報道発表
パキスタン・イスラム共和国に対する無償資金協力「サッカル市における気象レーダー設置計画」
令和3年1月25日
1月25日(現地時間同日)、パキスタン・イスラム共和国の首都イスラマバードにおいて、我が方、松田邦紀駐パキスタン・イスラム共和国日本国特命全権大使と先方アフメド・ヌール・パキスタン経済省次官(Mr. Ahmed Noor, Secretary to the Government of the Islamic Republic of Pakistan, Ministry of Economic Affairs)との間で、供与限度額19.86億円の無償資金協力「サッカル市における気象レーダー設置計画」に関する書簡の交換が行われました。
- パキスタンは、その地形的特徴から、一度大雨が降ると洪水や鉄砲水、地滑り等が発生しやすい自然災害多発国です。これらの自然災害は生命や財産を脅かし、同国の社会経済発展に深刻な停滞を生じさせる要因となっており、これに対応するため、同国政府は国家防災庁を設置し、様々な取組を実施してきています。また、我が国の支援によるものも含め、同国各所に気象レーダーが設置されてきました。
- しかし、シンド州サッカル市の位置する中部及び南部地域には、既存の気象レーダーで観測できない地域が存在しており、観測能力の精度を向上させ、自然災害の危険予測・予警報の配信を迅速化させるためには、当該地域をカバーする気象レーダーの設置が必要になっています。
- この計画は、サッカル市における新たな気象レーダーシステムの導入及びイスラマバードやラホール等の国内関係各所における気象レーダーデータ表示システムの設置にかかる支援を行うものです。この協力により、同国災害対策機関等に提供される気象情報の観測密度が、2019年時点の平均88kmメッシュから、事業完成3年後の2026年時点には1kmメッシュに向上する等、同国の気象観測能力の向上に貢献することが期待されます。同国災害対策機関、マスメディア、空港を含む運輸・交通関係者等に対するより正確な情報発信を通じて、適時適切な対応による被害の軽減に寄与することが期待されます。
[参考1]
メッシュ:観測対象地域を正方形に区切った観測の最小単位。観測機器の性能が良いほどメッシュは小さい。
[参考2]パキスタン・イスラム共和国基礎データ
パキスタン・イスラム共和国は、面積約79.6万平方キロメートル(日本の約2倍の大きさ)、人口2.12億人(2018年、世界銀行)、人口1人当たりの国民総所得(GNI)1,530米ドル(2019年、世界銀行)。