記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和7年11月18日(火曜日)15時13分 於:本省会見室)

(動画)茂木外務大臣会見の様子

冒頭発言

(1)カリブ3か国のハリケーン被害に対する緊急無償資金協力

【茂木外務大臣】10月の下旬にハリケーン「メリッサ」によって、カリブ地域にもたらされた甚大な被害に対して、本日、日本政府は、ジャマイカ、キューバ、及びハイチの3か国に対して、合計400万ドルの緊急無償資金協力を行うことを決定いたしました。
 今般の緊急無償資金協力によりまして、国際機関を通じて、食料、一時的避難施設、保健の分野での人道支援を実施してまいります。
 被災地域の一日も早い復旧に向けて、関係国や機関と緊密に連携していく考えであります。

(2)日中アジア局長協議

【茂木外務大臣】それから、日中のアジア局長協議、まだ終わったと、こういう連絡は入っておりません。終わったら報告が来ると思います。

日中関係についての米・台湾等の反応

【読売新聞 植村記者】高市首相の台湾有事や存立危機事態に関する国会答弁について伺います。米国のジョージ・グラス大使は、「X(エックス)」に呉江浩(ご・こうこう)駐日中国大使や、薛剣(せつ・けん)大阪総領事の発信に対して、皮肉を込めた投稿をしたほか、日米同盟で、台湾海峡の平和と安定を維持する等投稿しました。また、台湾の頼清徳(らい・せいとく)総統は、17日、「中国はトラブルメーカーになるべきではない」と、中国側に抑制的な対応を求めました。こうした日本政府の立場に理解を示す同盟国等の発信に対しての、大臣の受け止めを伺います。また、一連の日本政府の立場が、国際的な理解を今後得ることができるのか、中国以外の第三国の理解を深めるために、政府として、どういった行動をしていくかなどありましたら伺います。よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】まず、先日来お話をしておりますが、中国の大阪総領事の投稿、発信、これは在外公館の長の発信として、極めて不適切だと考えております。また、二国間の人的交流を萎縮させるような中国側の発表もあるわけでありますけれど、これは日中間で確認された大きな方向性とも相入れないものだと、そんなふうに考えております。
 そして、グラス大使のSNSの話もありましたが、この台湾海峡の平和と安定、これは、日本の安全保障はもとより、国際社会全体にとっても重要でありまして、台湾をめぐる問題、これが対話により平和的に解決されることを期待するというのが、我が国の一貫した立場でありますし、こういったことは、私もこれまで、様々な国際会議、ASEAN関連の首脳会議であったりとか、APEC、更にはG7の外相会談、NATO等々でも強調して、皆さんに説明をして、関係国にも説明をしてきているところであります。
 御指摘の発信、いくつかについてありましたが、我が国の考えや立場に対する様々な発信、これについては承知して、また留意しておりますけれど、地域の平和と安定に向けて、同盟国、そして、同志国はじめ国際社会と、先ほど申し上げたように、緊密に連携して、引き続き適切に対応していきたいと、こんなふうに思っております。

非核三原則

【中国新聞 中川記者】非核三原則についてお伺いします。先ほど、衆院安全保障委員会で、非核三原則について、大臣、堅持し、岡田元外相の国会答弁を引き継ぐというお答えをされました。その上でお伺いします。高市総理は、かねて著書で、非核三原則のうち、「持ち込ませず」が邪魔になるという意見をつづっていますけれども、大臣はどのようにお考えになるか教えてください。よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】今日の委員会での答弁で申し上げましたが、非核三原則、政策上の方針として堅持する上で、「持ち込ませず」については、2010年の当時の岡田外相によります答弁、引き継いでいく考えであります。

日中関係の民間交流への影響

【日経新聞 堀越記者】日中の話に戻って恐縮なんですけれども、日中関係と民間交流というところで伺いたいと思います。例えば、日中両国の有識者なんかが、政治や外交について議論する「東京-北京フォーラム」などの延期も発表されています。延期は、中国側から、高市首相の台湾有事を巡る発言が理由だと説明されていますけれども、日中関係が、民間交流・民間外交に影響を与えるようになってきてしまっていますが、現状、大臣は、どのようにご覧になっているでしょうか。また、活発な民間外交や交流というものは、両国にとって重要な要素であると思いますが、民間外交が両国で正常に促されるように、政府として今後どのように取り組んでいくお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】御指摘のフォーラム延期については承知をいたしております。それで、様々な国との国際的なフォーラムというのは、たくさんあるわけでありまして、こういった民間のフォーラムについて、日程が変わったりすることはよくあることだと、こんなふうに思っておりまして、政府として、その一つ一つについてコメントすることは差し控えたいと、こんなふうに思っております。
 その上で、日中間には、懸案や意見の相違があるからこそ、官民双方で、日中間で、幅広い分野での重層的な意思疎通、これを図っていくことが重要だと考えておりまして、その点も強調してきたところでありますけれど、こうした観点から政府として、引き続き、適切に対応してまいりたいと思っております。

金井外務省アジア大洋州局長の訪中

【NHK 山本記者】冒頭の、日中の局長級協議、お話ありましたけど、念のための確認なんですけど、会われたのは、金井さんは、劉勁松(りゅう・けいしょう)アジア局長と協議を行ったということでいいかということと、大臣としての、どういった成果を期待されているかを聞かせてもらえればと思います。

