報道発表

宇宙の状況の監視に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の書簡の交換(日米宇宙状況監視(SSA)協力取極の締結)

平成25年5月28日
  1.  本28日、東京において、我が方岸田文雄外務大臣と先方ジョン・V・ルース駐日米国大使(Mr. John V. Roos, Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of the United States of America)との間で、宇宙の状況の監視に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の書簡の交換(日米宇宙状況監視(SSA)協力取極の締結)が行われました。
  2.  この取極は、米国政府から日本国政府に対して、宇宙物体の軌道に関する役務及び情報の共有を行うための国際約束です。これにより、宇宙物体の軌道に関する情報について、これまで以上に広範な内容を迅速に共有することが可能となります。例えば、我が国の衛星に接近する衝突物に関する詳細な情報や、その衝突を回避するために我が国の衛星が通過すべき軌道に関する情報等を受けることが可能となり、これらは我が国の衛星等の安全な運用に資することが期待されます。
  3.  この取極は、日米間で推進する宇宙協力の一環として、日米両政府間において協議し、合意に至ったものです。日本国政府としては、この取極に基づく宇宙状況監視に関する日米協力を端緒として、米国政府との間で宇宙分野での協力を一層強化していく考えです。

(注)この取極に基づき行われる協力に、平和的目的のための宇宙の探査及び利用における協力のための損害賠償責任に係る相互放棄に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(日米宇宙損害協定)を適用することから、同協定附属書にこれを追加する修正を行うための書簡の交換を行った。

  • 日米SSA協力取極 (和文英文) (PDF)別ウィンドウで開く
  • 日米宇宙損害協定付属書の修正のための交換公文 (和文英文) (PDF)別ウィンドウで開く

【参考】

  1. 宇宙状況監視(Space Situational Awareness:SSA)
     米国では、衛星への宇宙ゴミ(デブリ)の衝突等を回避するため、国防省(戦略軍統合宇宙運用センター)が宇宙の状況を監視し(宇宙状況監視(Space Situational Awareness:SSA)と呼ばれている。)、その結果得られた情報等を外国政府等に提供する取組が進められている。
  2. 本取極のポイント
    ・日本側からの要請に基づき、米側は宇宙物体の軌道に関する情報等を提供することができる。
    ・本取極に基づき行われる協力(SSA協力)は、内閣官房、国土交通省、防衛省、文部科学省及び宇宙航空研究開発機構(JAXA)と米国防省の間で行われる了解覚書(本取極と同日付けで署名予定)等の条件に従い実施される。
    ・SSA協力の一環として交換される情報は、許可されていない開示から保護される(ただし、秘密情報の交換は本取極の対象外。)。
    ・日米宇宙損害協定等がSSA協力に適用されることを確認する。
    ・SSA協力は日米それぞれの法令及び予算に従って実施される。
    (注)了解覚書の日本側当事者が運用中又は運用予定の衛星
    内閣官房(内閣衛星情報センター):情報収集衛星
    国土交通省:運輸多目的衛星
    防衛省:防衛用通信衛星(平成27年度に打上げ予定)
    JAXA:宇宙科学分野、地球観測分野、通信・放送・測位分野の衛星
  3. 本取極署名に至る経緯
     日米間では宇宙協力の一環として、米国政府から我が国政府に対して、宇宙物体の軌道に関する役務及び情報の共有を行うための法的枠組みの構築につき議論してきた。2012年4月の日米首脳会談の際に発表された『ファクトシート:日米協力イニシアティブ』で、この枠組みを構築することを確認し、その後、本年2月及び同4月の日米外相会談で提起することにより、本取極交渉を加速化した結果、今般、「日米SSA協力取極」の締結に至った。

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