報道発表

日エストニア外相会談及び夕食会

平成26年1月30日

 本29日,岸田文雄外務大臣は,外務省賓客として訪日中であるエストニアのウルマス・パエト外務大臣(H.E. Mr. Urmas Paet, Minister of Foreign Affairs of the Republic of Estonia)と,午後7時から午後8時50分まで,外相会談び夕食会を行いました。会談及び夕食会におけるやりとりの概要は以下のとおりです。

1 冒頭

 岸田外務大臣から,パエト大臣の6年ぶりの来日を歓迎するとともに,独立後20数年で民主化と市場経済化を達成し,NATO及びEUに加盟,また,最近になりOECDに加盟,ユーロを導入し,先進国へ仲間入りしたエストニアの一層の発展を期待する旨述べました。これに対し,パエト大臣は,日本とは,北欧・バルト諸国の協力を始め,政治・経済・文化・人的交流の面で急速に関係が拡大していることを歓迎した上で,今回の訪問を機に日本との関係を一層強化したいと述べました。

2 日本の安全保障政策

 岸田大臣から,積極的平和主義に基づく日本の安全保障政策について説明しつつ,エストニアの理解と支持を求めたのに対し,パエト大臣から,日本は重要な戦略パートナーである旨前置きした上で,エストニアの安全保障政策は,単に安全保障を享受するだけではなく,より良い安全保障環境を提供していくことを指向するものである,その観点から,日本の安全保障政策はエストニアの政策と軌を一にするものである,地域の情勢に合わせて戦略を見直すことは合理的であり,今回の日本の安全保障政策は現在の情勢の変化を反映した的確なものである旨述べました。

3 情報通信技術・サイバー・セキュリティ

 岸田大臣から,我が国の世界最先端のIT国家を目指す政策について説明するとともに,日本の成長戦略を実現するため,IT分野で世界をリードしているエストニアと連携していきたい旨述べました。また,岸田大臣から,サイバー空間の脅威は安全保障上の問題であり,サイバー上のテロや犯罪等に効果的に対処する仕組みを構築するため,人材育成や国際的な情報共有等の二国間・多国間の連携が重要である,エストニアとも協力を深めていきたい旨述べました。 これに対し,パエト大臣からは,エストニアに設置されているNATOサイバー防衛協力センターへの参加を始め,日本のより大きな関与について期待が表明されました。

4 エネルギー分野を含む経済関係

 岸田大臣から,日本との排出権取引がエストニアにおける電気自動車の普及や公共建築の熱効率向上に貢献した例に言及しつつ,リトアニアにおける原発建設計画への協力を通じ,エストニアのエネルギー供給の多様化に貢献したい旨述べました。これに対し,パエト大臣からは,エストニアにとって,日本は重要な戦略的パートナーであり,日EU・EPAの締結を強く支持するとともに,日本との経済的関係を強化したいとの意思が表明されました。

5 北欧・バルト諸国との協力

 岸田大臣から,昨年11月の日本と北欧・バルト諸国との外相会合では充実した議論ができた旨述べた上で,本年,NB8(北欧・バルト8ヶ国)の調整国を務めるエストニアの協力を得て,日本とNB8との協力の枠組みを拡げ,一層議論を深めていきたい旨述べました。 これに対し,パエト大臣からも,日本とNB8との協力を一層促進していきたいとの発言がありました。

6 その他

 これらに加えて,両大臣は,ロシアとの関係や北極をめぐる課題等について意見交換を行いました。


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