記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和8年1月20日(火曜日)13時57分 於:本省会見室)

(動画)茂木外務大臣会見の様子

冒頭発言

【茂木外務大臣】一昨日まで、中東、そして、フィリピン、インドを訪問しておりましたので、久しぶりの記者会見になりますが、よろしくお願いいたします。
 私の方から、特段今日、御報告することはありませんので、御質問等ありましたらお願いいたします。

今後の対米外交

【北海道新聞 村上記者】米政権について伺います。第2次トランプ政権、20日で発足から1年となります。衆院解散総選挙が控えていますので、今後の政権の体制がどうなるかについて、確定的なものはないことは承知していますけれども、大臣としては、今後の対米外交をどのように進めるべきなのか、何が重要なポイントになるとお考えでしょうか。また、関税合意に基づく対米投資について、米側と、今、協議を重ねていますけれども、投資の採算性を懸念する声にどう答えますか。また、日本側としては、この春に訪米、高市総理の訪米を予定されていますけれども、その前に投資案件をまとめるお考えなのか、現在の検討状況をお伺いします。

【茂木外務大臣】日本を取り巻く安全保障環境、これは一層厳しさを増しておりまして、国際情勢、これはウクライナ、さらには中東始め、また、南米においても、一層複雑化していると考えております。
 そうした中、中東、私も訪問してまいりましたけれど、また、ウクライナなどにおける平和の実現に向けた取組において、米国は、引き続き、不可欠な役割、これを果たしていると、このように考えております。
 トランプ政権2期目が発足して1年がたとうとしておりますし、日本、そして地域の平和と安定に、また、国際社会の課題解決における米国との協力の重要性を、改めて実感しているところであります。
 だからこそ、同盟国同士での率直な意見交換であったり、協力、これを積み重ねていくことによりまして、日本の外交・安全保障政策の基軸であります日米同盟を一層強固なものとしていき、米国のインド太平洋地域へのコミットメントであったりとか、国際社会への前向きな関与を引き出していくことが重要になってくると思っております。
 米国のインド太平洋地域へのコミットメントについては、インドにおいても、またフィリピンにおいても、私の方から問題提起をしまして、これをしっかりと引き出して、連携して引き出していこうと、こういったことでも一致を見たところであります。
 まず、本年春に向けて調整しております高市総理の訪米が、重要な機会になると考えております。昨年10月の、第1回目の首脳会談、非常にいい感じで、両首脳間の信頼関係を築けたと、こんなふうに考えているわけでありますが、今後、日米首脳間で、揺るぎない日米の結束を改めて確認をするとともに、外交、経済、安全保障、さらには、経済安全保障、レアアースであったりとか、半導体であったりとか、造船であったり、様々な分野があるわけですけれど、幅広い分野での日米協力、これを一層推進をし、日米同盟の新たな歴史を切り拓く。そういう有意義な訪問となるように、外務省としても、しっかり、今、準備を進めてまいりたい、こんなふうに考えております。
 そして、戦略的投資イニシアティブの件でありますが、これの下で、案件形成、具体的に一つ一つ案件を作っていくことになるわけですけれども、これに関しては、日米間の協議委員会というのがあるわけでありまして、この協議委員会を通じて、採算の観点を含めて、適切な内容となるように、必要な点について、日米間で協議を進めていくという形になると思います。
 もちろん企業に投資してもらうことになるわけですから、投資する企業の側からしても、採算が合わない、こういうものであったら投資に値しないということになってきます。米国とも、米国の側も、土地の提供をするとか、インフラを提供するとか、また取引先、これを斡旋するとか、様々な手配をすることになっております。日本としても、融資であったりとか融資保証、様々な対策をとっていくわけでありまして、そういった中で、しっかりと、日米間でお互いにウィン・ウィンとなるというか、成果が上がるような案件、こういうものを形成していきたいと、こんなふうに今考えております。
 では、具体的な案件がいつできるかということでありますけど、これはできるだけ早くと、こんなふうに、今、考えているところでありますが、これを発表のタイミングと、これは日米間で、加速していくということで一致をしているところでありまして、引き続き、案件形成に向けて、精力的に取り組んでいきたいと、こんなふうに考えています。

日中関係(レアアース関連)

【ブルームバーグ 村上記者】日中関係についてお伺いします。高市総理は、19日、中国による重要物資の輸出管理強化について、経済的威圧の手段に用いないよう、有志国と連携した中国への申入れを進めると発言されました。どういった有志国のフレーム・ワークで、どのように申入れを行う予定かお願いします。

