記者会見
岩屋外務大臣会見記録
(令和7年9月16日(火曜日)14時47分 於:本省会見室)
冒頭発言
(1)日・パプアニューギニア外相共同声明
【岩屋外務大臣】冒頭、二つ御報告がございます。
まず、日本とパプアニューギニア外相共同声明についてです。
本日9月16日に、我が国とパプアニューギニアが外交関係を樹立して50年を迎えます。この節目にあたりまして、トカチェンコ外務大臣との間で、本日、外相共同声明を発出いたします。
この共同声明では、本日、書簡の署名に至ったパプアニューギニア向けの初のOSA、政府安全保障能力強化支援を含め、協力関係を更に強化し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、緊密に連携していくことを確認しています。
地域情勢が一層厳しさを増す中、今後も我が国は、信頼できるパートナーとして、パプアニューギニアを始めとする太平洋島嶼国との関係強化に努めてまいります。
(2)JICAアフリカ・ホームタウン
【岩屋外務大臣】もう一つは、「JICAアフリカ・ホームタウン」の件についてです。
先般のTICAD 9で発表された「JICAアフリカ・ホームタウン」に関して、引き続き、SNSなどにおいて、これにより移民の受入れが促進されるのではないかといった誤った情報が拡散されております。
外務省としては、既に8月28日に、大臣政務官から会見を行っておりますけれども、これに加えて、公式ホームページやSNSを通じて、正確な情報の発信に努めております。しかし、今なお、誤った情報の拡散が続けられている事態を、強く懸念しております。このことが、関係自治体の負担にもつながっているという状況を重く受け止めているところです。
この事業は、元々、要は国際交流をより強化するという趣旨の事業ですけれども、今後の在り方については、今、関係自治体とも相談しながら、検討を進めているところです。また、外務省としては、引き続き、正確な情報の発信に努めてまいります。
したがいまして、国民の皆様におかれましても、どうか冷静に、正しい情報を見極めていただくよう、改めてお願いを申し上げる次第です。
冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。
パレスチナ国家承認の検討状況
【パン・オリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
パレスチナ問題についてお伺いします。日本メディアの報道によれば、米国は、日本に対し、パレスチナの国家承認を見送るよう要請し、仮にパレスチナを承認すれば、日米関係に影響を及ぼす恐れがあると脅したとのことです。報道されているこの脅迫について、お考えを伺います。
【岩屋外務大臣】毎回申し上げておりますが、我が国としては、パレスチナ国家承認の問題をめぐる現在の国際的な議論について、重大な関心を持って、その動向を注視しているところです。米国とは、日頃から緊密にやり取りしておりますが、詳細については、外交上のやり取りでありますことから、お答えは差し控えさせていただきます。
我が国として、このイスラエル・パレスチナ問題の「二国家解決」を一貫して支持しているという立場は変わりません。したがって、先日の会見においても、いずれは国家承認をいたしますけれども、あとは、いつするかという問題であるというふうに、私(岩屋大臣)から申し述べたところです。その上で、最も大事なことは、その和平をまず実現するということですので、和平の進展を後押しする観点から、何が最も適切で効果的かと、実効的かということを、今、真剣に検討しているところです。パレスチナの国家承認については、引き続いて、その適切な時期・在り方を含めて、政府として、総合的な検討を継続しているところです。
【時事通信 千葉記者】今の関連でお伺いしたいんですけれども、米国は、フランスなどの承認表明について批判的な立場を示していると思いますが、イスラエルの後ろ盾となっている米国との関係について、どの程度考慮した上で、日本政府の承認ということを判断すべきかというところについて教えていただけますか。
【岩屋外務大臣】米国との関係を考慮するというと、ちょっと語弊があると思います。そういう考え方ではなくて、イスラエルに対して強い影響力を行使できる立場にある米国と、密接に意思の疎通を図るということは非常に重要なことだと思います。
今、イスラエルが行おうとしているガザ地区の全地区の占領でありますとか、西岸への入植でありますとか、我が国は、これを強く非難をいたしております。
しかし、これを止めなければいけないわけです。そのためには、やはり米国ともしっかり意思疎通していかなければいけない。イスラエル側にもしっかり物を言わなくてはいけない。あるいはパレスチナに対しても、PAに対してもしっかり物を言わなくてはいけないという意味で、米国との意思の疎通が必要だと申し上げているところです。
JICAアフリカ・ホームタウン
【共同通信 鰍澤記者】冒頭、大臣からも御紹介あったホームタウンの話なんですけれども、3点お伺いしたいと思うんですが、一部報道には、ホームタウンの名称の変更ということもありましたが、変更されるのか事実関係についてお伺いしたいのと、また、自治体からは、名称変更や事業そのものに対して何か要請があったのかということと、省内には、今回の件に関して、どのように注意喚起をされたのかをお伺いします。
【岩屋外務大臣】本事業に関しては、自治体の一部から、全部ではなくて一部から名称変更の要望が出ていることは承知しております。
冒頭に申し上げたとおり、本事業の今後の在り方については、できるだけ速やかに結論を得るべきだと考えておりまして、今、自治体側とも相談して、検討を進めているところです。
外務省としては、やはり最初の発端は、ナイジェリア側の政府側の発表に誤りがあったということで、そこは先方もお認めになって謝罪もいただいておりますが、やはり、意思の疎通をもう少し、しっかりしておく必要があったと、私(岩屋大臣)は感じておりまして、そのことは、しっかり指示をいたしております。
それから、実際に現場の自治体に、御迷惑がかかっていることも事実ですから、これはもう誠心誠意、対応しなければいけないということを指示しているところです。
石破総理の訪韓に関する報道
【朝日新聞 笹山記者】石破総理が月末に韓国を訪れるという報道がありますが、この事実関係をお願いします。事実だとすれば、退任直前に韓国を訪れるわけですけれども、これの意義についてもお伺いします。
【岩屋外務大臣】報道で、いろいろ出ていることは承知しております。日韓間では、首脳間の「シャトル外交」の活用を含めて、外相間もそうですけれども、両政府間で、ハイレベルで緊密に意思疎通を続けていくことで一致しております。
その上で、お尋ねの総理訪韓の具体的な日程などについてはまだ決まっておりません。
その上で申し上げますと、6月の韓国新政権の発足以降、7月に、まず、趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官がお越しになりました。私(岩屋大臣)と外相会談を行いました。また先月には、李在明(イ・ジェミョン)大統領が、就任後初の二国間訪問先として、日本を訪問されました。このように、日韓間は、今、緊密な意思疎通が行われていて、大変良好な基調が維持されていると思います。これは大切にしなければいけないと思っております。
先般の首脳会談の際にも、1965年の国交正常化以来、これまで築かれてきた日韓関係の基盤に基づいて、日韓関係を未来志向で安定的に大きく発展させていこうということで、一致を見ております。
したがって、「シャトル外交」が行われるというのは、私(岩屋大臣)は大変有意義なことだと思っております。日韓関係、そして、日米韓の連携は、これまで以上に、重要性を増していると思いますので、日韓の両政府間で、しっかり意思疎通が行われていくことが重要だと考えているところです。