記者会見
茂木外務大臣会見記録
(令和7年12月26日(金曜日)10時59分 於:本省会見室)
冒頭発言
【茂木外務大臣】今年最後の会見ということになります。2か月くらいでありますが、いろいろお世話になりました。
私の方からありませんので、質問ありましたらお願いいたします。
鈴木宗男議員のロシア訪問
【北海道新聞 村上記者】自民党の鈴木宗男参院議員がロシアを訪問しています。政府高官らと面会する予定です。北方領土墓参の再開ですとか、ロシアとの漁業協定の早期妥結などを求める意向です。関係悪化によって、政治対話が見通せない中での国会議員の訪問には、どのような意義があるとお考えでしょうか。また、鈴木議員は、出発前に大臣と面会されていますが、どのようなやり取りがあって、大臣からは何か直接お伝えになられたことはあったのでしょうか。
【茂木外務大臣】昨日、鈴木宗男参議院議員、お越しになりまして、お会いをいたしました。個人的な関係でお会いをしたということですので、どういう話をしたかということについては控えさせていただきたい、こんなふうに思っております。
その上で、現在、日露関係、非常に厳しい状況でありますが、北方墓参の再開であったりとか、漁業の問題を始めとして、隣国として解決をしなければならない懸案事項が山積をしておりまして、政府として、ロシア側と適切に意思疎通をしていく、こういう必要があると、こんなふうに思っております。
カンボジア・タイ間の軍事衝突
【時事通信 千葉記者】タイとカンボジアの間での軍事衝突の再燃についてお伺いします。24日に停戦協議が始まったものの、戦闘が続いておりまして、外務省も危険情報を引き上げていると思います。日本政府として、両国にどのように働きかけを行っていくか教えてください。
【茂木外務大臣】12月以降、カンボジア・タイの間で、再び軍事衝突が拡大して、民間人を含みます死傷者・避難者、及び民間施設への被害が、両国で拡大している状況と深く憂慮しております。
現在、両国の国防当局間での協議が行われているところでありますが、日本政府としては、こうした対話を通じて、停戦が着実に実現することを強く期待をいたしております。
先週18日、シーハサック・タイ外相と会談をいたしましたが、その際に、私からこの点を直接働きかけたところであります。また、昨日まで、鯰外務審議官をカンボジアに派遣いたしまして、カンボジア外務国際協力省の高官にも、同じように働きかけをしたところであります。
引き続き、両国に対して、日本政府として、様々なレベルで、対話を通じた、平和的解決を求めるとともに、緊張緩和のための取組を進めていきたいと、こんなふうに考えております。
対ウクライナ支援
【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】ウクライナ支援について伺います。12月19日、ゼレンスキー大統領が、自身のX(エックス)に、「日本と高市早苗首相が、来年、ウクライナへの約60億ドルの追加財政支援を決定したことに感謝する」と投稿しました。2025年度の補正予算が12月16日に成立し、第219回臨時国会は12月17日に閉会しています。ゼレンスキー氏の投稿内容が事実であれば、国会閉会後にウクライナ支援を決めたということになりますが、この支援を決定した経緯について御説明願います。また、茂木大臣は12月9日の定例会見にて、ウクライナへの支援を人道、財政、復旧・復興と三つに分けて説明されましたが、特に、復興・復旧について、これまでの実績及び今後、具体的にどのような形で支援を考えているのか、御教示ください。
【茂木外務大臣】発表した経緯でありますが、今月19日に、G7の財相会合が行われまして、その際に、日本側として60億ドル、これを発表させていただいたということであります。
また、復旧・復興支援につきましては、特に3点、電力などの生活の再建、そして、農業生産回復・産業の振興、民主主義・ガバナンス強化、こういったことを中心にしながら、様々な分野で支援を実施してきてきております。
今後も、G7各国と連携をしながら、また、ウクライナの現地のニーズをしっかりとで踏まえて、日本として、できる支援をしていきたいと考えてます。
米印関係、QUADに向けた働きかけ
【Asian News International 板垣記者】対立が続いていましたモディ首相とトランプ大統領、12月に入りまして、雪解けと言いますか、両者の電話会談が行われ、そして、モディさんは「非常に実りある会談であった」というような評価をし、さらにUSTRとインド政府の間で、細かな詰めも含めて行われているようでございます。2人は、早ければ、2人と言いますか、両国は、年内にも合意するんではないかという当初の観測もあったんですが、やはり1月に入って2人が会うところで、というようなですね、そういうような見方が強くなっております。多分その場で合意し、そして協定をお互いに交わすというようなところまで至るんではないかというようなですね、一部は既に報道されているところなんですが、そういったような観測がございます。こうした流れに対して、日本の政府としての受け止め方をお聞きしたいのと、あとは、このような流れを加速・拡大させるための働きかけといったようなことはお考えでしょうか、お聞かせください。
【茂木外務大臣】前半の部分ですが、事実関係にしても、日本ではなくて、米国とインドの間の話でありますし、さらには、今後どう進んでいくか、これ、見通しについて御意見を言われたということで、それについて、それが正しいとか間違っているとかいう立場にはないと、コメントは差し控えたいと思っております。
いずれにしても、米国、そしてインド、これは「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、重要なパートナーだと考えております。そのことは、米国も、そしてインドも認識していると思います。そういった働きかけを、日本としても、日米豪印のQUADであったりとか、これが「自由で開かれたインド太平洋」にとって極めて重要な枠組みであると、できるだけハイレベルの会合を早期に開催しようということを働きかけていきたいと、こんなふうに考えています。

