記者会見
茂木外務大臣会見記録
(令和7年11月28日(金曜日)17時55分 於:本省会見室)
中国によるレアアースの輸出規制の可能性
【産経新聞 永原記者】中国政府が、日本産水産物の輸入申請の受付を当面停止すると日本政府に通知してから、約1週間が経過しました。中国は、今後、レアアースなどの停止にも踏み切るのではないかという指摘もありますけれども、現在のレアアースの流通状況に問題はないのか、日本政府として、仮にレアアースが止められた場合の対応策をどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
【茂木外務大臣】現在のレアアースの流通状況につきましては、経済産業省の方にお聞きいただければと、こんなふうに思っております。
いずれにしても、引き続き、様々な状況を注視しながら、必要な対応を行っていきたいと思います。
ワシントン条約締約国会議第一委員会でのウナギ国際取引規制否決
【日経新聞 堀越記者】ウナギの国際取引の規制強化について伺いたいと思います。ワシントン条約の締約国会議の委員会が27日に開かれまして、EUがニホンウナギを含むウナギ全種の国際取引の強化案を提案していましたが、日本は、従来より反対の姿勢を示していました。結果、日本の主張どおり、反対多数で否決されるという結果になりました。まず、この結果の大臣の受け止めをお願いいたします。委員会では、100の反対票が集まりまして、日本の立場が各国に支持されましたが、この理由はどういうものだと分析されますでしょうか。どのような点に力を入れて外交努力をしてきたのか、教えていただければと思います。
【茂木外務大臣】今回の委員会におきまして、我が国の立場というのが、広く多くの国から支持をいただいたということについては、非常に良い結果を出すことができたと、こんなふうに考えております。
本件につきましては、国際取引による絶滅のおそれのないニホンウナギを含めて、資源状況にかかわらず、ウナギ全種を対象としておりまして、科学的根拠を欠くという点について、各国に対して丁寧に、政府一丸となって説明してきたところであります。こうした説明であったりとか、我が国と良好な二国間関係、こういったものが、多くの国の支持につながったんじゃないかな、反対表明につながったんじゃないかなと、こんなふうに考えているところであります。
私自身も、大臣就任直後から、外相会談の機会等を通じて、各国に説明してきましたし、農水省は農水省で、非常にそれぞれの働きかけもしてもらったと思いますし、また在外公館等におきましても、それぞれのルートで働きかけをしてもらった、そういったきめ細かな外交努力を重ねてきた結果だと思っております。
この結果が、今度は、12月5日のワシントン条約の締約国会議の全体会合で報告されて、最終的に決定されるまで、引き続き、緊張感を持って対応してまいりたいと、こんなふうに考えております。
在日米軍による単独パトロール
【琉球新報 謝花記者】米軍の憲兵隊が、リバティー制度に基づく取締りとして沖縄で実施している単独パトロールに関してですが、軍人ではない民間の外国人男性を拘束していたことが分かりました。日本国内で、米軍が民間人に警察権を行使したことは、法的に問題はないのでしょうか。また、この男性が、「無作為に日本人も拘束できるのか」と尋ねると、憲兵は「できる」と答えたという話もあります。受け止めを伺いたいと思います。また、このような事態を受け、今後、米側に対して、何らかの申入れを行う予定はありますでしょうか。
【茂木外務大臣】御指摘の報道、これは承知いたしておりますが、今、米側に事実関係を確認中でありまして、お答えを控えさせていただきたいと思います。米側でも、今、確認中だということであります。
外務省のSNS発信
【共同通信 阪口記者】冒頭の質問と関連する日中関係についてお尋ねします。外務省のSNSでの発信についてです。中国の主張に対する外務省のSNSでの反論が続いていると思います。昨日も、非核三原則に関する反論をされていたと思いますけれども、まず、その狙いについてお尋ねします。今後も同様の中国の対抗措置、情報戦とも言われていますけれども、そういうことも予想されますけれども、政府の対処方針についてお尋ねします。併せて、非難の応酬になって、対立が激化するのではないかという懸念もあると思いますけれども、発信と関係改善に向けた取組のバランスを、どのように取っていくお考えかというのもお尋ねできればと思います。よろしくお願いします。
