記者会見
岩屋外務大臣会見記録
(令和7年8月29日(金曜日)16時00分 於:本省会見室)
冒頭発言
【岩屋外務大臣】外務省のオフィス改装に伴いまして、今日からしばらくの間、この臨時会見室で記者会見を行いますので、よろしくお願い申し上げます。
また、この機会に、新しいバックパネルを導入しました。デザインはそう悪くはないとは思います。お見知りおきをいただきたいと思います。
(1) クウェート訪問
【岩屋外務大臣】冒頭、私(岩屋大臣)から、三つ御報告がございます。
一つは、クウェート訪問についてです。
8月31日から9月3日まで、私(岩屋大臣)は、クウェートを訪問いたします。
クウェートでは、湾岸6か国によって構成される湾岸協力理事会、いわゆるGCCとの間で開催される第2回日・GCC外相会合に出席いたします。また、この機会に、本年のJCC議長国を務めるクウェートを始め、GCC各国との間で外相会談を実施していきたいと考えております。
これらの機会を通じまして、日GCC・EPAを始めとする日・GCC間の協力や、エネルギー分野などにおけるGCC各国との協力、さらには中東情勢を含む地域国際情勢について議論を行ってまいります。
(2) 日・セルビア外相会談
【岩屋外務大臣】次に、セルビアとの外相会談についてです。
本日、セルビアのジューリッチ外相と外相会談を、先刻実施いたしました。西バルカン地域の要であるセルビアとの間で、経済を含む幅広い分野で二国間関係を一層発展させていくことで一致を見たところです。
(3) 日豪「2+2」
【岩屋外務大臣】そして最後に、日豪「2+2」についてです。
9月5日に、東京におきまして、第12回目となる日豪外務・防衛閣僚協議、いわゆる「2+2」を開催する予定です。日本側からは、私(岩屋大臣)と中谷防衛大臣、豪州側からは、ウォン外務大臣とマールズ副首相兼国防大臣が出席する予定です。
豪州との連携は、同志国連携の中核でもあります。今回の「2+2」では、「特別な戦略的パートナー」である豪州との間で、安全保障協力の更なる強化に向けた議論を行う予定です。また、ウォン大臣との間で外相会談を行い、二国間関係や地域情勢・国際情勢についても議論を行いたいと思っております。
冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。
岩屋大臣のクウェート訪問
【共同通信 鮎川記者】冒頭、御紹介のあったクウェートの御出張について伺います。今回中東に行かれるということで、訪問先がクウェートの1か国になったという理由を少し詳しく伺えますでしょうか。今、中東情勢では、まず、ガザ情勢というのが非常に焦点となっていまして、またもう一つ、イラン核問題というものも大きな焦点となっています。特に、英仏独が、昨日、イランに対する国連の制裁を復活させる手続ききを始めたと。こういった中で、ガザ情勢でイスラエルとの関係というのも、日本、あると思いますし、また、イランの外相とも電話会談というのを、これまで重ねていらっしゃると思うんですが、このイスラエル、イランというところへ、今回は訪問されないというような、その事情もあれば伺えればと思います。
【岩屋外務大臣】事情はありません。当然ですね、イランの情勢、極めて注視を私どもはしております。このGCC各国の中には、その仲介をしっかりしてくれている国もありますので、第2回目のGCC外相会合においては、このイラン、イスラエル、をめぐる問題、あるいはガザの問題等々を、しっかりと地域情勢について議論してきたいと思っております。
また、イランやイスラエルとのコンタクトを取り続けておりますので、この問題の解決に向けて、我が国としてできる役割をしっかり果たしていきたいと、状況によって必要に応じて、私(岩屋大臣)も現地にまいる考えはあります。
また、このGCC各国は、ますますこういった問題で重要な役割を果たすようになってきておりますので、このガザ情勢やイラン核問題を始め、地域の主要課題について、これら各国と協議を行うことは極めて重要だと考えております。
この機会に連携をしっかり強化してきたいと思っているところです。
中国での抗日戦争勝利80年記念軍事パレード(中朝露の接近)
【日経新聞 馬場記者】北朝鮮の外交についてお伺いします。金正恩(キム・ジョンウン)氏が、中国で9月3日に開かれる抗日戦争勝利80年の記念式典の記念行事に出席するとの発表がありました。金正恩氏にとって6年ぶりの訪中で、中露朝の首脳が一堂に会するのは異例のことです。金正恩氏が中露を始め、外交活動を活発化させる現状を、どのように受け止められているかお伺いします。
【岩屋外務大臣】中国、ロシア、北朝鮮、これらをめぐる情勢については、平素から重大な関心をもって情報収集・分析に努めてきております。我が国としては、その一つ一つについてコメントすることは差し控えたいと思います。
また、ロシアによるウクライナ侵略は、インド太平洋を含む世界全体の安全保障に関わる問題です。その上で、露朝軍事協力の進展は、ウクライナ情勢の更なる悪化を招くのみならず、我が国を取り巻く地域の安全保障に与える影響の観点からも、深刻に憂慮すべき問題であります。
