報道発表
インドネシア共和国に対する円借款2件に関する書簡の署名・交換
令和7年1月11日
1月10日(現地時間同日)、インドネシア共和国の首都ジャカルタにおいて、正木靖駐インドネシア共和国日本国特命全権大使と、アブドゥル・カディール・ジャイラニ・インドネシア共和国外務省アジア・太平洋・アフリカ総局長(Mr. Abdul Kadir Jailani, Director General of Asia-Pacific and African Affairs, Ministry of Foreign Affairs of the Republic of Indonesia)との 間で、総額904.56億円を限度とする円借款に関する書簡の署名・交換が行われました。
なお、対象案件2件のうち1件には、本邦技術活用条件(STEP)が適用され、我が国の岸壁建設、埋立・地盤改良等の施工技術が活用される予定です。
- 対象案件の概要
- 「行政官管理育成強化計画」(供与限度額70.48億円)
インドネシアでは、独立100周年の2045年に向けたビジョンの柱として「公平な発展」と「国家レジリエンスと行政官の能力強化」を掲げ、中央政府と地方政府の行政能力の向上を目指し、行政官の能力強化を行うとしています。また、インドネシアの国家中期開発計画(2020-2024)においても、「人材の質的向上」、「公共サービスの安定性強化」、「地域間の格差縮小と平等の確保」等のアジェンダが掲げられており、行政官の能力向上を通じた均衡ある発展を目指しています。
本計画では、インドネシアにおける行政官の適切な管理と能力強化を後押しし、同国の中央政府・地方政府の組織的能力向上を図ることにより、開発優先目標の達成や日・インドネシア間での継続的な人材交流の発展に寄与します。 - 「パティンバン港開発計画(第三期)」(供与限度額834.08億円)
インドネシアでは、近年の急激な経済成長に伴い、既存の国際港湾であるタンジュンプリオク港の年間コンテナ取扱可能量(863万TEU)では2025年のコンテナ需要(1,024万TEU)に対応できなくなる見込みであるほか、物流機能に必要なスペースも不足しています。また、首都圏の道路は慢性的な渋滞にあり、首都圏東部に製造拠点を有する本邦企業を含む多くの企業にとって、首都圏北部に位置するタンジュンプリオク港へのアクセスの悪さがビジネス展開上の障壁となっていることからも、新港を建 設した上で首都圏の貨物交通量の分散を図ることが強く期待されています。
本計画は、ジャカルタ首都圏東部パティンバンに新港(コンテナターミナル、自動車ターミナル等)を建設することにより、首都圏の物流機能強化を図り、もってインドネシアの投資環境改善を通じた更なる経済成長に寄与するものです。
また、本計画は、包括的・戦略的パートナーである日本とインドネシアとの関係を更に発展させるとともに、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)及びFOIPと多くの本質的な原則を共有する「インド太平洋に関するASEANアウトルック」(AOIP)の実現にも資するものです。
- 「行政官管理育成強化計画」(供与限度額70.48億円)
- 供与条件
- 上記1(1)
金利:1.45%(固定金利、コンサルティングサービス部分は年0.2%)
償還期間:25年(7年の据置期間を含む。)
調達条件:一般アンタイド - 上記1(2)
金利:0.3%(固定金利、コンサルティングサービス部分は年0.2%)
償還期間:40年(10年の据置期間を含む。)
調達条件:日本タイド
- 上記1(1)
(参考1)円借款
開発途上国に対してインフラ等の建設資金として必要な資金を緩やかな条件(低い金利や長い返済期間)で貸し付ける協力。開発途上国にとっては、日本への返済を前提とした資金なので、効果的な活用や自立的発展に繋がることが期待される。
(参考2)STEP
本邦技術活用条件(STEP)は、我が国の優れた技術やノウハウを活用し、開発途上国への技術移転を通じて我が国の「顔が見える援助」を促進するため、平成14年(2002年)7月に導入されたもの。
(参考3)インドネシア共和国基礎データ
インドネシア共和国は、面積約192万平方キロメートル(日本の約5倍)、人口約2.79億人 (2023年、インドネシア中央統計局) であり、人口1人当たりの国民総所得 (GNI) は4,870米ドル (2023年、世銀)。