記者会見
岩屋外務大臣会見記録
(令和7年10月10日(金曜日)15時12分 於:本省会見室)
冒頭発言
大阪・関西万博外交総括
【岩屋外務大臣】万博がもうすぐ終わりますので、万博外交全般について申し上げたいと思います。
大阪・関西万博は、来週13日に閉幕を迎えます。万博開幕以降、これまでに、各国のナショナルデーといった機会に、約90名に及ぶ元首・首脳級や、約50名の外相級を含めまして、非常に多くの海外要人に万博会場を訪問いただきました。
こうした機会を捉えまして、石破総理は約50件、私(岩屋大臣)は約40件、外務大臣の方が少ないようですけれども、首脳・元首級が多かったものですから、石破総理にも頑張っていただきました。総理は約50件、私(岩屋大臣)は約40件の万博関連の会談を実施いたしまして、二国間関係や国際社会の諸課題について、各国との意思疎通を図りつつ、連携を一層強化することができました。
また、万博は、海外の活力を日本に取り込む契機ともなったと思います。各国の要人が訪日される際は、ビジネス関連の日程を組まれる場合が多く、その意味で大きな相乗効果があったと考えております。さらに、大阪以外の地方をこの機会に訪問される例も多く見られまして、その意味では、地方創生にもつながったと考えています。
加えて、万博を通して、政府関係者のみならず、経済界、学術・文化関係者を含めて、多くの国民の皆様が世界と交流を深められたことは、外交の裾野を広げるとともに、日本の魅力を国際社会に広く発信する貴重な機会になったと考えております。
以上のように、今回の「万博外交」は極めて有意義であったと確信しております。様々、御援助いただいた皆様に、心から感謝申し上げたいと思います。
冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。
大阪・関西万博外交総括
【読売新聞 植村記者】冒頭、御発言がありました「万博外交」の意義などについて何点か伺います。一連の万博外交の意義、今お話いただきましたが、に加えて、万博外交の機会があったからこそ得られた成果や、岩屋大臣が印象に残っている外交の場面がありましたら教えてください。また、今回の大阪・関西万博における、石破政権の万博外交の特徴はどういったものだったと振り返っていますでしょうか。また、前回日本で開催された「愛・地球博」と比較して、今回の万博外交はどのような特色があったとえ振り返りますでしょうか。よろしくお願いします。
【岩屋外務大臣】冒頭に申し上げましたとおり、今回、万博開催の機会を捉えまして、各国から多数の要人を日本にお迎えして、石破総理も、また私(岩屋大臣)自身も、他の大臣もそうだったと思いますが、各国との意思疎通や連携を一層強化できたと考えております。
先ほど申し上げたように、私(岩屋大臣)は、約40回の、この万博関連の会談を実施したわけですが、この1年で17回、海外出張いたしましたけれども、それでもなかなか行ける国の数というのは限られております。その意味では、なかなか出張で訪れる機会を持てないという国も含めて、多くの国から外相を始め、要人がお越しいただいたことで、この機会を活用して、じっくりと、二国間関係や国際情勢について意見を交わす機会を得られたというのは、万博開催国ならではのことではなかったかと考えております。行かなきゃ会えない人が来てくださるわけですから、その意味では、外交の機会が非常に増えたという効果があったと思います。
特に8月は、横浜でTICAD9を開催したこともありまして、8月だけで私(岩屋大臣)も、約10件の万博関連の会談を行うことができました。まさに万博外交の夏だった思います。
私(岩屋大臣)の場合は、ほとんどこの外務省にお迎えして会談する機会が多かったものですから、特に印象に残っているということでもなかったのですけれども、とにかくたくさんの、なかなか行かなければ会えない国の外相の方々にお越しいただいて、じっくり話す機会が得られたということは、本当に実り多い万博外交だったなと感じております。
