談話
イエメンにおける国民対話の終了について(外務報道官談話)
1 我が国は,国民各層からの幅広い参加を得て開催されていたイエメンにおける国民対話が1月25日に終了したことを歓迎します。
2 我が国は,国民対話を粘り強く実施してきたイエメン政府及びイエメン国民の努力を評価するとともに,新憲法制定や大統領・国会議員選挙へと政権移行プロセスが間断なく進み,早期に国内の安定が回復することを強く期待します。
3 我が国は,イエメン政府による国づくりを引き続き積極的に支援していきます。
(参考1)イエメンでの国民対話
(1)いわゆる「アラブの春」を受けて,2011年2月以降イエメンでも政治が混乱,武力衝突が発生していた。2013年3月18日より開始された国民対話は,国民各層の様々な意見を集約した新憲法の起草,新憲法下での大統領・国会議員選挙の実施へと政権移行プロセスを進める上で極めて重要なプロセス。
(2)国民対話議長は,ハーディー大統領。与野党,南部運動(以下(3)参照),北部ホーシー・グループ(シーア派の教条主義グループ),若者,女性,市民社会等の代表(総議席数:565名)が9つの部会に分かれ新憲法案の骨格を協議。
(3)南部運動は南部(1990年の南北イエメン統一前までは南イエメン)の分離・独立を強く主張。このため,当初の国民対話終了予定日の2013年9月18日を過ぎても南部問題に関する協議が継続。
(4)2014年1月21日,国民対話最終全体会合にて,連邦制の導入を含む国民対話文書が採択・承認された。また,25日に国民対話閉幕式典が開催されることとなった。
(5)南部問題に関しては,大統領が設置する特別委員会にて,連邦制下での南部及び北部の州の数等を検討することとなった。
(参考2)我が国の対イエメン支援
(1)政権移行プロセス支援,テロ対策支援及び海上保安能力強化支援の3本柱を中心に積極的に支援。2012年,13年の2年間にわたる我が国の支援(資金援助)は計約8,800万ドルに上る。
(2)また,人材育成支援として,2013年度はイエメン政府関係者220名に対して研修(含む第三国研修)を実施予定。
(3)3本柱に基づく支援の例
(ア)政権移行プロセス支援:大統領選挙支援(2011年,約114万ドル),国民対話・選挙支援(2012年,計300万ドル)。最高選挙・国民投票委員会に対する本邦研修(2012年度2名,2013年度12名)
(イ)テロ対策支援:主として国内避難民を対象に人道支援を実施(過去2年間で約8,200万ドル)し,過激主義の拡大防止に貢献。人道支援分野ではわが国は全ドナー中第2位の実績。
(ウ)海上保安能力強化支援:ソマリア沖アデン湾での海賊対処部隊の派遣等,イエメン沿岸警備隊職員に対する研修(2008年から現在まで18名),国際機関を通じた海事情報共有センター設立支援(2011年2月から稼働)を実施。