【茂木外務大臣】反論という表現がいいのかどうかと、これはあるんだと思うんですけれど、在京の中国大使館が、SNS上で、日本の非核三原則等に関する根拠のない批判、これを行ったために、外務省から正確な事実関係を発信したものであります。
政府としては、状況を注視しながら、事実と反する中国側の発信に対しては、事実はどうなのかということはしっかり発信していく必要があると、こんなふうに考えております。
日本側から、日中間の様々な対話についてはオープンでありまして、課題と懸案を減らして、理解と協力を増やしていくという方針に、変わりはないところでありまして、引き続き、状況を注視しながら、適切な対応を行っていきたいと思っております。
台湾問題
【CGTN 寺嶋記者】高市総理は、党首討論の中で、日本はサンフランシスコ条約に基づく一切の権利を放棄したため、「台湾の法的地位を認める立場にない」と答弁されましたが、これは同時に、日本は中国による台湾の主権を認めないということも意味するのでしょうか。よろしくお願いします。
【茂木外務大臣】我が国は、サンフランシスコ平和条約に従いまして、台湾に対する全ての権利、そして権原、げんは原という字を書く権原ですね、及び請求権を放棄しておりまして、台湾の法的地位に関して、独自の認定を行う立場にはないということであります。台湾に関する、我が国の政府の基本的な立場は、1972年の日中共同声明のとおりでありまして、それ以上でも以下でもございません。
日印関係、QUAD
【Asian News International 板垣記者】この度、マリックさんという、女性の駐日大使が赴任されました。ポーランドから着任されました。この方、略歴を見てみますと、チュニジア大使をやったり、あるいはアフリカ関係の仕事に従事していたりして、非常にあちらと縁が深いと、略歴ではあります。日本政府も含めて、今、推進されている「自由で開かれたインド太平洋」、そして、「日本・インド・アフリカ経済圏構想」、こういったものと非常に平仄が合うんじゃないかなと勝手に思ったりもしておりますが、そうした中で、次回、インド開催のQUADの予定がまだなかなか決まっておりません。諸般の事情はあると思うんですが、こうした流れ、状況に関して、どのような御見解、あるいは今後の展望をお持ちなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
【茂木外務大臣】駐日インド大使、前のジョージ大使も、本当に積極的な活動を展開していたと思いますが、新しく赴任された大使もチュニジア大使であったりとか、アフリカでの活動等々、これまでの経験が非常に豊かであるということでありまして、インド、これは「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた重要なパートナーでありますインドとの間で、御指摘のQUADであったりとか、インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブを通じたものを含めて、幅広い分野で、お互いの強みを生かして、相互補完的な協力を進めていく考えでありまして、新大使にも活躍を期待したいと、こんなふうに思っているところでありますが、次回のQUADの日程については現時点では決まっておりませんけど、引き続き、FOIPの実現に向けて実践的な協力、インドとの間で進めていきたいと、こんなふうに思っています。
日中共同声明
【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】日中共同声明について伺います。元外務省情報局長の孫崎享氏は、日中共同声明について、「台湾問題での中国の立場を日本が十分理解し尊重することを明記する代わりに中国側が戦争賠償請求を放棄するという因果関係がある。日本はこの重い約束を無視し、尊重の部分を捨てることで信義違反の国になりつつある」として、また、「本来外務省が高市首相にその約束を説明すべきである」とおっしゃっています。孫崎氏のこの指摘、また田中角栄内閣始め、自民党の先達の方々が、日中の協調関係構築のために、非常に困難な交渉の末に合意に達した日中共同声明の意義について、大臣の認識をお聞かせください。また、高市政権は、中国と台湾の統一問題は「一つの中国」の内政問題であると考えているのか、または台湾の併合を阻止するためならば、我が国が米国とともに軍事介入すべき問題であり、中国との戦争も辞さないと考えているのか、二者択一でお答えください。よろしくお願いします。
