報道発表

インドに対する円借款に関する書簡の交換

平成30年3月29日
インドに対する円借款に関する書簡の交換1
インドに対する円借款に関する書簡の交換2

1 本29日,東京において,日印外相間戦略対話の後,河野太郎外務大臣及びスシュマ・スワラージ・インド外務大臣(H.E. Mrs. Sushma Swaraj, Minister for External Affairs of India)立ち会いの下,我が方平松賢司駐インド大使と先方スジャン・ロメーシュチャンドラ・チノイ駐日インド大使(H.E. Mr. Sujan Romeshchandra CHINOY, Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of India)との間で,「ムンバイメトロ三号線建設計画(第二期)」他3件の円借款の供与(供与限度額合計1,492億1,800万円)に関する書簡の交換が行われました。

2 対象案件の概要

(1)インド最大規模のムンバイ都市圏における地下鉄整備に融資
  (円借款「ムンバイメトロ三号線建設計画(第二期)」,供与限度額1,000億円)

 この計画は,インド政府がマハラシュトラ州の州都ムンバイ都市圏において,地下鉄を建設するために同政府に融資するものです。これにより,1日あたりの乗降者数は約129万人,整備区間であるSEEPZ駅からカフ・パレード駅間(約33.7キロメートル)の所要時間は,現在自動車では約2時間10分のところ1時間20分程度となる見込みで,交通混雑の緩和と交通公害減少を通じた地域経済の発展及び都市環境の改善に寄与することが期待されます。

(2)水不足が深刻なチェンナイ都市圏における海水淡水化施設整備に融資
  (円借款「チェンナイ海水淡水化施設建設計画(第一期)」,供与限度額300億円)

 この計画は,インド政府がタミル・ナド州チェンナイ都市圏において,海水の淡水化施設及び送水・配水施設の建設・改善を行うために同政府に融資するものです。これにより,2027年(事業完成2年後)のチェンナイ市の給水人口は,2016年度の約710万人から約820万人へと約110万人増加するなど,安全かつ安定的な上水道サービスの向上が見込まれ,地域住民の生活環境の改善及び投資環境改善に寄与することが期待されます。

(3)多様な生態系を有するヒマーチャル・プラデシュ州の植林活動に融資
  (円借款「ヒマーチャル・プラデシュ州森林生態系保全・生計改善計画」,供与限度額111億3,600万円)

 この計画は,インド政府がヒマーチャル・プラデシュ州において,持続的な森林生態系管理及び生物多様性保全,地域住民の生活基盤強化支援,活動実施体制・能力強化を実施するために同政府に融資するものです。この計画には約2万3千人の地域住民や実施機関職員が参加し,2030年(事業完成2年後)には新たに約1万1千ヘクタールが植林されるなど,同地域の森林地における生態系管理・強化が見込まれ,同州の環境保全及び持続的な社会経済発展に寄与することが期待されます。

(4)慢性的な交通渋滞が深刻なチェンナイ都市圏における高度道路交通システム導入に融資
  (円借款「チェンナイ都市圏高度道路交通システム整備計画」,供与限度額80億8,200万円)

 この計画は,インド政府がタミル・ナド州チェンナイ都市圏において,高度道路交通システム(注)を導入するために同政府に融資するものです。これにより,2024年(事業完成2年後)には,渋滞が顕著な区間においてピーク時の所要時間が約10%削減されるなど,急増する交通量に対応できる円滑な交通システムの構築が見込まれ,チェンナイ都市圏の交通渋滞緩和及び地域経済発展に寄与することが期待されます。

(注)高度道路交通システム:情報通信技術(ICT)を活用し,円滑で安全な道路交通を実現するシステム

3 供与条件

(1)上記2(1),(2)及び(4)

(ア)金利年1.5%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
(イ)償還期間30年(10年の据置期間を含む。)
(ウ)調達条件一般アンタイド

(2)上記2(3)

(ア)金利年1.3%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
(イ)償還期間30年(10年の据置期間を含む。)
(ウ)調達条件一般アンタイド

[参考]インド基礎データ
 インドは,面積約329万平方キロメートル(日本の約8.7倍),人口13億2,400万人(2016年,世界銀行),人口1人当たりの国民総所得(GNI)1,680米ドル(2016年,世界銀行)。

                      

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