報道発表
堀井巌外務大臣政務官のバングラデシュ及びミャンマー訪問
3月21日から25日まで,堀井巌外務大臣政務官は,ミャンマー・ラカイン州情勢等に関する政府要人との意見交換,避難民キャンプ視察等のため,バングラデシュ人民共和国及びミャンマー連邦共和国を訪問したところ,概要は以下のとおりです。
1 バングラデシュ訪問
(1)政府要人との会談
- アリ外務大臣への表敬
- リズヴィ首相顧問(国際問題担当)との会談
ア 3月21日及び22日(現地時間同日),堀井巌政務官は,首都ダッカにて,アブル・ハッサン・マームード・アリ・バングラデシュ外務大臣(H.E.Mr. Abul Hassan. Mahmood Ali,Foreign Minister)を表敬し,ゴーホウル・リズヴィ首相顧問(国際問題担当)(Dr. Gowher Rizvi, Prime Minister’s Advisor on International Affairs)と会談しました。
イ 堀井巌政務官から,バングラデシュ政府がミャンマー・ラカイン州から流入している避難民を寛大に受け入れ,支援を行っていること,また,解決のため対話を続けていることを高く評価する旨述べました。また,避難民の安全,自発的で尊厳ある帰還の着実な実現に向け,国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)等国際機関の関与を得つつ,ミャンマー政府としっかり意思疎通を続けるよう働きかけました。さらに,国際機関を通じた総額30億円の支援が避難民やホストコミュニティに有効に使われるよう協力していく旨述べ,日本政府がバングラデシュ政府の取組を引き続き後押していくことを改めて伝えました。
ウ これに対し,バングラデシュ側から,バングラデシュの避難民に対する人道的取組,避難民の早期帰還に向けたミャンマー政府との対話の継続について説明するとともに,日本からの継続的な支援に謝意が表明されました。
エ また,北朝鮮情勢,国際場裡での協力等についても意見交換を行いました。
(2)国際機関邦人職員との意見交換
21日(現地時間同日),堀井巌政務官は,ミャンマー・ラカイン州北部の情勢悪化を受けてバングラデシュに流入した避難民が滞在するキャンプで活動している国際機関の邦人職員と懇談し,避難民の状況や人道支援活動等について意見交換を行いました。
(3)避難民キャンプ視察
- キャンプ訪問
22日(現地時間同日),堀井巌政務官は,コックスバザール県ウキア郡のクトゥパロン地区及びバルカリ地区の仮設キャンプを訪問しました。国際移住機関(IOM)や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によるモンスーン対策の取組,日本赤十字社の診療所,JICAによる高深度の井戸採掘の技術移転の取組,国連児童基金(UNICEF)による避難民の子供たちに対する取組の現状を視察しました。
[参考]避難民キャンプ
クトゥパロンには正規の難民キャンプと本年8月25日以降に流入した避難民のための仮設キャンプがあり,国連ISCG(セクター間調整グループ)の報告によれば,前者には13,600人の難民が,後者には588,800人(3月8日現在)の避難民が滞在している。また,上記クトゥパロンを含むコックスバザール県全域には,昨年8月25日以降,671,000人(3月8日現在)の避難民が新規流入している。
2 ミャンマー訪問
(1)政府要人との会談
- ミン・アウン・フライン国軍司令官との会談
- チョウ・ティン・スエ国家最高顧問府大臣との会談
ア 23日(現地時間同日),堀井巌政務官は,首都ネーピードーにて,ミン・アウン・フライン国軍司令官(Senior General Min Aung Hlaing, Commander-in chief of the Defence Services),チョウ・ティン・スエ国家最高顧問府大臣(Mr. Kyaw Tint Swe, Union Minister for the Office of State Counsellor),ソー・アウン社会福祉救済復興副大臣(Mr. Soe Aung, Deputy Union Minister for Social Welfare, Relief and Resettlement)と会談しました。
イ 堀井巌政務官から,安全,自発的で尊厳ある避難民の帰還の着実な実現,帰還プロセスへのUNHCR等の国連機関の関与と支援,ラカイン州のコミュニティ間の緊張緩和と融和の醸成の重要性を強調した上で,日本は現地の状況改善のため,引き続き,ミャンマー政府の取組を支援していく旨述べました。また,帰還を促すため,帰還後の一時滞在施設のみならず,再定住先の村における住宅等の社会インフラ整備を進め,帰還後の安全確保,国籍審査プロセスにつき,より明確な方針を示すよう働きかけました。更に,人権侵害疑惑につき,ミャンマー政府自身が,国際的な助言を得て,信頼性と透明性を伴う形で,事実調査を実施し,処分を含めた適切な措置を取るよう,また,メディアアクセスを拡大するよう働きかけました。
ウ これに対し,ミャンマー側から,安全,自発的で尊厳ある避難民の帰還の実現にコミットしていると述べた上で,帰還に向けたバングラデシュとの調整状況,帰還・再定住先の住宅等の整備状況等に関する説明がありました。また,UNHCR等の国連機関の帰還プロセスへの関与を受け入れると述べ,その実施においては,地元住民の信頼と理解を得ることが不可欠である等の反応がありました。更に,日本の今後の一層の支援への強い期待が示されました。
エ 堀井巌政務官から,北朝鮮の核・ミサイルの放棄を実現するために最大限の圧力を継続していくことが必要不可欠であると述べるとともに,拉致問題の解決のための引き続きの理解と協力を求めたところ,ミャンマー側より,ミャンマーは安保理決議を遵守している,日本の立場を支持する等の反応がありました。
(2)国連機関関係者との意見交換
24日(現地時間同日),堀井巌政務官は,ヤンゴンにおいて,現地国連機関関係者との間で,ラカイン州情勢,避難民帰還に向けた状況等につき,意見交換を行いました。
(3)ラカイン州訪問
- ラカイン州訪問
24日(現地時間同日),堀井巌政務官は,ラカイン州マウンドー地区フラポーカウン村を訪問し,ミャンマー政府による避難民帰還受入の準備状況を視察しました。また,周辺の村落にて,住民との対話を行いました。
[参考]フラポーカウン村
ミャンマー政府は,同村にて,再定住の準備のための,帰還民一時滞在施設を建設中。