【茂木外務大臣】ごめんなさい、もう一回言ってもらえますか。

【ブルームバーグ 村上記者】昨日、高市総理が、中国による重要物資の輸出管理強化について、経済的威圧の手段に用いないように、有志国と連携して、中国への申入れを行うと、それを進める発言されました。それが、その有志国の申入れというのが、どういうフレーム・ワークでどのように申入れを行う予定なのかというところです。

【茂木外務大臣】おそらく、中国のレアアースの輸出に関しては、これから特定国に依存しない、こういった形で、レアアースを始めとした重要鉱物であったりとか、様々な品目のサプライチェーンを作っていくことが必要でありまして、その上では、同志国との連携というものは極めて重要になってくると、こんなふうに考えております。
 一方で、我が国のみをターゲットとしたような、中国の輸出管理措置につきましては、国際的な慣行、これと大きく異なるものでありまして、決して許容できず、極めて遺憾であると考えております。中国側に対しても、その旨の申入れを行い、強く抗議をするとともに、措置の早期撤回を求めているところであります。
 私の出張の際もそうでしたけれど、電話会談等々を通じても、中国のこういった輸出管理措置であったり、例えば、こういった中国が持っている物質、これをある意味武器化するというか、戦略的に自分の目的の達成のために使う、こういったことについては、強い懸念を持っていると、こういったことを説明して、相手国からも理解を得ているというところであります。

対イスラエル外交

【フリー・ジャーナリスト 志葉氏】大臣はイスラエルを訪問で、ネタニヤフ首相に、ガザ民間人保護を求めましたが、入植地の拡大や民間人攻撃は、この20年余り、悪化の一方で、ICCは、ネタニヤフ氏に戦争犯罪人として逮捕状を発行しています。日本は、今回のガザ攻撃以降も、イスラエル製兵器を241億円購入し、小野寺安保調査会長らは防衛産業視察後、ネタニヤフ氏と握手写真まで撮っているんですよね。大臣がICCを支持されているというのは、もう既におっしゃられていることかと思いますが、制裁を含む、対イスラエル外交の抜本的見直しや、政府与党へのイスラエル防衛産業との取引、交流自重を要請するとか、そういったことが必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【茂木外務大臣】我が国として、国際社会におけます法の支配の徹底のため、常設の国際刑事法廷でありますICC、これ一貫して支持してきていること、累次申し上げてきているところであります。
 その上で、今回、イスラエル、パレスチナの方、訪問しましたが、その目的は、中東地域の緊張緩和と平和構築を達成するためには、これまで両者との間で、日本が築いてきた良好な関係、これを、ベースにしながら、日本の考え方、今後の具体的な行動に対して、両方に、率直な意見を伝えるということであります。
 今、米国を中心にしながら、包括的な分けについての協議が進んでおりますけれど、最終的に、地域を安定させていくためには、イスラエル、パレスチナ、双方が持っている、不信感とか、こういったものを解消していく具体的な行動というものが、私は必要だと思っておりまして、そのことを率直に申し上げたということであります。
 今回、ネタニヤフ首相との表敬の機会においても、私からネタニヤフ首相に対して、こうした考え、直接伝えさせていただきました。
 具体的に申し上げますと、国際人道法に基づく、国際法の遵守を重視するという、こうした日本の立場に基づいて、ガザにおける民間人保護であったりとか、人道支援の確保について、イスラエルが適切な対応をとることを強く求めました。
 また、入植活動、これは国際法違反であり、入植地の拡大であったりとか、入植者によります暴力、こういったものの増加に、深刻な懸念を表明いたしまして、こういったことが続いていると、やはり両者の信頼関係を築けない、こういったことをお話して、日本として「二国家解決」を重視している。それに向けての、歩みを進めて欲しい。こういう話もさせていただいたところであります。
 御指摘のイスラエルとの、関係全般につきましては、引き続き、諸般の情勢を踏まえつつ、適切に判断していきたいと思っております。
 また、個別の活動の議員の活動について、私が別に握手して何かしたわけではありませんから、そのことについて、外務大臣の立場からコメントすることはありません。

米国によるグリーンランド取得発言

【ラジオフランス 西村記者】グリーンランドをめぐって、トランプ大統領の行動や発言についてお聞きします。グリーンランドの領有を目指している米国トランプ大統領の発言や行動は、事実上、力による現状の変更の試みです。今まで日本の政府は、トランプ大統領の発言や行動をコメントしませんでしたが、グリーンランドをめぐって、トランプ大統領の姿勢について大臣の御意見お聞かせください。

