報道発表

日・スリランカ外相会談及びワーキング・ディナー(結果)

令和6年7月2日
サブリー・スリランカ外務大臣を出迎える上川外務大臣
サブリー・スリランカ外務大臣と握手をする上川外務大臣
日・スリランカ外相会談の様子

 7月2日、17時00分から、上川陽子外務大臣は、外務省賓客として訪日中のアリ・サブリー・スリランカ民主社会主義共和国外務大臣(Hon. M.U.M. Ali SABRY, Minister of Foreign Affairs of the Democratic Socialist Republic of Sri Lanka)との間で、外相会談(約60分間)及びワーキング・ディナー(約70分間)を行ったところ、概要は以下のとおりです。

  1. 冒頭、上川大臣から、サブリー外相の訪日を歓迎し、本年5月のスリランカ訪問時におけるコロンボでの歓迎に対する謝意を述べた上で、2か月の間に両国の外務大臣の相互訪問を実施できたことは、二国間関係の深化を示すものである旨述べました。これに対し、サブリー外相より、日本は長年の開発パートナーであり、一昨年の経済危機以後の日本の支援及び債務再編における日本の貢献に感謝する、1996年の内閣府「世界青年の船」事業による訪日以来28年ぶりとなる再訪が実現して非常にうれしい旨述べました。
  2. 上川大臣から、債務再編に関し、債権国会合とスリランカとの間で覚書について最終合意に至ったことを歓迎するとともに、サブリー外相を含めたウィクラマシンハ政権の債務問題に対する取組を高く評価する旨を述べました。また、今後覚書の署名プロセスを早期に完了することが重要である旨、他の債権国や民間債権者との間で、透明性高く、公平な債務再編を実行することを期待する旨を述べました。さらに、同覚書の署名に加えて、二国間合意の迅速な締結に向けたスリランカ政府の意思が確認された際には、既存の円借款事業に対する貸付を早期に再開させ、スリランカの発展を一層後押ししていく考えを伝えました。これに対しサブリー外相より、覚書の署名プロセスの現状及び債務再編に関する今後の見通しについて説明があるとともに、一刻も早く円借款事業を再開していただくべく、必要や対応を進めていきたい旨の発言がありました。
  3. 上川大臣から、スリランカにおける国民和解について、スリランカ政府による具体的な取組の進展を評価するとともに、政府と経済成長の潜在力がある北部州及び東部州との関係がより安定的となれば、日本企業を含む海外企業にとっても、投資環境の更なる向上につながる旨述べました。サブリー外相から、地方分権や大統領による土地の返還事業等、国民和解に向けたスリランカ政府の取組について説明があるとともに、日本の協力に対し謝意が表明されました。
  4. 上川大臣から、アフリカから太平洋に至るシーレーン上に位置するスリランカの戦略的重要性を踏まえ、海洋分野におけるスリランカとの協力を今後一層強化していきたいと考えている旨伝達しました。サブリー外相から、平和を愛する海洋国家として、あらゆる国と協調しつつ、インド洋の平和と安定に今後も貢献していく旨発言がありました。
  5. 上川大臣から、28年前にサブリー外相が来日するきっかけとなった内閣府「世界青年の船」事業や、新たな人材育成奨学計画(JDS)の実施を通じて、スリランカの発展のために活躍し、両国の架け橋になる人材が育成されることを期待する旨述べました。両大臣は、活発な人的交流は二国間関係の礎であり、両国間の人的交流を今後積極的に進めていきたい旨で一致しました。
  6. 両大臣は、東アジア、南アジア、ウクライナ情勢を含む地域情勢について率直な意見交換を行い、二国間でよく意思疎通していくことで一致しました。また、両大臣は、国際的な課題についても意見交換を行い、上川大臣からは、軍縮・不拡散について、サブリー外相が広島を訪問する予定であることに触れつつ、「核兵器のない世界」の実現に向けスリランカとより一層協力していきたい旨述べました。併せて上川大臣から、スリランカによる追加議定書(AP)の締結及び早期発効に向けた国内手続きの加速を期待している旨述べました。また、女性・平和・安全保障(WPS)について、サブリー大臣より、スリランカにおける女性の社会進出の歴史、現状及び課題につき説明があるとともに、WPSの「チャンピオン」である上川大臣と今後も連携を一層強化していきたいとの発言がありました。さらに、両大臣は、安保理改革を含む国連の機能強化を始めとする国際的な課題についても連携を深めていくことで一致しました。この関連で、サブリー大臣より、「グローバル・サウス」と「グローバル・ノース」の橋渡し役としての日本の役割に期待が示されました。

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