記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和8年9月11日(金曜日)13時55分 於:本省会見室)

(動画)茂木外務大臣会見の様子

プーチン露大統領の北方領土訪問

【産経新聞 永原記者】ロシアのプーチン大統領の北方領土択捉島への訪問からまもなく1か月が経過します。大臣は、ロシアに対する対抗措置について、「日本の国益にとって何が必要かを総合的に勘案し、適時適切に対応する」と発言されておられましたが、改めて追加の対抗措置などは検討されておられますでしょうか。

【茂木外務大臣】先月13日に、プーチン大統領が択捉島を訪問した。これに対して即日、高市総理が抗議の意を明確に表明するとともに、私もその日の夕刻に、駐日ロシア大使を外務省の方に召喚いたしまして強く抗議するなど、毅然と対応してきているところであります。
 今後も、北方領土に対する我が国の一貫した立場に基づき、様々な機会を捉えて、ロシア側への働きかけを強化していきたいと、このように考えております。
 いずれにしても、ロシアへの対応の在り方については、これまで申し上げておりますように、日本の国益にとって何が最適であるか、これを総合的に勘案しながら、対応していくという方針に変わりありません。

【読売新聞 福田記者】関連で、具体的に大使の一時帰国や召喚などを検討する余地はあるのかということと、政府は8月に、日本の大学生らのロシアへの短期派遣事業を7年ぶりに再開しましたが、その他の人的・文化的交流事業についても再開を目指す考えはありますでしょうか。

【茂木外務大臣】現在、在露大使の召喚を考えているということではありません。
 ロシアに詳しい人材の育成につながるような人的交流、これは現下の状況でも、引き続き、重要なものと認識しておりますけれど、今後の交流事業の再開については、現時点では決まっているものがあるということではありません。

ロシアにおける対日戦勝記念碑銅像の設置

【東京新聞 常盤記者】日露に関連して違う質問ですけれども、ハバロフスクにおいて対日戦勝記念の施設が設置されまして、それに対しまして、日本政府はこの施設の設置の中止と、それから、設置された場合の撤去を要求しています。ただ、これに関して、事実関係に、やや齟齬があるというふうに私は理解しているので、お答えしていただきたいと思います。これはどういうことかといいますと、この場合、茂木大臣が日本語で公表された要請は、「菊花紋章の破壊を表現する記念碑の設置は、日本の国民感情の観点から極めて遺憾なので、外交ルートを通じて設置の中止、撤去を要請した」とあります。一方、これのロシア語版では、「引き続き、菊花紋章が付いている標石の撤去、標石の撤去をロシア側に強く働きかけています」となっております。この背景には、これが設置される前にハバロフスクの総領事館から明確にこの標石、全体のコンプレックス、メモリアル・コンプレックスではなくて、標石の設置の中止と、設置された場合は撤去を要請しております。結果的に、こういうふうに日本、それから英語でも記念施設全体の撤去要請となっていますので、こういうふうにちょっと要求対象、撤去対象が、撤去要求対象が、正確に言うと三つに分類されてしまう。つまり、非常に巨大なソ連兵を取り囲む施設、それからソ連兵15メートルの「イワン」というのが付いていますけど、それの赤軍兵の像、それと最も重要な標石、菊の紋章が入っている。

【茂木外務大臣】を踏みつけている。

【東京新聞 常盤記者】なんですけれども、結局、これによって、日本報道は記念碑全体、記念像です。記念像の撤去を要請になっているんですけれども、ロシアの報道では3種類あるんですよ、実際。

【茂木外務大臣】ロシアの報道ですか。

【東京新聞 常盤記者】はい。ロシアに。

【茂木外務大臣】外務大臣談話のロシア語版ではなくて、ロシアの報道のこと。

【東京新聞 常盤記者】ロシア語版です。ロシア語版でそういうふうに伝わっているので、多くのメディアは、この記念コンプレックス施設ではなくて、あるいは像ではなくて、そこの先の標石のみの撤去を求めていると報道しているんですよ。私、端的にお聞きしたいのは、今現在、外交ルートを通じて撤去要求対象となっているのはどの部分、何なのかということを明確にお答えください。

【茂木外務大臣】菊花紋章を踏みつけている肖像ですか。

【東京新聞 常盤記者】像。

【茂木外務大臣】そのことを指して申し上げておりますし、そこに齟齬はないと思います。

【東京新聞 常盤記者】ただ、その明確にロシア語で、標石という単語が使われているわけですよ。それについて、日本は菊花紋章の標石、立方体の。だから一部分なんですよね。一部分の撤去を要請しているというふうに伝わっているんです。実際にロシア語の要求文では、そういうふうになっているし、ハバロフスク総領事館は設置される前に、そういうふうに要求しています。ですから、そこら辺の一貫性がよく分かりません。

【茂木外務大臣】必ずしも、切り分けるかどうかという問題ではなくて、菊花紋章を踏みつけている標石があるわけです。その中止を要求してきましたし、設置されてからは撤去を要求しているということで、そこに違いはないのではないですか。

【東京新聞 常盤記者】違いは大きいと思いますよ。ただし、そのこの記念施設ですと、相当大きな。

【茂木外務大臣】記念施設とは申し上げておりません。

【東京新聞 常盤記者】しかし、この声明、メッセージには記念碑ありますね。この記念碑という、パーミャトニクとね、言って、英語でメモリアルなんですよ。メモリアルというのは、この施設、メモリアルの名称というのは、東方での勝利という、日本に対する勝利という名前のものなんですよね。ですから、この表現ですと、明確に全体、対日戦勝施設全体の撤去を要求しているんですが、最終段落にロシア語の場合は、明確に標石となっているわけです。それがロシア国内に流通しているわけです。ですから、その日本の要求対象にかなり、認識に差があるわけなんですよ。国際社会でも、日本は記念コンプレックス全体を撤去したという説明になっていますよ。撤去をしてくださいという撤去要求ですけどね。

