報道発表

穂坂外務大臣政務官のG20開発大臣会合等出席

令和6年7月25日
ヴィエイラ・ブラジル外相と握手をする穂坂外務大臣政務官 穂坂政務官とヴィエイラ伯外相
G20開発大臣会合で発言をする穂坂外務大臣政務官 G20開発大臣会合で発言する穂坂政務官
G20開発大臣会合の会場の様子 G20開発大臣会合の様子 (写真提供:G20 Brazil

 7月22日から24日にかけて、ブラジル・リオデジャネイロにて、G20開発大臣会合及びG20飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンス設立に関する閣僚級会合が開催され、穂坂泰外務大臣政務官が出席したところ、概要は以下のとおりです。

1 G20開発大臣会合

 7月22日及び23日、G20開発大臣会合が開催され、セッション1では「水と衛生へのアクセスの確保」、セッション2では「不平等との闘い・三角協力」について議論が行われました。

(1)セッション1:「水と衛生へのアクセスの確保」

 本セッションでは、安全な水と衛生サービスの確保に向けた取組を加速するための方策や支援のあり方等について議論が行われました。
 穂坂政務官からは、飲み水や衛生サービスへのアクセスは、我々人間の生命や経済活動に関わり、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現に直結する重要な課題であり、ブラジルがG20議長国として、これを開発トラックでの優先課題に据えていることを支持する旨述べました。
 また、日本は、水・衛生分野における世界のトップドナーの一員として、質の高いインフラ整備や人材育成等幅広い支援を行ってきていることや、日本の取組を通じて、日本と多様なパートナーとの間での学びあいが生まれ、水と衛生へのアクセスの確保に向けた解決策が共創されていることを、具体例を交えながら紹介しました。
 その上で、引き続き、多くの国、国際機関と連携し、「熊本水イニシアティブ」を始めとする「水アクション・アジェンダ」を通じ、我が国の強みや経験を活かしながら、取組を進めていく旨述べました。

(2)セッション2:「不平等との闘い・三角協力」

 本セッションでは、気候変動、デジタル、ジェンダー等幅広い分野における不平等への対処や三角協力等について議論が行われました。
 穂坂政務官からは、世界の不平等は拡大しており、女性や子どもを始めとする脆弱な立場にある人々が深刻な被害を受けていることを指摘しつつ、G20メンバーであるロシアは、これまでのG20のほとんどの首脳による非難にもかかわらず、今なおウクライナ侵略を継続しており、これはG20の協力の基盤を揺るがす暴挙で、各国が支えるべき法の支配への大いなる挑戦であること、また、食料安全保障やエネルギー安全保障を始め、人々の生活基盤に重大な影響を与えている旨述べました。他の多くのメンバーからも、ロシアのウクライナ侵略による悪影響につき懸念が表明されました。
 また、穂坂政務官から、緊迫する中東情勢も、世界経済への直接的な悪影響を生じさせており、日本はガザ地区の危機的な人道状況を深刻に懸念し、総額1億2,500万ドル規模の人道支援をパレスチナに対して行ってきていること、また、UNRWAへの拠出も本年4月に再開した旨述べました。
 その上で、日本は、ODAを開始してから70年の間、一貫して、質の高い教育の提供を始めとする人への投資を実践してきていることを紹介しました。また、開発課題に取り組むに当たっては、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを含む、包摂性の視点も不可欠であり、日本は、女性・平和・安全保障(WPS)の取組を進めている旨述べました。
 さらに、国際社会のパートナーによる協働を加速させることが不可欠であり、日本は、2000年(平成12年)以降、ブラジルと共に、日本・ブラジル・パートナーシップ・プログラム(JBPP)を通じて、パートナー間の知識と経験の共有を促進する三角協力を実施してきていることを紹介しました。
 また、パートナーシップを最大化する上では、途上国への負の影響を避けることが不可欠であり、全ての開発協力提供者が、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を始めとする国際ルールやスタンダードを遵守した透明で公正な開発金融を行うよう、引き続きG20として取り組んでいくことを求めました。

