報道発表
APEC貿易担当大臣会合の実施(結果)
令和3年6月6日


6月5日、午後8時(日本時間)から約4時間、APEC貿易担当大臣会合がテレビ会議形式にて開催されたところ、概要は以下のとおりです。本会合は、ニュージーランドのダミエン・オコナー貿易・輸出振興担当大臣(Hon. Damien O’Connor, Minister for Trade and Export Growth)が議長を務め、日本からは、梶山弘志経済産業大臣、鷲尾英一郎外務副大臣及び長坂康正経済産業副大臣が参加しました。また、ンゴジ・オコンジョ=イウェアラ世界貿易機関(WTO)事務局長のほか、太平洋経済協力会議(PECC)及び東南アジア諸国連合(ASEAN)事務局からも参加しました。
- 本会合では、新型コロナウイルス感染症による経済的影響からの回復及び多角的貿易体制についてAPECが果たし得る役割について、議論を行いました。
- 鷲尾外務副大臣からは、まず、新型コロナウイルス感染症による経済的影響からの回復のために貿易政策が果たし得る役割について、国際社会は今、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大という時代を画する変化の中に置かれており、コロナ危機への対応をアイデアのインキュベーターであるAPECで議論することは時宜を得ていると述べた上で、3点、重要性を指摘しました。
- (1)サプライチェーンの強靱化は、必要不可欠な物品やワクチン及び関連物品を安定的かつ効率的に流通させるためのみならず、コロナ禍からの経済回復の鍵であること
- (2)国際スタンダードに則った「質の高いインフラ」整備は、アジア太平洋地域の連結性の鍵であること、よって日本はスマートシティー等の質の高いインフラ投資に関するプロジェクトを実施していること
- (3)包摂的な成長への取組が不可欠であり、「人間の安全保障」の理念に立脚した国際的な連携・協力や女性の経済参画を推し進めること
次に、アジア太平洋地域の経済回復及び更なる成長を支えるのは、ルールに基づく多角的貿易体制であり、WTO改革が喫緊の課題であると述べた上で、第12回WTO閣僚級会議(MC12)への優先事項として、日本が重視している3点を述べました。
- (1)「貿易と保健イニシアチブ」への賛同を増やすべくアウトリーチを一層強化すること
- (2)電子商取引交渉を前進させること
- (3)上級委問題の恒久的解決を含む紛争解決制度改革に向け、現実的な提案を探求してくこと
さらに、APECはAPECビジネス諮問委員会(ABAC)を通じてビジネス界の意見を取り入れながら、多角的貿易体制の維持・強化に貢献していくべき旨を述べました。
- 本会合において、APEC貿易担当大臣共同声明及び附属書(骨子(日本語)(PDF)
/仮訳(PDF)
)が発出されました。
(注2)アジア太平洋地域の21の国と地域(エコノミー) オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、台湾、タイ、米国、ベトナム
APECには香港は「ホンコン・チャイナ」、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」の名称で参加