【茂木外務大臣】おそらく、グリーンランドについては、地政学的な重要性であったりとか、またレアアース、これを持っていると、重要性というのは高まっているのではないかなと、こんなふうに考えておりますが、御指摘のグリーンランドに関する大統領の発言、発信、これは承知をいたしておりますけれど、他国の政府関係者によります発言の発信の一つ一つについてコメントすることは差し控えたいと思っております。
 その上で、我が国としては、今、米国と欧州の間で、この問題をめぐって、立場の違いがあるというところでありまして、欧州側もこれを調整しようと、こういう努力はしているようでありまして、米国と欧州の間の安定的な関係、これを期待しているところでありまして、このことは、昨日、日・EUの外相電話会談におきまして、カッラス上級代表にも、私の方から、やはり、米国と欧州の間で、しっかり意見調整して欲しい、安定した環境を作ってほしいということは申し上げたところであります。
 引き続き、情勢、関心を持って注視をしていきたいと、こんなふうに考えています。

茂木大臣の訪印の成果

Asian News International 板垣記者】今回の各国要人との会談においては、様々なそれぞれの成果があったものと思われますが、最後の項目でありましたインドにおきましては、ジャイシャンカル外務大臣、それから、モディ首相とも会談されまして、その成果についてお聞かせいただければと思います。

【茂木外務大臣】今回、5か国といいますか、中東と、それからフィリピン、インドと訪問しまして、インドは最後になったわけですが、思ったより涼しいというか、寒くて。いや大変だったなと思ったのですけれど、非常に熱のこもった議論ができたと、こんなふうに考えております。
 今回のインド訪問におきましては、現在の国際秩序が大きく揺らぐ中で、重要なパートナーでありますインドとの間で関係を強化するべく、モディ首相、そして、ジャイシャンカル大臣との間で結構時間を使いまして、モディ首相も当初30分お時間をいただいたのですが、50分近く議論をすると、ジャイシャンカル外相とは2時間以上にわたって議論をするという形でありまして、二国間関係、そして、また、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の実現に向けた、今後の連携について議論を行わせていただきました。
 特に日印の外相戦略対話におきましては、現下の厳しい国際情勢に関する認識の共有を行い、日米豪印を含めて協力していくことで一致をいたしました。また、昨年8月のモディ首相訪日のフォローアップとして、特に、「民間経済安全保障対話」、この開催について一致した他、イノベーションを通じて、経済成長を確保する観点から、「日印AI戦略対話」を立ち上げることについて一致をいたしました。
 そして、日印間の、日本にもインドにもたくさんの優秀な人材がいらっしゃるわけでありまして、人材交流、こういったものを進める観点から、2027年、来年が、国交正常75周年となることで、2027年を、「日印国交樹立75周年」とすることで一致をしまして、それに向けて、様々な事業等も検討していきたいと思っております。
 今回の成果、これを踏まえまして、日印環境を更に強化していくとともに、国際秩序の維持に向けて更に連携していきたいと、こんなふうに考えております。

ロシアによるウクライナ侵略

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】ウクライナ戦争について質問します。2025年12月5日、国際司法裁判所(ICJ)が、ロシアがウクライナに対して、提起した反訴を正式に審議することを認めました。「2014年以来、ウクライナ政府がドンバス地方でロシア系住民に対するジェノサイドを行った」というのが反訴の内容です。ロシアの軍事介入は、「いわれなき侵略」として一方的に非難されてきましたが、その「いわれ」について、その「いわれ」が、国際司法の場で改めて正式に問われることになりますが、このことに関する茂木大臣のお考えをお聞かせください。

【茂木外務大臣】もう一度お願いできますか。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】2005年12月5日に国際司法裁判所が、ロシアがウクライナに対して提起していた反訴を正式に審議することを認めました。その反訴の内容というのが、「2014年以来、ウクライナ政府がドンバス地方で、ロシア系住民に対するジェノサイドを行った」というものです。ロシアの軍事介入は、いわれなき侵略として、一方的に非難されてきましたが、その「いわれ」が国際司法の場で、改めて正式に問われることになります。このことについて御意見をお聞かせください。

【茂木外務大臣】御指摘の国際司法裁判所の決定については承知しておりますが、これは、ロシアが提訴をしたという形でありまして、決定がみられたものではないということで、我が国として今後の審理というものを注視しております。
 いずれにしても、我が国の立場で申し上げますと、ロシアによるウクライナ侵略と、これはウクライナの主権及び領土一体性を侵害するものでありまして、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であると、このように考えております。
 我が国としては、一日も早く、ウクライナの公正かつ永続的な平和を実現するべく、引き続き、G7を始めとします国際社会と連携して取り組んでいきたいと思います。

記者会見へ戻る