【茂木外務大臣】それで結構です。
 それでちょっと今、会見中に終わっているかどうか、飛行機の時間もあるので、そろそろ終わる時間じゃないかなと、こんなふうには思っているところでありますが。いずれにしても、また終わりましたら、まずは、報告があると思いますし、明日にも詳しい報告は聞きたいと、こんなふうに思っているところであります。
 先ほども、ちょっと申し上げたのですけれど、今回の問題をめぐって、二国間の人的交流を萎縮させるような中国側の発表等につきましては、両首脳間で確認をされました「戦略的互恵関係」の包括的推進と、建設的かつ安定的な関係の構築という大きな方向性とも相入れないものである、こんなふうに思っておりまして。
 中国側には、高市首相の国会答弁、その趣旨、これについて、きちんと説明をするとともに、今申し上げた点についても、申入れを行い、適切な対応を求めてきたところでありますし、金井局長にも、今回の協議でその方向で対応するようにということで指示をさせていただいて、北京の方に赴いているという形であります。

日・インドネシア外務・防衛閣僚会合(「2+2」)

【トリビューン・ニュース スシロ記者】インドネシアの「2+2」の会合を伺いしたいのですけども、その会議の中で、護衛艦「あぶくま」型をインドネシアに輸出する予定でしょうか。そういう話聞きましたでしょうか。よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】昨日のインドネシアの「2+2」の協議内容については、昨日、共同記者会見でお伝えしたとおりでありまして、もしなければ、その内容ありますので、お届けをさせていただきたいと思っております。
 また、防衛大臣間の、やり取りにつきましては、防衛省の方にお尋ねをいただければと、こんなふうに思っているところであります。

金井外務省アジア大洋州局長の訪中

【ブルームバーグ 村上記者】日中関係の話に戻ってしまうんですけど、本日開催された日中アジア局長協議については、定期的に相互に実施しているものと政府は説明されていますけど、今回の局長級協議は、高市総理が11月7日で答弁された「存立危機事態」について、国会で発言された前から予定されていたものでしょうか、それとも、その発言後に決まったものでしょうか。あと、金井局長が、今、訪中されてると思うんですけど、中国側としての、金井局長の訪中についての受け止めもお願いします。

【茂木外務大臣】日中のアジア局長協議、これは定期的に相互に実施をしてまして、前回、日本でやりましたから、今回、中国で開催するということは決まっておりました。時間の関係で、具体的な日程がどこで固まったというのは、なかなか確定的に申し上げるのはあれですけれど、かなり、もう、国会答弁の時には、日程調整は、かなり進んでいたのは間違いないと思います。

【ブルームバーグ 村上記者】金井局長が、訪中されたことについての、中国側の受け取め。

【茂木外務大臣】ですから、なんていうか、これ定期協議ですから。前回が日本で開催をしたと。ですから、今回は、相互でやっていますので、中国側を訪中するというのは、この順番から言ったら、なんていうか、順当なんだと思います。

存立危機事態

【香港フェニックステレビ 李記者】台湾のことに関してですけれども、茂木大臣が以前の記者会見で、日本政府の立場としては、1972年日中共同声明のとおり変更はないというふうにおっしゃっていました。具体的に、この日中共同声明の中の、どの部分の文言を日本政府として一貫しているのか、そこを明確に、改めて説明をいただきたいのと、そしてもう1点、中国が撤回を求めているんですけれども、日本側が現時点において、改めてお聞きしますが、この高市総理の台湾発言に関して、修正または撤回のつもりはないということでよろしいでしょうか。

【茂木外務大臣】まず第1点目でありますけれど、1972年の日中共同声明と、この中では、台湾に対する、中国側の立場というのが綴られておりまして、その立場について、日本として、理解して尊重すると、こういう文言になっていたと思います。細かい一字一句をということでしたら、資料取り寄せますけど、そういう立て付けで、そういった意味で、日本政府としての立場は一貫していると申し上げています。

【香港フェニックステレビ 李記者】撤回について。

【茂木外務大臣】この「存立危機事態」について、具体的な事象が起こった場合に、それに関する情報を収集をして、総合的に判断して決定をする。このことを、高市総理、私も国会同席しておりましたけれど、予算委員会で何度も繰り返されていたと思ってます。そして、「存立危機事態」、これは、武力衝突がない限りは「存立危機事態」にはならないわけですから、その点も強調されていたと、このように考えておりまして、それは、今までの政府の一貫した見解のとおりだと思っております。

中国による日本への渡航自粛要請

【読売新聞 植村記者】中国関係でお伺いします。今般の中国外務省の渡航自粛要請、あとは、中国教育省の中国国民に対しての日本への留学計画について慎重に検討を求める通知などを出しましたが、これらの中国側の対応策に関して、日本経済にダメージも与えかねない判断だと思いますが、大臣は、これらの中国側の対応を日本への「経済的威圧」にあたると考えますでしょうか。よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】「経済的威圧」。これまで「経済的威圧」ということ、国際社会でも、よく使われてきたわけでありますけれど、その「経済的威圧」かどうか、ともかくとしまして、先ほど申し上げたように、人的交流、これが萎縮するような行為というのは、日中で確認した大きな方向性、これとは相容れないと、このように考えています。

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