記者会見
茂木外務大臣会見記録
(令和7年11月4日(火曜日)11時52分 於:本省会見室)
冒頭発言
ASEAN関連首脳会議、トランプ大統領の訪日、APEC首脳・閣僚会議
【茂木外務大臣】先週は、APECの首脳会談から始まりまして、トランプ大統領の訪日、そしてまた、韓国で行われました、失礼しました。最初は、ASEANでしたね。ASEANの首脳会談から始まりまして、トランプ大統領の来日、さらには韓国でのAPECの閣僚会議、首脳会議、私も10近くのバイ会談も行いました。それぞれの機会に、その内容であったりとか、評価についてはお話をしましたので、今日は、引き続き、皆さんの方から質問をお受けしたいと、こんなふうに思っております。
高市政権の外交
【産経新聞 永原記者】APECについて改めてお伺いします。今回のAPECでは、控え室で、総理が積極的に他国の首脳に話しかけたり、肩を組んだりする様子が、SNSを通じて非常に大きな話題になりました。大臣のコーヒーブレイクの様子も、400万を超える閲覧件数になっています。高市政権の外交が、SNS上で注目を集めていることについて、大臣の受け止めをお願いいたします。
【茂木外務大臣】私も拝見していて、高市総理、積極的に、会議の前というか始まる前とかに、各国の首脳のところに、自分から出てきまして、いろいろな話をするということもありましたし、私も会議では、そういった形で、各国と時間のある時は立ち話をする、こういったこともやってきたわけでありますけれど、高市総理、今回の一連の外交日程を通じて、同盟国・同志国、また、地域の隣国のリーダーと、率直に語り合い、個人的な信頼関係、これを構築されたと思っております。こういった関係というのは、今後首脳外交進めていく、また日本外交を進めていく、こういう、基盤固めになったと、このように考えております。
 私自身も、重要な会議・会談の連続でありまして、就任以来、13の会談等を実施し、数多くのカウンターパートとの関係を構築することができたことは、大変大きな成果であったと考えております。
 今後も、我が国の外交現場であったりとか、最前線での取組を、しっかりと説明、そしてまた、発信していくということは、外交に対する国民の理解を得る上でも、極めて重要だと考えております。
 もちろん、海外のカウンターパートの信頼関係もありますけれど、外交というものは国民の信頼があってこそ成り立つ、こういった意味からも、そういった配信には、これからも努めていきたい。そういった意味でも、SNSを始め今般の外交活動、評価いただく声が多いということについては、ありがたいと、こんなふうに思っているところであります。
 コーヒーブレイクのときのコーヒーを紹介する動画が、400万回以上再生する。意外だったなと、こんなふうに思っているところでありますが、今後、国益を守り、国際社会で、より存在感のある日本ならではの外交として、力強く、また、視野の広い外交、こういったものを進めていきたいと、こう考えております。
APEC首脳会議における高市総理と台湾の代表との会談
【読売新聞 植村記者】高市首相が、APECで、訪問先の韓国慶州(キョンジュ)で、台湾のAPECの代表の元行政院副院長の林信義(りん・しんぎ)氏と会談したことに対して、中国外務省が非難する発表をしました。この中国政府の避難に対する、非難・批判に対する受け止めをお伺いします。よろしくお願いします。
【茂木外務大臣】このAPEC、21の国及びエコノミーで構成されておりまして、そういった機会に、日本の首相が、台湾の関係者と会うということは、これまでもやってきたことだと、こんなふうに思っているところでありまして、御指摘の今回の会談、これ、1972年の日中共同声明を踏まえて、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持するという、日本政府の立場に反するものではない、このように考えているところであります。
 実際、冒頭申し上げたように、これまでのAPECの首脳会議の機会にも、何度もこういった会談は重ねてきていると、そういうふうに承知をいたしております。
中国側からの申入れというのは、この会談を受けてありましたが、日本として、かかる立場を改めて中国に説明し、反論をしたところであります。
 いずれにしても、日本政府の台湾に関する基本的な立場、これに変更はありません。
拉致問題、北朝鮮との会談の可能性
【朝日新聞 宮脇記者】昨日、高市首相は、拉致被害者の帰国を求める国民大集会で、北朝鮮側に首脳会談をしたい旨伝えていると発言されました。事実関係や調整状況を伺います。また、首脳会談の実現に向けて、どのような外交努力が必要だと大臣はお考えか、お伺いいたします。
【茂木外務大臣】昨日、高市首相が、そういった発言をされたということは承知をいたしております。
