とする同地域の洪水被害の軽減を図り、もって同地域の持続的・安定的な経済発展に寄与するものです。
  2. 供与条件
    1. 上記1(1)
      1. 金利:年1.50%(優先条件(固定・基準))
      2. 償還期間:15年(5年の据置期間を含む。)
      3. 調達条件:一般アンタイド
    2. 上記1(2)
      1. 金利:年1.50%(優先条件(固定・基準))
      2. 償還期間:15年(5年の据置期間を含む。)
      3. 調達条件:一般アンタイド
    3. 上記1(3)
      1. 金利:年0.65%(固定金利、コンサルティングサービス部分は年0.55%)
      2. 償還期間:40年(10年の据置期間を含む。)
      3. 調達条件:日本タイド
    4. 上記1(4)
      1. 金利:年0.65%(固定金利、コンサルティングサービス部分は年0.55%)
      2. 償還期間:40年(10年の据置期間を含む。 
      3. 調達条件:日本タイド
    5. 上記1(5)
      1. 金利:年2.25%(固定金利、コンサルティングサービス部分は年0.55%)
      2. 償還期間:30年(10年の据置期間を含む。) 
      3. 調達条件:一般アンタイド

(参考1)フィリピン共和国データ

 フィリピン共和国は、面積約30万平方キロメートル(日本の約8割)、人口約1億1,734万人(2023年(令和5年)、世界銀行)、人口一人当たりの国民総所得(GNI)は4,230米ドル(2023年(令和5年)、世界銀行)。

(参考2)円借款

 開発途上国に対してインフラ等の建設資金として必要な資金を緩やかな条件(低い金利や長い返済期間)で貸し付ける協力。開発途上国にとっては、日本への返済を前提とした資金なので、効果的な活用や自立的発展に繋がることが期待される。

(参考3)STEP

 本邦技術活用条件(STEP)は、我が国の優れた技術やノウハウを活用し、開発途上国への技術移転を通じて我が国の「顔が見える援助」を促進するため、平成14年(2002年)7月に導入されたもの。


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