2 G20飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンス設立に関する閣僚級会合

 7月24日、G20飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンス設立に関する閣僚級会合が開催され、世界の飢餓と貧困の削減に向けた取組・連携の強化について議論が行われました。
 穂坂政務官からは、2030年(令和12年)までに貧困と飢餓を撲滅するというSDGs目標1と2の進捗には遅れが生じていることを指摘しました。そのような中で、ロシアは、これまでのG20のほとんどの首脳による非難にもかかわらず、今なおウクライナ侵略を継続しており、これは食料安全保障を始め、人々の生活基盤に重大な影響を与えていること、また、それにより引き起こされたサプライチェーンの分断等は、食料価格の高騰を生じさせ、世界の飢餓を一層悪化させている旨述べました。
 また、飢餓、貧困への国際社会による取組の加速は急務であり、本年、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領のリーダーシップの下、G20議長国であるブラジルが、自国での経験に基づき、「飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンス」の設立を主導していることは、まさに時宜を得たものであり、日本は、その取組の野心に賛同し、設立を支持する旨述べました。
 その上で、グローバル・アライアンスは、膨大な開発ニーズへの対処に当たり、途上国のオーナーシップを醸成すると同時に、G20を超えた政府、国際機関、民間企業、研究機関を含む様々な国際的なパートナー間の連携を促進する取組であり、これは、途上国の自助努力を支援しつつ、様々な主体を巻き込み、対等なパートナーシップの下、対話と協働を通じて社会的課題の解決策を「共創」していくという、日本の開発協力の理念と軌を一にしている旨述べました。
 また、日本は、人間の安全保障の考え方に基づき、2030年(令和12年)までの飢餓と貧困の撲滅の実現に向け、グローバル・アライアンスを通じたものも含め、国際社会の様々なパートナーと、これらの開発課題の解決策を引き続き共創していく旨表明しました。

3 その他の日程

(1)二国間会談等

 今次会合の機会を捉え、穂坂政務官は、マウロ・ルイス・イエッケル・ヴィエイラ・ブラジル連邦共和国外務大臣(H.E. Amb. Mauro Luiz Iecker Vieira, Minister of Foreign Affairs of the Federative Republic of Brazil)と、二国間関係、G20における連携等について意見交換を行いました。
 また、穂坂政務官は、アーメッド・フッセン・カナダ国際開発大臣(Hon. Ahmed Hussen, Minister of International Development of Canada)、セイソ・ジョエル・モハイ・南アフリカ共和国計画・監視・評価副大臣(Hon. Seiso Joel Mohai, Deputy Minister of Planning, Monitoring and Evaluation of the Republic of South Africa)と会談を行い、G20における連携強化、開発金融等について意見交換を行ったほか、今後とも、開発分野において連携していくことを確認しました。
 このほか、穂坂政務官は、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、韓国、EU等、各国からの出席者と開発分野における協力について意見交換を行いました。

(2)現地視察等

 22日、穂坂政務官は、リオデジャネイロ市内において、リオデジャネイロ日系協会会館及び日本人学校を訪問し、リオデジャネイロの日系社会の歴史について説明を受け、在留邦人や日系ブラジル人の方々との交流を深めるともに、現地のJICA海外協力隊員と懇談しました。その他、リオデジャネイロ植物園内日本庭園等の視察を行いました。さらに、リオデジャネイロ日本商工会議所の駐在日本企業等代表者と現地での活動等について意見交換を行いました。

 

(参考1)G20開発大臣会合及びG20飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンス設立に関する閣僚級会合の参加国・機関

(1)G20
  日本、ブラジル(議長国)、アルゼンチン、豪州、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国、米国、AU(アフリカ連合)、EU(欧州連合)

(2)招待国
  アンゴラ、エジプト、オランダ、ナイジェリア、ノルウェー、ポルトガル、シンガポール、スペイン、アラブ首長国連邦、バングラデシュ(飢餓と貧困に関する閣僚級会合のみ)、スイス(飢餓と貧困に関する閣僚級会合のみ)

(3)国際機関
  アンデス開発公社(CAF)、国連食糧農業機関(FAO)、米州開発銀行(IDB)、国際労働機関(ILO)、国際通貨基金(IMF)、新開発銀行(NDB)、世界銀行(WB)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連開発計画(UNDP)、国連貿易開発会議(UNCTAD)、国連工業開発機関(UNIDO)、世界保健機関(WHO)、世界貿易機関(WTO)等

(以下は、飢餓と貧困に関する閣僚級会合のみ)
  世界食料安全保障委員会(CFS)、国際農業研究協議グループ(CGIAR)、国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)、国際農業開発基金(IFAD)、経済協力開発機構(OECD)、国連児童基金(UNICEF)、国連世界食糧計画(WFP)等

(参考2)別添

 1 開発大臣会合成果文書

 2 飢餓貧困閣僚級会合成果文書


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