報道発表

ヤンゴン新専門病院建設計画,マンダレー港開発計画,鉄道輸送施設の保守・保線に係る機材供与(経済社会開発計画)
(ミャンマーに対する無償資金協力に関する書簡の交換)

平成30年3月22日

1 本22日(現地時間同日),ミャンマー連邦共和国の首都ネーピードーにおいて,我が方吉廣朋子在ミャンマー臨時代理大使と,先方セッ・アウン計画・財務副大臣(Dr. Set Aung, Deputy Minister for Planning and Finance)との間で,総額156億9,400万円の下記の無償資金協力3件の交換公文の署名が行われました。

2 対象案件の概要

(1)ヤンゴン新専門病院建設計画(供与限度額:86億6,100万円)
 ミャンマーの保健医療セクターにおいては,依然課題が残る感染症に加えて,非感染性疾患に起因する死亡が増加傾向にあります。同国における全死亡数(44万1,000人/年,出典:NCD Country Profiles,WHO 2014年)のうち,循環器系疾患を含む非感染症疾患による死亡率は59%を占め,循環器系疾患(心筋梗塞,脳梗塞等)による死亡は,全死亡数の25%となっています。この計画は,ヤンゴン地域において,重篤な救急患者に対応する第三次医療施設のヤンゴン総合病院(1899年設立)の診療機能の一部を移設し,循環器系疾患に対応する専門病院を建設するとともに当該病院に必要な機材等を供与するものです。これにより,循環器系疾患に関する医療サービスの質と量の改善を図り,もって地域住民の健康改善に寄与することが期待されます。
 ヤンゴン総合病院は,現在,(ア)施設の老朽化・機材の不足,(イ)度重なる増改築に起因する病院スタッフや患者にとって不便な動線,(ウ)病床数不足,(エ)患者の過度の集中により,診断・治療方法は限られ,かつ患者数に対して受入可能な人数が不充分な状況にあります。この計画の実施により,事業完成3年後の2024年には,循環器内科,心筋血管外科,脳神経外科・内科の入院・外来患者数が約42,200人から約49,700人まで受入可能となる他,心臓カテーテル検査・治療件数は約1,760件から約2,110件,心臓血管外科メジャー手術件数は約370件から560件まで増加する等,医療サービスが大幅に改善される見込みです。

(2)マンダレー港開発計画(供与限度額:60億3,300万円)
 現在のマンダレー港は,中心市街地に近い延長約6kmの自然河岸にあり,貨物荷役施設がなく,人力荷役が行われており,非効率な交通・物流を余儀なくされています。この計画は,内陸水運の主要港湾の一つであるマンダレー港の接岸施設建設,荷役施設の機械化,ターミナル建設等,近代化のための整備を行うもので,ミャンマーの内陸水運による交通・物流の効率化を図り,もって同国の持続的経済成長に寄与することが期待されます。
 この計画の実施により,これまでなかった機械化荷役が可能となり,事業完成3年後の2023年には年20万トンの貨物量を取り扱えるようになる他,1時間当たりの荷役効率が17トンから約100トンまで増加するため,より効率的な内陸水運による物流が実現できる見込みです。

(3)鉄道輸送施設の保守・保線に係る機材供与(経済社会開発計画)(供与額:10億円)
 現在ミャンマーにおいては,2013年時点で総延長5,934kmを有する鉄道路線が敷かれています。同国における鉄道については,英国植民地時代から現在に至るまで現在の運輸通信省鉄道局が新線及び複線の建設を進めてきましたが予算不足もあり,老朽化した既存の輸送施設及び設備の更新が行えない状況となっています。特に,従来の3つの車両保守基地や81の検修区所等におけるメンテナンス機材が老朽化又は大きく不足していることから,これら機材の整備が喫緊の課題となっています。
 この事業は鉄道局に対して,鉄道車両の保守・保線機材を供与するものであり,同国の鉄道輸送の能力向上及び安全対策の強化が図られ,同国の経済社会開発に寄与することが期待されます。


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