【茂木外務大臣】なかなか、二者択一で答えられない問題もあるということを、ぜひ御理解いただきたいと思っております。
それから、例えば、今、外務省の現役の局長であったりとか、幹部、もしくはいろいろな方々、もしくは大使、こういった人たちの発言については、私の下で、しっかりと統一的な見解を示したいと思いますけれど、もう既にお辞めになった方も含めて、それは評論家の方もいらっしゃいますし、いろいろな方がいらっしゃるわけでありまして、いろいろな発信、それは毎日のように、雑誌も新聞もSNSもいろいろなところで発信というのはなされているわけでありまして、その一つ一つの発信について、また発言について、コメントするということは控えたいと、こんなふうに思っておりますが、我が国の台湾に対する基本的な立場、これは1972年の日中共同声明のとおりであります。
そして台湾をめぐる問題というのが、対話により平和的に解決されることを期待するというのが、我が国の従来からの一貫した立場であります。
台湾問題
【香港フェニックステレビ 李記者】今の日中関係の発言の関連ですけれども、1972年に当時の日本の外務大臣、大平正芳外務大臣が国会答弁で、台湾問題は基本的に中国の内政問題であると答弁されました。この答弁は、今の高市政権、日本政府、まだその答弁を支持している立場でしょうか。ここを明確に教えていただきたいのと、それと、先ほど日中共同声明の話が出ましたけれども、何回か大臣にお尋ねしましたが、日本側が今持っている台湾問題に関する立場というのは変更はないと、何度か繰り返し述べられましたけれども、具体的に何を変わっていないのか、中国が述べている「台湾は中華人民共和国の不可分の一部」であるということを日本側が支持しているのかどうか教えてください。
【茂木外務大臣】当時の大平外務大臣の答弁は、答弁のとおりであります。議事録を読んでいただければ、そのことについては分かると思います。日本の立場というのは一貫しておりまして、変わっておりません。それ以上でもそれ以下でもございません。
日中関係の緊張による経済的影響
【CGTN 寺嶋記者】日中関係の悪化が2026年まで続いた場合は、エコノミストの試算で日本の観光業だけで1.5兆円の収益損失が生じる可能性があるという試算が出たのですが、こうした損失の現状をどのように捉えていらっしゃるか、また、両国間系の信頼回復と日中関係、日中経済の関係の更なる悪化を防ぐために、日本はどのような外交的措置を講じるお考えでしょうか、お聞かせください。
【茂木外務大臣】申し訳ありません、エコノミストが日本の観光業で、1.5兆円の。
【CGTN 寺嶋記者】エコノミストの試算で、1.5兆円の損失が出るのではないかと。
【茂木外務大臣】エコノミストというのは。
【CGTN 寺嶋記者】エコノミストの試算で。
【茂木外務大臣】エコノミストというのは雑誌のことですか。
【CGTN 寺嶋記者】すみません、人間ですね、証券会社のエコノミストが、1.5兆円の損失が出るのではないかという試算を出したのですが、それについてのお考えと信頼回復の外交的措置をどのようにお考えかお聞かせください。
【茂木外務大臣】いろいろなエコノミスト、いろいろな試算を出します。それは御案内のとおりでありまして、その試算が正しいかどうか、これを判断する立場に私はないということは申し上げたいと思います。
その上で、何度も繰り返して話してきているところでありますけど、当然、そのなんというか、隣国の間では様々な懸案とか課題というのはあるわけであります。同時に協力できる分野というのもあると。ですから、対話を通じて懸案や課題というものを少しでも減らしていく、そして理解や協力というのを広げていく、こういったことが極めて重要だと思っております。
そして、それが「戦略的互恵関係」を包括的に推進する、また、建設的で安定的な関係を構築する、こういった、日中間で一致している大きな方向性に合致するものだと考えておりまして、日本として、あらゆる対話についてオープンであります。
台湾問題
【フェニックスTV 李記者】先ほど、大臣の御回答の中に、日本政府の立場は一貫していることは、台湾問題は中国の内政問題であると理解しましたが、それでよろしいでしょうか。そして台湾独立についての日本政府の立場も聞かせてください。
【茂木外務大臣】多分、私の理解と、李さんですか、理解では違っている部分はあるのではないかなと思います。
【フェニックスTV 李記者】どういった部分が違うんでしょうか。
【茂木外務大臣】個別には、また具体的に言っていただきましたら、お答えいたします。

