報道発表

辻󠄀外務副大臣の核セキュリティに関するIAEA国際会議(ICONS)閣僚会合への出席等(結果概要)

令和6年5月21日
辻󠄀外務副大臣による演説
IAEA国際会議閣僚会合会場の様子

 5月20日から24日まで、ウィーンにおいて、国際原子力機関(IAEA)の主催により、「核セキュリティに関するIAEA国際会議(ICONS)」が開催されており、初日の5月20日に開催された閣僚級会合に、我が国から政府代表として、辻󠄀清人外務副大臣が出席しました。なお、同会議は、IAEAが主催する核セキュリティに関する4回目の会議であり、グローバルな核セキュリティ対策を更に強化するための方策を議論し、各国の知見の共有を促進すること等を目的として開催されました。

1 閣僚会合

  1. 各国代表による演説が行われ、我が国からは、辻󠄀副大臣が演説しました。
    1. 演説の中で、辻󠄀副大臣は、各国におけるエネルギー需要の増大や脱炭素の世界的潮流の中で、原子力発電への国際社会の関心が高まる中、原子力の平和的利用を進める各国は、非国家主体への核兵器や核物質の拡散リスクといった核セキュリティに対する認識を向上させ、最高水準の核セキュリティの確保に向けて取り組んでいく必要がある旨述べました。
    2. また、ロシアによるウクライナ侵略について、IAEA事務局長による「原子力施設の安全及び核セキュリティに関する7つの柱」が損なわれるべきではなく、また、ウクライナと共にあるとの我が国の立場は不変である旨述べました。
    3. 加えて、最高水準の核セキュリティの確保に向けて、日本は、核物質防護条約及びその改正の普遍化を支持するとともに、実際の現場における取組を進めてきた旨説明しました。
    4. 最後に、我が国は、グロッシー事務局長のリーダーシップの下、様々な活動を展開するIAEA、そして各国と連携しつつ、国際社会における最高水準の核セキュリティの確保に向けて、引き続き貢献していく旨述べました。
  2. 閣僚会合では共同議長声明(原文英語(PDF)別ウィンドウで開く和文仮訳(PDF)別ウィンドウで開く)が発出されました。

2 各国政府・国際機関の要人との会談等

 辻󠄀副大臣は、会議の期間中に以下の各国政府・国際機関の要人との会談等を行いました。概要は以下のとおりです。

辻󠄀外務副大臣とターク副長官との会談の様子
辻󠄀外務副大臣とターク副長官との記念撮影
(1)米国:デイビッド・ターク・エネルギー副長官(Mr. David Turk, Deputy Secretary of Energy

 辻󠄀副大臣から、我が国は経済安保、そしてGX実現の観点からも原子力の活用を推進しており、エネルギーとしての原子力政策推進には一貫した外交・安全保障政策が不可欠であること、また気候変動対策との関係で、日米が更にこの分野で技術面・人材育成面等で協力を深化させることを期待する旨述べました。
 これに対し、ターク副長官は、日米は様々な分野で緊密に協力できる、特にクリーンエネルギー推進の観点で日米は長年協力してきており、原子力エネルギー推進の観点でも日米間が科学に基づき協力を更に深化させていくことができると述べました。

外務副大臣とボーウィ大臣との記念撮影
(2)英国:アンドリュー・ボーウィ・エネルギー安全保障・ネットゼロ省原子力・再生可能エネルギー担当大臣(Mr. Andrew Bowie MP, Minister for Nuclear and Renewables

 辻󠄀副大臣から、英国のCPTPPへの加入やGCAPの政府間機関の設立に関する条約の署名等を通じた多分野における日英間の取組を歓迎し、COP28で署名された「原子力3倍宣言」を踏まえた気候変動対策の観点からも原子力を含むエネルギー政策において両国で連携していきたい旨述べました。
 これに対し、ボーウィ大臣は、経済成長と脱炭素は両立し得るものであり、原子力の利点を発信することが重要である、日英間での協議を定期的に行い連携していきたいと述べました。