 北朝鮮に対しては、これまでも様々なルートを通じて、様々な働きかけを行ってきておりますけれども、事柄の性質上、その詳細については、お答えすることは控えたいと思います。
 いずれにしても、高市総理は、金正恩(キム・ジョンウン)委員長との首脳会談に臨む覚悟ができていると、このように述べているところでありまして、政府としては、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するべく、あらゆる手段を尽くして取り組んでいきたいと考えております。
米核兵器実験、核兵器廃絶決議案
【共同通信 比嘉記者】米国のトランプ大統領が、SNSで、ソーシャルメディアで、国防総省に対して、「核兵器の実験を指示した」と明らかにしたことについて伺います。エネルギー省のライト長官が、大統領の指示については、核爆発を起こさない臨界前核実験になるとの認識を示しましたし、臨界前核実験については、バイデン政権下でも実施されてきましたが、今後、米国で実験頻度が上がることによって、上がれば、ロシアや中国との核兵器の現代化に向けた競争激化も懸念されています。また、現地時間の10月31日、国連総会第1委員会が、核兵器廃絶を目指す日本提出の決議案を賛成多数で採択し、大臣も談話を出されておりましたけれども、昨年は同じ決議案に賛成した米国が、今年棄権したことについて、どうお考えでしょうか、どのように分析されますでしょうか。また、先ほど申し上げましたトランプ大統領の核兵器実験の開始指示についても、どう受け止められていますでしょうか。今後、日本政府として、米側にどのような働きかけしていくのか、教えていただけませんでしょうか。お願いします。
【茂木外務大臣】御指摘のトランプ大統領の発信については承知しておりますが、コメントは控えたいと思います。
 かねてから、米国とは核軍縮の問題、日本の考え方について、緊密に意思疎通してきておりますが、今後もこれを継続していきたいと、こんなふうに思っております。
 核兵器廃絶の決議についてでありますが、10月31日に、我が国が提出した「核兵器のない世界に向けた共通のロードマップ構築のための取組」と題する決議案が、145か国、これ、かなり多い数になると思うんですが、この賛成を得て採択をされたところであります。
 核軍縮をめぐる分断が深まり、安全保障環境が厳しさを増す中、様々な立場の国々から幅広い支持を得られたことは、大きな意義があったと思っております。
 こういった国連の決議、これ、一貫して賛成の国・反対国とか、その年によって、賛成したり棄権をしたり、こういったことは日常よくあることだと、こんなふうに思っておりまして、各国の投票のそれぞれについて、日本政府がその意図などを説明する立場にはないと考えておりますが、いずれにしても、日米間で、この分野で、平素から緊密に意思疎通しているところは、これは間違いない事実であります。
 引き続き、唯一の戦争被爆国として、各国の意見を最大限集約しながら、国際社会の取組を主導する努力を尽くしていきたいと、このように考えております。
日米関係
【上海東方テレビ 宋記者】高市総理とトランプ大統領の親密ぶりが話題となりました。飛び跳ねるような姿も報じられて、一部には、やり過ぎではないかという声もありました。茂木大臣としては、どのようにお考えでしょうか。
【茂木外務大臣】先週のトランプ大統領の訪日に際しては、私自身も、日米首脳会談に同席をいたしましたけれど、和やかな中にも、充実したやり取りが行われたと思っております。日米同盟の新たな黄金時代を築く上で、非常に実りの多い会談となったと受け止めております。
 私も感じたのですけれども、初めての会談とは思えないような、本当に打ち解けた雰囲気で、大変充実した会談が行われていると思っております。
 日米首脳会談を始めとした一連の行事の際の首脳間の緊密なやり取りであったりとか、総理の対応と、これはその場の雰囲気と、これに、合ったものでありまして、両首脳間の信頼関係構築に大きく寄与するものであったと、こんなふうに私は捉えております。
金永南・北朝鮮元最高人民会議常任委員長の死去
【読売新聞 植村記者】北朝鮮の高官の死去について伺います。北朝鮮の朝鮮中央通信は、金永南(キム・ヨンナム)元最高人民会議常任委員長が、今月3日、多臓器不全のため、97歳で死去したと報じました。北朝鮮外交の生き証人とも言われ、平昌五輪の開会式関連のイベントで、当時の安倍首相と接触するなど、日本との関係も少なからずあった人物ですが、死去に際して、大臣の受け止めを伺います。よろしくお願いします。
【茂木外務大臣】御指摘の北朝鮮の発表については承知をいたしております。 今、いろいろな、これまでの活動についてのお話があったわけでありますが、故人の御冥福を心よりお祈りしたいと思います。

    