記者会見
茂木外務大臣会見記録
(令和8年10月2日(金曜日)16時11分 於:本省会見室)
イラク情勢
【共同通信 市川記者】私からイラク情勢についてお伺いします。過激派組織「イスラム国」掃討作戦のため、イラクに駐留していた米軍主導の有志連合軍が撤収を完了しました。2003年のイラク戦争以降、断続的に続いてきた米軍のイラク駐留、これが終了したことを、どのように受け止めておられるか、この点についてまず、お聞かせください。また、イラクでは依然として治安の安定が課題となっています。日本は、これまで復興支援や経済社会の安定に向けた支援に取り組んできましたが、引き続き、イラクや中東地域の安定に向けて、どのような役割を果たしていきたいとお考えか、大臣の御見解をお伺いします。
【茂木外務大臣】イラク戦争、2003年3月20日に始まって、私も当時外務副大臣で、この2003年3月20日の直前にバグダッドを訪問して、当時のタリク・アジズ副首相と会談を行ったり、そして、激しい戦闘が一旦終わった5月には、再度バグダッドを訪問して、復興をどう日本として支援していくか、こういったことも考えてきたわけでありまして、非常に感慨深い、こういう思いを持っております。
現地時間の9月30日に、米中央軍は過激派組織ISに対応するための任務を終えて、イラクからの米軍の撤退が完了した旨発表いたしました。長年にわたる米軍をはじめとする有志連合軍のテロ掃討のための取組に対し、深い敬意をまず表したいと考えております。
イラクでは、昨年11月の国民議会選挙を経て、本年5月にゼイディー首相による新政権が発足したわけであります。今後、同政権の下で、国内の治安維持が継続的に図られ、国際社会全体でその取組を支援していくことが重要であると考えております。
我が国は、イラクの安定が中東地域の平和と安定の要であるといった認識から、2003年のイラク戦争以降、イラクの復興と安定化に一貫して取り組んでまいりました。イラクには、かつて日本が建設した道路であったり病院であったり、電力施設、様々なものがありまして、そういった日本が作ってきた施設も生かしながら、復旧・復興を支援してきたわけですが、今後も新政権との関係の強化を通じて、イラクの更なる安定化と発展を様々な形で後押しをし、中東地域全体の平和と安定に貢献していきたいと考えています。
日中関係
【朝日新聞 小木記者】日中関係について伺います。岩屋前外相が、先日、国防促会長として訪中して、何立峰(か・りつほう)副首相や王毅(おう・き)外交部長らと会談しました。中国の新華社通信は、王毅氏との会談の中で、岩屋氏が日中共同声明を始めとする「4つの政治文書」に触れたと報じました。改めて、日本政府として、「4つの政治文書」についての立場と考え方を伺います。
【茂木外務大臣】これまで日中間では、まず、1972年の日中共同声明、当時の田中首相と周恩来首相の間で合意をしたものでありますが、これから始まりまして、1978年の日中平和友好条約、さらには、1998年の日中共同宣言、そして、2008年に、「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明、それぞれ策定をされており、これが日中間の基本文書であるという位置づけに何ら変わりありません。
現在、日中間、厳しい状況にありますが、日本と中国が、地域の平和と安定に大きな責任を持っていることは間違いない事実だと考えておりまして、日中間に懸案や課題があるからこそ、様々なレベルで意思疎通を図ることが重要だと考えております。
ロシアにおける対日戦勝記念碑の設置
【北海道新聞 吉田記者】ロシア極東ハバロフスクで除幕されたソ連の対日戦勝記念日が完成からまもなく1か月となることに関連してお伺いします。こちらは記念碑には菊花紋章が刻まれた国境標石をソ連兵が破壊する姿が表現されており、菊花紋章は日本の象徴であるとして、日本政府はロシア側に撤去を求めてきましたけれども、この1か月間、具体的にどのような働きかけをし、ロシア側はどのような反応を示したかを教えていただきたいと思います。現状では撤去が実現していない状況だと思いますけれども、今後の日本政府の引き続きの対応についてお伺いします。
【茂木外務大臣】お尋ねの件については、累次にわたり、極めて遺憾であるということを申し上げてきたところでありまして、こういった立場に基づいて、ロシア側に対して、外交ルートを通じて一貫して撤去を求めてきているわけであります。
外交上のやり取りの詳細について説明をすることは控えたいと思いますが、現時点までロシア側が撤去に応じていないということは極めて遺憾であると考えております。今後も、様々な機会を捉えて、ロシア側への働きかけ、粘り強く行なっていきたいと思っております。
ロシアによる核兵器使用示唆
【中国新聞 下高記者】ロシアのプーチン大統領の核兵器使用をめぐる発言について伺います。プーチン大統領が1日に、モスクワ郊外であった会議で、欧州諸国に対してロシアへの直接攻撃があれば、あらゆる兵器の使用が議題に上るとして、核兵器の使用も排除しない姿勢を示しました。核兵器を脅しとして使用したともとれる発言ですが、被爆国の政府としての受け止めを教えてください。
【茂木外務大臣】今回だけではないわけであります。御指摘のプーチン大統領の発言を含めて、ウクライナ侵略の文脈において、ロシアが核兵器の使用を示唆するような発言を繰り返していることは承知しています。
我が国は、唯一の戦争被爆国として、ロシアによる核の威嚇、ましてやその使用はあってはならないと考えております。こうした考えに基づき、我が国はロシアによる核兵器の使用を示唆するような発言を深く憂慮しており、引き続き、こうした我が国の立場を、機会を捉えてロシア側に伝えるとともに、国際社会に向けてもしっかりと発信していきたいと考えています。
中東情勢
【パン・オリエント・ニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
ホルムズ海峡やバブ・エル・マンデブ海峡の不安定な情勢を背景に、過去3か月間、日本のアラブ諸国からの石油輸入は急減し、日本は米国からの輸入拡大を優先する形でサプライチェーンの転換を進めています。そこで、サウジアラビアが日本にとって主要な原油供給国であるという点を踏まえ、同国の輸出や施設を標的とするホーシー派による攻撃に対し、日本はどのような対応をとっているのかお伺いします。また、イスラエルと米国によって始められたイランとの戦争を終わらせる上で、特にサウジアラビアが果たす役割について、どのようにお考えでしょうか。
【茂木外務大臣】これは日本だけの問題ではないわけであります。ホーシー派による一連の攻撃、これはエネルギー安全保障の観点から、国際社会全体にとって極めて重要なバブ・エル・マンデブ海峡や紅海を含む地域一帯の不安定化を引き起こしています。日本としても、こうした状況な深刻に懸念し、ホーシー派の一連の攻撃を強く非難をし続けてきています。
私自身、イエメンの首相、外相に対して、こうした我が国の立場を直接伝えるとともに、イランに対しても、ホーシー派への自制を強く働きかけるよう求めてきているところです。
また、イラン情勢に関しては、早期の沈静化及び安定化のために、サウジアラビアを始めとするアラブ諸国が、これまで仲介等の役割を果たしてきていることは極めて重要であると考えております。
私も8月に、サウジアラビアとオマーンと訪問し、イラン情勢を含む中東地域全体の早期安定化に向けて連携を確認いたしました。
昨日は、イランに帰国直後のアラグチ外相と電話会談を行いまして、今日も先ほど、来日中のカタールのムハンマド首相と最新の情勢について、相当突っ込んだ意見交換を行ったところであります。
今後も、アラブ諸国を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、粘り強く外交努力を続ける、また、米・イラン間の交渉が前進するように、こういった国際社会の機運醸成にも努めていきたいと考えています。
