10月9日(火曜日)午後、ベトナム訪問中の木村副大臣は、ハノイにおいてグエン・タン・ズン首相と会談し、次のような意見交換を行った。(なお、同日午前、同副大臣は、ホー・ギア・ズン交通運輸大臣とも「クーロン(カントー)橋建設計画」橋げた崩落事故について以下と同様の意見交換を行った。)
(1) 木村副大臣より、(イ)今回の事故で53名の尊い命が失われ、80名の負傷者が発生したことを受け、我が国政府を代表して遺憾の意を表するとともに今後の対応を協議するため訪越した、昨8日(月)、事故現場を視察し遺憾の意を深くした、改めて今回の不慮の事故による犠牲者とそのご家族に対し哀悼の意を表したい、未だ行方不明者が1名おられ、心を痛めている、負傷された方々の一刻も早い回復を心より願っている、(ロ)メコンデルタ地域開発にとり非常に重要であり、かつ日本企業が施工業者となっている本件プロジェクトにおいてこのような重大な事故が発生し、我が国政府として心より遺憾の意を表したい、事後処理をきちんと行いたい、(ハ)かかる不幸な事故の再発防止のため事故原因の究明が重要であり、ベトナム側が国家調査委員会を立ち上げ、迅速に原因究明に乗り出していることに敬意を表する、我が国政府としてもベトナム側からの要請を受け、同調査委員会に日本人専門家を派遣すべく人選を進めている、また、日本から専門家を入れた調査団の派遣を検討中であり、同調査団が現地調査を行う際は協力をお願いしたい、(ニ)日本関係企業は、被災者に対し見舞金及び遺児基金計90億ドン(約6,300万円)を既に拠出したが、今後の補償問題について日本関係企業がその法的責任の範囲で誠実に対応するよう指導していきたい、(ホ)我が国政府はこれまでODAプロジェクトが円滑に行われてきたことを誇りとしてきた、今回の事故が日越関係に陰りを与えないようにしたい旨述べた。
(2) ズン首相からは、(イ)木村副大臣よりの哀悼の意の表明に感謝申し上げる、また、今回、木村副大臣が日本政府を代表し訪越されたことは日本政府の今回の事故に対する大きな関心を示すものであり感謝申し上げる、(ロ)目下、ベトナム政府は行方不明者の救出に努めており、また、負傷者が一日も早く回復するよう努めている、(ハ)本件プロジェクトは日本企業が設計、施工し、資金も日本から出して頂いているものである、被災者への対応においてはベトナムの法律及び国際的基準に則って妥当な処理を行い、本件事故が日越友好関係に影響を与えないようにするため、日越両国が緊密に協力していく必要がある、さらに被災者家族への対応が重要と考えている、(ニ)このような事故の再発防止が重要であり、事故原因と責任を明らかにするため国家調査委員会を設置した、また設計の見直しを行い、今後の工事の安全を確保したい、工事の安全は日越両国政府の信頼と名誉に関わるものである、一ヶ月内に全てを処理し、工事を速やかに再開できるよう日越が協力していきたい、日本から高度な知識を持つ専門家の派遣をして頂きたい旨発言した。
(3) これに対し、木村副大臣より、ズン首相の考えを我が国政府機関に伝え、本件事故の処理に全力を傾注したい旨述べた。