それから、過去との比較ですが、単純な比較はもちろんできませんけれども、「愛・地球博」には121か国4国際機関が参加しております。一方、今回の大阪・関西万博には、158か国、七つの国際機関が参加しておりますので、過去、日本で開催した国際博覧会では、過去最高の参加数を記録しております。
それから、それに伴って、首脳級の万博外交としての総理の会談・表敬の数も、「愛・地球博」の時、これは小泉総理のときでしたけれども、約30件でしたが、石破総理は約50件の会談や表敬などを実施されておられます。
また、私(岩屋大臣)の会談・表敬の数は、先ほど言った約40件ですけれども、当時は町村大臣でしたが、約20件でしたので、「愛・地球博」に比べても倍増しているということです。
来日された各国要人には、今回の万博のテーマであります「いのち輝く未来社会のデザイン」を体現する日本の姿を、全体として感じ取っていただくことができたのではないかと考えております。外務省としては、この万博外交の成果を今後に生かしながら、引き続き、積極的に外交を展開していきたいと考えております。
ウクライナ地雷対策会議
【NHK 川村記者】ウクライナの地雷対策会議の関連でお伺いします。今月22日からウクライナの地雷対策会議が開催される予定になっています。今年は日本開催となりますが、今年の会議に期待することを教えてください。
【岩屋外務大臣】御指摘のとおり、今月の22日から23日にかけまして、我が国主催でウクライナ地雷対策会議を東京で開催いたします。この会議は、ウクライナの地雷対策を後押しするために、2023年以降開催されてきているものです。本年はこれまで復旧・復興分野を始め、対ウクライナ支援に取り組んできた我が国が議長を務めることになります。
そして今般の会議では、「復興に向けた加速」というテーマのもとに、ウクライナの地雷対策を進めるに当たって、いずれも重要な「人」、「技術」、それから地雷除去から復旧・復興への円滑な移行を意味する「ネクサス」、地雷除去から復旧・復興に繋がる過程を「ネクサス」という言い方をしていますが、この三つを三本柱に掲げまして、地雷対策の国際協力の具体化に関する議論をリードしていきたいと考えております。
また、我が国は、長年にわたって地雷対策に取り組んできておりますけれども、他の地雷被害国とウクライナの連携強化、そして、地雷対策に関わるビジネス機会の創出・拡大に向けた議論も集中的に行いたいと考えております。
我が国としては、今般の地雷会議の主催や、国際的な議論の主導を通じまして、地雷対策を含むウクライナ支援の国際的ネットワークの多角化、そして強化に貢献していきたいと考えております。
国内政治と外交
【共同通信 鮎川記者】日本国内の政治と外交への影響について伺います。ちょうど、まだ終わってないかと思うんですが、本日、自民党と公明党の党首会談が行われていて、自公の連立の在り方について協議しています。一つ、岩屋さんに伺いたいのは、自公の連立の在り方をどのように考えていらっしゃるかというのが一つと、もう一つは、首班指名する臨時国会の召集というのも当初の想定より少し後ろに遅れそうだというような見立てもある中で、政治空白がやや長引いている状況というのが外交に与える影響というのを、どのように考えていらっしゃるか、お伺いできればと思います。
【岩屋外務大臣】まず、連立の枠組みについては、党を中心に、今、議論が行われているところだと承知しておりますので、これに外務大臣の立場からコメントすることは控えたいと思います。
今おっしゃったように、とはいえ、外交日程は待ってはくれませんので、もう動かせない国際会議の日程も決まっておりますし、それに伴う、様々な会談についても調整をスタートしておりますので、できれば一日も早く、新しい政権の枠組みというものが決まって、そして、内政はもちろんですけれども、外交にも、遅滞なく対応できるような体制を作ることが、当然のことながら望ましいと思っております。
新政権が正式に発足するまでは、石破政権がその任を負うことになりますので、外務省としても、私(岩屋大臣)がこの任にある限り、予定されている今後の外交日程が円滑に、そして、有意義に実施されるように最大限の努力で万全の準備をしていきたいと考えております。