記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和7年9月30日(火曜日)16時10分 於:本省会見室)

(動画)岩屋外務大臣会見の様子

冒頭発言

【岩屋外務大臣】冒頭二つ御報告がございます。
 本日、大阪・関西万博の賓客として訪日中のアンティグア・バーブーダのグリーン外相との間で、また、スリランカのディサナヤケ大統領に同行して訪日中のヘーラット外相との間で、外相会談をそれぞれ行いました。

(1)日・アンティグア・バーブーダ外相会談

【岩屋外務大臣】まず、日・アンティグア・バーブーダ外相会談では、日本と価値や原則を共有する友好国である同国との間で、島嶼国の脆弱性克服や持続的発展に向けた協力や、二国間関係の強化、更には、地域・国際情勢について議論を行いました。その上で、法の支配に基づく、自由で開かれた、国際秩序の維持・強化のために、連携を強化していくことを確認したところです。

(2)日・スリランカ外相会談

【岩屋外務大臣】続いて、日・スリランカ外相会談では、今般決定したスリランカに対する初のOSA、政府安全保障能力強化支援、ですけれども、これによる無人航空機の供与を含めて、地域の安定と繁栄の実現に向けた連携について議論を行い、協力を確認いたしました。また、北朝鮮への対応を始めとする地域情勢や、国際場裏における連携についても、意見交換を行ったところです。さらに、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けて、「包括的パートナーシップ」の下に、幅広い分野でスリランカと連携していく考えである旨をお伝えしたところです。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは、以上です。

対イラン外交

【NHK 川村記者】国連のイランへの制裁についてお伺いします。国連のイランに対する制裁が再開されることとなり、イランが秘密裏に、核兵器開発を進める懸念もある中、これまで以上に、イランとの対話が重要となると思いますが、日本として、どのような姿勢で対話の機運を高めていくつもりか、大臣のお考えを伺います。

【岩屋外務大臣】イランの核問題は、今、重要な、重大な岐路にあると考えております。我が国は、あくまでも対話を通じたイラン核問題の解決が重要であると考えておりまして、このまま対話の機運が失われることがあってはならないと思います。
 9月23日には、ニューヨークにおいて、私(岩屋大臣)とアラグチ・イラン外務大臣の間で会談を行いましたが、その際にも、しっかりと、今、申し上げた対話を通じた問題解決が重要だと、まだ外交の余地は残っていると、ぜひこの対話を通じて問題解決を図ってほしいということを、強く要請したところです。引き続き、緊密に連携していきたいと考えております。
 やはり、ここは、外交の重要性ということをしっかり強調しなければいけないと思います。イランに対しては、今般再適用されることになった安保理決議を適切に履行するとともに、関連の保障措置協定上の義務に従って、IAEA、国際原子力機関との完全な協力を直ちに再開するように、引き続き、求めてまいります。
 中東地域の平和と安定並びに国際不拡散体制の維持は極めて重要です。我が国として、安保理の決定を然るべく履行するとともに、国際社会と引き続き連携しながら、必要な外交努力を続けていきたいと考えております。

沖縄における日米合同パトロール

【琉球新報 嘉数記者】沖縄での米軍の基地外パトロールについてお伺いします。パトロールで逮捕事案が発生した際に、日米地位協定で定められている「日本当局への連絡」が行われておらず、米軍に取材・確認したところ、「日本当局への連絡は不要」との見解を示しました。米側は、その根拠に、地位協定17条1-a、それから刑事裁判管轄権に関する合意事項の5aを示しましたが、これらに、「日本側への連絡は不要」とする理由は書かれていません。拡大解釈に当たると思われますが、大臣の見解をお願いします。また、米軍が基地外で、警察権を行使することについての所見をお願いします。

【岩屋外務大臣】沖縄市における「日米合同地域安全パトロール」は、これまでも地元の自治会や防犯協会が実施してきた防犯パトロールに、沖縄県警や米軍の関係者も加わるという形で実施されたものでありまして、啓発活動に重きを置いたものであると承知しています。
 米軍は、日本国の当局への連絡を始め、日米地位協定に定める条件に従って、在日米軍施設区域外において、軍事警察を使用することができるとされております。
 したがって、これまでの「日米合同地域安全パトロール」についても、日米地位協定と整合的な形で実施されるように、関係者で意思疎通を重ねた上で実施されたものと承知しております。
 ただ、我が国の法律に触れる事案と、米軍が定めたその「リバティ制度違反」という事案と、両方あると思います。そのときに、連絡を、我が国の法律に違反した事案については、当然連絡がきちんとされなければならないということだと思いますが、そのリバティ制度違反についてどうするかというところまで、しっかりとその調整というか、詰めがなされていなかった可能性もあるのかなと、私(岩屋大臣)は感じております。
 重要なことは、これまでに米側が発表した一連の再発防止策が、実際に事件・事故の再発防止につながるということであって、この「日米合同地域安全パトロール」を通じたものを含めて、引き続き、在日米軍の綱紀粛正と再発防止の徹底を働きかけてまいりますけれども、先ほど申し上げた点についても、しっかりと詰めを行う必要があると考えております。

