報道発表
バングラデシュに対する経済協力に関する書簡の交換
1 6月30日(現地時間同日),バングラデシュの首都ダッカにおいて,我が方泉裕泰駐バングラデシュ大使と先方モノワール・アーメド財務省経済関係局次官(Mr. Monowar Ahmed, Secretary, Economic Relations Division, Ministry of Finance, People’s Republic of Bangladesh)との間で,総額16億8,700万円を供与限度額とする無償資金協力2件(「人材育成奨学計画」及び「バングラデシュにおける全球測位衛星システム連続観測点高密化及び験潮所近代化計画」),並びに,1,431億2,700万円を供与限度額とする円借款「マタバリ超々臨界圧石炭火力発電計画(V)」に関する書簡の交換が行われました。
2 対象案件の概要
(1)無償資金協力「人材育成奨学計画」(供与限度額4億2,900万円)
この計画は,バングラデシュの若手行政官等が,我が国で学位(修士又は博士)を取得するために必要な学費等を供与するものです。
バングラデシュにおいては,各開発課題を取り扱う政府機関・関連省庁の職員・組織・制度・財政等の能力・体制を含む行政能力の向上と制度構築を担う良質な人材の育成が必要となっています。
この協力により,最大で修士課程30名及び博士課程3名のバングラデシュの行政官等が自国の開発や経済発展に必要な各分野の専門的知識を習得し,帰国後,バングラデシュ政府の政策立案等に貢献することが期待されます。また,日・バングラデシュ間の相互理解及び友好関係の強化に加え,国際的な知的ネットワークの強化に寄与する人材の育成につながることが期待されます。
(2)無償資金協力「バングラデシュにおける全球測位衛星システム連続観測点高密化及び験潮所近代化計画」(供与限度額12億5,800万円)
この計画は,バングラデシュ全土において,高精度かつ効率的な測量・地図作成を可能とするために,既存の全球測位衛星システム連続観測点(電子基準点)及び験潮所を増設するものです。
バングラデシュでは,近年の7%程度の堅調な経済成長に伴い,今後大規模なインフラ投資が必要になると予測されていますが,インフラ整備にあたっては,対象地の地形などを確認・把握するために,検討段階に応じた精度の地図が必要となります。そのために,同国政府が整備を計画している国土空間データ基盤(NSDI:National Spatial Data Infrastructure)により実用に耐え得る精度での測量を実現するには,観測点を増やす必要があります。
この協力により, 2018年時点でバングラデシュにおいて10件である電子基準点の登録ユーザー数が,事業完成3年後(2023年)には280件に増加,また,リアルタイムでの測量可能範囲が,事業完成3年後(2023年)には,17,000㎢(国土の約12%)から約141,000㎢(国土の約96%)に拡大する他,バングラデシュにおける高精度で効率的な測量・地図作成,地理空間情報のデジタル化や高度活用のための基盤整備を通じたインフラ整備の効率化を実現し,もって全国民が受益可能な経済成長の加速化に寄与することが期待されます。
(3)円借款「マタバリ超々臨界圧石炭火力発電計画(V)」(供与限度額1,431億2,700万円))
近年の経済成長や工業化進展により電力需要が急増するバングラデシュの南東部チッタゴン管区マタバリ地区に定格出力1,200MW(600MW×2基)の高効率超々臨界圧石炭火力発電所及び関連設備として石炭輸入用港湾,送電線等を建設するための資金を融資します。これまで同発電所建設に向けて,2014年5月に第一期(供与限度額414億9,800万円),2016年6月に第二期(供与限度額378億2,100万円),2017年6月に第三期(供与限度額107億4,500万円),2018年6月に第四期(供与限度額673億1,100万円)として円借款を供与しており,今回はこれらに続く第五期の融資となります。
2024年を目途に建設予定の同発電所により,ダッカ首都圏の電力ニーズの30%に相当する年間7,865GWhの発電量が生み出され,同国における電力需要の急増やエネルギー転換ニーズへの対処につながるとともに,バングラデシュの中所得国化に向けた全国民が受益可能な経済成長の加速化と社会脆弱性の克服に寄与することが期待されます。
【供与条件】
金利 | : | 年0.90%(コンサルティングサービス部分は年0.01%) | |
償還期間 | : | 30年(10年の据置期間を含む。) | |
調達条件 | : | 一般アンタイド(一般条件) |
[参考]バングラデシュ人民共和国基礎データ
バングラデシュ人民共和国は,面積約14.7万平方キロメートル(日本の約4割),人口1億6,365万人(2018年,バングラデシュ統計局),人口1人当たりの国民総所得(GNI)1,470米ドル(2017年,世界銀行)。