報道発表
APEC閣僚会議の実施(結果)



11月8日及び9日、午後8時(日本時間)から約3時間ずつ(8日は第1セッション(テーマ:経済回復に向けた貿易と投資の役割)、9日は第2セッション(テーマ:経済回復に向けた経済・技術協力の役割))、APEC閣僚会議がテレビ会議形式にて開催されたところ、概要は以下のとおりです。本閣僚会議は、ニュージーランドのダミエン・オコナー貿易・輸出振興担当大臣(Hon. Damien O’Connor, Minister for Trade and Export Growth)及びナナイア・マフタ・ニュージーランド外務大臣(Hon. Nanaia Mahuta, Minister of Foreign Affairs)が議長を務め、日本からは、第1セッションに萩生田光一経済産業大臣及び三宅伸吾外務大臣政務官、第2セッションに小田原潔外務副大臣及び細田健一経済産業副大臣がそれぞれ参加しました。
- 第1セッションに参加した三宅政務官は、アジア太平洋地域がポスト・コロナの世界でも繁栄し続けるため、強靱なサプライチェーンの構築に向け、民間企業が投資しやすい環境やインフラ整備を進めるべきであることを主張しました。
また、国際的なルールの下で地域経済統合を推進し、連結性を強化することが重要であるとの認識の下、TPP11について、不公正な貿易慣行や経済的威圧とは相容れない、21世紀型のルールを規定する協定であると強調した上で、日本として、他の参加国と連携してTPP11のハイスタンダードを維持し、この地域における自由で公正な経済秩序の構築や貿易・投資環境の実現に引き続き貢献するとの決意を表明しました。
さらに、国有企業、労働、人権、そして環境問題といった現代的な課題についても、議論を発展させることが重要であるとの考えを示しました。
以上に加え、WTO改革の必要性を強調し、会議に出席したンゴジ・オコンジョ=イウェアラ世界貿易機関(WTO)事務局長及びAPECエコノミーと連携しつつ、第12回WTO閣僚会議(MC12)で着実な成果を上げられるよう日本として貢献していく決意を表明しました。 - 第2セッションに参加した小田原外務副大臣は、感染症、気候変動、自然災害といった一国では解決が難しい地球規模課題に共に取り組むことが平和と安定、繁栄につながると確信している旨述べ、多国間主義に基づく国際協力は、日本の外交政策の要であると強調しました。
その上で、APECにおいても、「誰一人取り残さない」社会を実現するため、人間の安全保障とユニバーサル・ヘルス・カバレッジの考え方を基軸に、経済・技術協力を通じた能力構築や知見の共有に取り組み、保健や医療へのアクセス、中小零細企業、女性、遠隔地に住む人々の経済的機会へのアクセスを公平に確保しながら包摂的な社会を構築していくことを目指すとの決意を表明しました。
また、持続可能な経済発展を促す観点から、気候変動の影響に脆弱なエコノミーに対し、技術開発・移転、人材育成を通じて継続的な支援を行うことの重要性を指摘しました。
さらに、APECプトラジャヤ・ビジョン2040の実現に向けて着実に実施計画を実行に移していく決意を述べました。 - 本閣僚会議の成果文書として、新型コロナウイルスへの対応、力強い回復のための経済・貿易政策、包摂性及び持続可能性の向上、イノベーション及びデジタルの追求、組織としてのAPECの強化等を盛り込んだAPEC閣僚共同声明及び付属書が採択されました。
[参考1]APEC参加国・地域(21エコノミー)
ニュージーランド(2021年APEC議長)、日本、豪州、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、香港、インドネシア、韓国、マレーシア、メキシコ、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、台湾、タイ、米国、ベトナム。
(注)APECには、香港は「ホンコン・チャイナ」、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」の名称で参加。
[参考2]APECプトラジャヤ・ビジョン2040
(1)貿易・投資、(2)イノベーションとデジタル化、(3)力強く、均衡ある、安全で、持続可能かつ包摂的な成長、という3つの経済的推進力により、「全ての人々と未来の世代の繁栄のために、2040年までに、開かれた、ダイナミックで、強靱かつ平和なアジア太平洋共同体とすること」を目指すことを定めた文書。併せて、APECの制度的枠組みの継続的な改善に取り組むことを確認している。
[参考3]APEC閣僚共同声明(仮訳(PDF)/英文(PDF)
)、附属書1(APECサービス競争力ロードマップ中間評価概要報告書(英文(PDF)
)、附属書2(環境及び環境関連サービスの参照リスト(英文(PDF)
)