辻󠄀外務副大臣とジャック長官との会談の様子
(3)フランス:フランソワ・ジャック原子力代替エネルギー庁長官(Mr. François Jacq, Chairman of the CEA (Mr. Commissariat à l’énergie atomique – Nuclear energy Committee))

 辻󠄀副大臣から、昨年日仏両国首脳が、「特別なパートナーシップ」の下での日仏協力のロードマップに基づき、民生用原子力分野における協力強化を発表したことを歓迎しつつ、先月、第12回会合が開催された原子力エネルギーに関する日仏委員会などを通じて、この分野における日仏協力が継続的に発展することを期待する旨述べました。
 これに対し、ジャック長官は、副大臣から言及のあった日仏委員会を自身が議長として開催できたことは大変喜ばしいこと、マクロン大統領も述べているとおり、カーボンニュートラル実現のために原子力の果たす役割は大きいことを述べました。また福島第一原発事故後の日本の取組を賞賛すると述べました。

辻󠄀外務副大臣とヴェストレン副大臣との会談の様子
(4)スウェーデン ダニエル・ヴェストレン気候・環境副大臣(Mr. Daniel Westlén, State Secretary to Minister for Climate and the Environment

 辻󠄀副大臣から、本年1月の上川大臣によるスウェーデン訪問に言及しつつ、「日本の北欧外交イニシアティブ」推進のため、特にエネルギー分野を含む経済面でも、日・スウェーデンの協力拡大を期待する旨述べました。
 これに対し、ヴェストレン副大臣は、自身も原子力の専門家として原子力推進に向けた国内外の議論の推移を注視していること、また医療面含め原子力の平和的利用を様々な形で推進していくべく、日スウェーデンで連携していきたい旨述べました。

辻󠄀外務副大臣とエシムカノフ副大臣との会談の様子
(5)カザフスタン:サンガト・エシムカノフ・エネルギー副大臣(Mr. Sungat Esimkhanov, Vice-Minister of Energy

 辻󠄀副大臣から、まずは今次のICONS閣僚会合共同議長としてのカザフスタンの取組に感謝・賞賛を述べつつ、中央アジア地域の安定と繁栄に主導的な役割を果たすカザフスタンとの戦略的パートナーシップに基づき、二国間関係を強化させていきたいこと、また、原子力の平和的利用推進のため、両国間の協力拡大を期待する旨述べました。
 これに対し、エシムカノフ副大臣は、ICONS共同議長声明への日本からの支持に感謝すると述べつつ、原子力、医療、資源等様々な分野において両国間は更に協力を深化させることができ、引き続き緊密に意思疎通したい旨述べました。

辻󠄀外務副大臣とグロッシー事務局長との記念撮影
辻󠄀外務副大臣とグロッシー事務局長との会談の様子
(6)IAEA:ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長(H.E. Mr. Rafael Mariano Grossi, Director General of the International Atomic Energy Agency

 辻󠄀副大臣から、気候変動対策との関係でも原子力の平和的利用は不可欠であり、特にエネルギーの需要は拡大しつつありIAEAの役割は重要であること、また、ALPS処理水の海洋放出に対するIAEAレビューを含め、3月の事務局長訪日での議論・成果をしっかりフォローしつつ、引き続き幅広い分野においてIAEAと協力していきたい旨述べました。
 これに対し、グロッシー事務局長からは、ALPS処理水海洋放出については引き続き独立した国際機関の立場から関与を続けていく考えであること、またウクライナやアフリカなどで進めるIAEAの取組への日本の関与・貢献を期待する旨述べました。

(7)その他

 辻󠄀副大臣は、国際機関邦人職員と懇談を行いました。

(参考)別添

 辻󠄀副大臣の政府代表演説(日本語(PDF)別ウィンドウで開く英語(PDF)別ウィンドウで開く


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