【茂木外務大臣】日本語で表現したものが正しい。それが事実でありまして、ちょっと翻訳がどうなっているかについては確認させていただきます。

【東京新聞 常盤記者】茂木大臣はロシア語正文、ロシアに伝えた文書では、標石の撤去ということについては御認識はなかったということで。

【茂木外務大臣】ロシア語、申し訳ありません。私、ちょっと、理解しておりませんので、日本語で出したものを正確に違う言語に訳しているものだと理解しております。

【東京新聞 常盤記者】ということは、外務省のこれを制作したロシア担当者から、そういうふうな説明を受けていないということでよろしいですね。

【茂木外務大臣】それは日本語で出したものを、大体いつもそうでありますけれど、例えば英語で発表するときも、それに沿って英文訳するとか、多言語に訳しているということでありまして、日本語で発表したものが正確なものであって、それをできる限り正確に多言語に訳すと、こういうことに外務省員も努めていると思います。

【東京新聞 常盤記者】ということは、ロシア側にこういう齟齬が、認識の相違が生じないように修正する必要はありませんか。

【茂木外務大臣】それは確認させてください、事実関係。

【東京新聞 常盤記者】分かりました。

ODAの重要性の周知

【共同通信 恩田記者】大臣は昨日、「戦略的な開発協力の実施体制に関する有識者会議」から提言を受け取りました。ODAをめぐっては、外務省は来年度予算の概算要求で、安全保障関連ODA、経済安保ODA、成長戦略ODAなど、用途を明確化し、理解増進を図る方針を示しています。インターネット上などで、海外への支援に厳しい目が向けられている中、提言を踏まえて、海外への支援の重要性をどのように周知していくか、お考えを伺います。

【茂木外務大臣】昨日、「戦略的な開発協力の実施体制に関する有識者会議」の委員の方々から、ODAをより戦略的に活用して、安全保障であったり経済安全保障等の重要課題にも、機動的に対応していくための開発協力の実施体制の在り方について、極めて重要かつ時宜を得た提言をいただいたところであります。
 御指摘の点についても、提言の中で、開発協力への国民の理解・支持を重要課題と位置づけているところでありまして、今後、ODAの在り方、例えば民間投資を喚起する上で、うまくそれを活用していったり、様々な組合せというのも出てくる。また、横串で刺すような対応であったりとか、また外務省と実施機関であるJICAの間の意思疎通をより緊密にしていく、こういったこともあるわけでありまして、そういったことを通じたODAの意義であったり成果について、より多くの国民の一層の理解を得られるように、引き続き、幅広い層に対して、きめ細かい情報を発信していきたいと、こんなふうに考えています。

フィリピン南部ミンダナオでの議会選挙

【朝日 宮脇記者】フィリピン南部ミンダナオ地域で、今月14日、自治政府発足に向けた初の議会選挙が始まります。日本は、JICAを通じた開発支援を始め、これまで長年ミンダナオの和平プロセスに関与してきました。日本政府として、ひとつの節目となる今回の選挙をどう支えるか、また今後、ミンダナオの和平プロセスにどう関与していくか、方針を伺います。また、3月には和平調停ユニットが外務省内に設置されましたが、日本が、これから政府として和平調停機能を強化していく上で、ミンダナオの経験をどう生かしていくか、お考えを伺います。

【茂木外務大臣】御指摘のミンダナオの選挙の実施は、日本政府が30年以上にわたって支援してきましたミンダナオ和平プロセスにおける歴史的な一歩となるものでありまして、選挙監視団の派遣等を通じて、選挙が平和裏かつ円滑に実施されるように支援していきたいと考えております。
 この選挙後も、ミンダナオにおける公正で持続可能な和平の実現に向けて、日本は、フィリピンの「包括的・戦略的パートナー」として、フィリピン政府及びバンサモロ暫定自治政府の双方に寄り添いながら、力強く支援していく考えであります。
 そして、この件とも関係しますけれども、今年の3月に、外務省の中に「国際和平調停ユニット」を立ち上げたところでありまして、このミンダナオ和平を含め、これまで積み重ねてきた専門的知見であったり情報を生かしながら、このユニットで組織的に集約し、同時に人材育成等もこの和平調停の分野での人材育成も図りつつ、和平調停の取組を更に強化していきたいと思っています。

今後の外交方針

【産経新聞 永原記者】今月後半以降、国連総会を皮切りに、秋の外交ラッシュが始まり、大臣も夏に続いて、多くの海外に出向かれると思いますけれども、今回、米国とイランによる攻撃の応酬が再び再燃する中での外交ラッシュとなりますが、日本政府として、どういった方針で臨んでいかれるのか、大臣のお考えをお伺いします。

【茂木外務大臣】来週以降の日程ですので、人事に関する質問ではない、こういう前提でお答えをしなければならないと思っていますが、中東情勢を含めて、世界は今、パワーバランスの変化や、紛争、対立の激化、さらにはAIを始めとする技術革新の加速化の中にありまして、我が国を取り巻く安全保障環境、これも一段と厳しさを増している、このように考えております。
 こうした国際情勢の中で、これまでの私自身の一連の外国訪問等での会談は、進化したFOIPをはじめ、我が国の外交政策を丁寧に説明してきたところでありまして、日本との協力であったり、連携への高い期待、それを各地で感じてきたところであります。
 政府、また外務省として、今後もこれまで築いてきた各国との協力関係を生かしながら、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、我が国及び国際社会が直面する諸課題に、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。

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