台湾に関する日本の立場(麻生自民党最高顧問の発言)

【香港フェニックステレビ 李記者】台湾について御見解をお伺いしたいと思います。この前、先週、自民党の最高顧問、麻生太郎さんが台湾の方に対して、「台湾は国だ」と表明していました。来日した台湾の方々に対し、「台湾は日本と価値観を共有できる国だ」と発言がありました。この発言は、日本が台湾を国として認めていることでしょうか。台湾に関しての日本政府のスタンス、改めてお聞かせください。あと、麻生太郎最高顧問の発言について、大臣はどのように評価されるかも併せてお聞かせください。

【岩屋外務大臣】御指摘の麻生最高顧問の発言について、私(岩屋大臣)は承知しておりませんので、コメントは控えたいと思います。その上で、台湾に関する我が国の基本的な立場は、1972年の日中共同声明を踏まえて、非政府間の実務関係として維持していくというもので、この立場に一切の変更はございません。

石破政権と韓国外交

【朝日新聞 笹山記者】今日、石破総理、韓国に行かれていますけれども、石破政権の韓国外交の1年についてお伺いします。石破政権は、韓国ですごく受け入れられていますけれども、韓国で受け入れられる理由を何だとお考えですか、というのがまず一点と、日本が韓国と向き合う上で、何を大切にしてきたか。今、これだけ関係はいいんですけれども、歴史認識とか領土問題、再燃する課題、まだ残っています。今の日韓関係考えたときに、こういう問題が再燃したときに、対話が継続できる厚い氷の上に今立っているのか、もしくは薄氷の上に立っているなかなか難しい関係なのか、大臣の認識をお伺いします。

【岩屋外務大臣】石破政権が受け入れられたというのは、石破政権と韓国の新政権の間が、良好な状況にあるという意味でおっしゃっているのだと思いますが、日本と韓国は、お互いに国際社会の様々な課題に、パートナーとして協力すべき重要な隣国でありまして、現在の戦略環境の下では、日韓関係、日米韓の連携は、今まで以上に重要性を増している状況だと思います。石破政権としても、このような認識の下で、韓国政府と緊密に意思疎通をしてまいりました。
 6月の韓国の新政権発足以降も、7月に、まず、趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官が、訪日されました。続いて先月には、李在明(イ・ジェミョン)大統領が、就任後初の二国間訪問先として、日本を選んで訪問していただいたということです。
 そして、本日、「シャトル外交」の実践として石破総理が韓国の釜山を訪問していることで、非常に、今の日韓関係というのは、順調に、かなり厚い氷の上を、走っているのかなと、私(岩屋大臣)は受け止めております。
 私(岩屋大臣)も、日韓首脳会談のときは同席をさせていただきましたが、非常に打ち解けた感じの対話が交わされていたと感じておりまして、釜山においても、更に、より良い対話がなされるということに期待しているところです。
 両首脳は、先般の首脳会談の時に、1965年の国交正常化以来、これまで築かれてきた日韓関係の基盤に基づいて、日韓関係を未来志向で、安定的に、大きく発展させていくということで一致しております。
 確かに、隣国であるがゆえの難しい問題もありますけれども、それはそれとして、私(岩屋大臣)は、両国関係は、今、非常に良好な形で前に進んでいると考えでおりまして、難しい問題は丁寧に、やはり対話を交わしていくということが、これからも大事だと思っております。今後とも、日韓両国間で、しっかりと意思疎通を行っていきたいと考えているところです。

自民党総裁選

【朝日新聞 笹山記者】話題変わります、総裁選についてお伺いします。自民党総裁選、決選投票にもつれ込む公算が出てきています。これまで党員票で優位に立った方が、議員票で逆転されるというケースはありました。今回、そういうことが起きるような可能性があるんですけれども、こういうことになった場合、大臣として、どういうふうに評価されるか、お伺いしたいです。

【岩屋外務大臣】仮定のことですから、なかなかお答えしにくいですけれども、自民党の総裁選の仕組みというのは、これまで何度か改善をされてきて、私(岩屋大臣)は、今の形は、かなり党員の声も反映される形になっていると思います。1回目の投票は、国会議員票と、まさに同じような重みを党員票は持っているわけですから。しかし、過半数を得る候補者がいなかった場合には、議員と47都道府県の代表が入った2回目の決選投票が行われるということですので、そこは、ルールに従って、答えが出てくるということで、これをいいとも悪いとも評価するという考えは、特にございません。というか、そういう全体の仕組みから見ると、かつての制度に比べれば、遥かに党員の皆さん、より国民に近い党員の皆さんの声が反映される、今、仕組みになっているので、ルールに則って、粛々と次の総裁を選んでいくということではないかと思っています。

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