我が国と中国との間では、ウクライナ情勢に関しても、私(岩屋大臣)と王毅(おう・き)外相との会談を含め、これまでもやり取りを行ってきております。引き続き、中国側に対し、責任ある対応を求めていきたいと思います。
この間の外交努力を通じて、日中関係、まだまだたくさんの懸案がありますけれども、徐々に前進はできてきていると思いますので、そういう大きなトレンドというものを大切にしていただきたいと考えているところです。
中国での抗日戦争勝利80年記念軍事パレードをアピールする動き
【読売新聞 植村記者】今、質問にあった9月3日の軍事パレードの関連でお伺いします。今回の軍事パレードなど、中国政府が「抗日戦争勝利80年」を記念の年として、大々的にアピールをすることで、今後、反日感情が高まることが懸念されています。行事に参加する予定のインドネシアのブラボウォ大統領など、日本と良好な関係にある各国要人らの、日本に対する歴史認識にも影響を与えることが懸念されます。こうした中国側の動きに関して、日本政府は、どのような外交政策を展開していきたいと考えていますでしょうか。対抗して、各国への働きかけを強めていったりするのか、そのあたりお考えがあればお伺いします。よろしくお願いします。
【岩屋外務大臣】中国側が主催をする式典への出席者については、第三国間の話でありますので、そこに直接コメントすることは差し控えたいと思います。
その上で、我が国は、言うまでもなく、決して戦争の惨禍を繰り返さないという決意の下に、この戦後80年間、自由で、民主的で人権や法の支配を尊ぶ平和国家を創り上げるよう、戦後一貫して、平和国家としての道を歩んでまいりましたし、それはそれぞれの国との外交関係を通じて、十分に理解していただいていると考えております。
また、この立場については、中国側に対しても、累次強調してきておりますほかに、様々な機会を通じて、国際社会にも発信を続けてきております。そういった国際社会全体での理解は、十分に得られていると考えているところです。
ガザ情勢(国連による「飢饉」の発表)
【TBS 大﨑記者】ガザ情勢についてお伺いします。国連は22日、イスラエル軍が侵攻を続けるパレスチナ自治区ガザについて、正式に「飢饉」に陥ったと発表しました。これを受けて、国連の安全保障理事国のうち、米国を除く14か国が、この飢饉は人災だと非難する共同声明を出すなど、国際的にも懸念の声が広がっております。日本政府は、この件に関してどのような立場をとるのか、今後の対応について受け止めと併せてよろしくお願いいたします。
【岩屋外務大臣】御指摘のように、国連が、8月22日、ガザ市及びその周辺で、食糧不足の程度としては最も深刻な「飢饉」が発生していると発表したと承知しております。
このガザにおける壊滅的な人道状況の改善は急務であります。我が国として、イスラエルに対して、このような深刻な人道危機を終了させるための実質的な措置を講じることを強く求めているところです。また、国際法の遵守を改めて強く求めたいと思います。
こうした中で、我が国は、8月20日、ガザを含むパレスチナに対する国連世界食糧計画・WFPを通じた食糧援助といたしまして、5億円の無償資金協力に関する書簡の署名・交換をしたところです。
引き続き、関係国・機関とも緊密に連携しながら、イスラエルを含む全ての当事者に対して、一刻も早い停戦の実現や、人道アクセスの確保に向けて、誠実に行動することを強く求めてまいります。引き続き、外交努力を継続してまいります。
日豪「2+2」
【時事通信 千葉記者】冒頭の日豪2+2に関してなんですけれども、今、オーストラリアでは、次期フリゲート艦計画であるとか、あと報道で第三国有事の際の自国民退避についての覚書であるとかお話が出ていると思うんですけれども、改めて今、日豪で「2+2」を行う意義について教えてください。
【岩屋外務大臣】冒頭に申し上げましたとおり、今回の「2+2」では、来年の日豪友好協力基本条約署名50周年を見据えまして、日豪の安全保障、防衛協力の更なる強化について議論する予定です。加えて、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、地域全体の戦略環境についても議論をしたいと考えています。
今回の「2+2」は、昨年9月に実施された前回からちょうど1年後のタイミングでの開催となります。過去1年間の協力の進展を土台として、様々な分野における日豪間の連携を更に強化していきたいと考えております。防衛装備をめぐる進展もあったところですので、日豪間の「特別な戦略的パートナーシップ」を更に強化していく、そのための「2+2」にしていきたいと考えています。
米国による対インド関税措置の影響
【Asian News International 板垣記者】本日、日印の首脳会談及び記者会見等予定されているんですけれども、そんな中で改めて、日印の関係について御意見をお聞きしたいと思います。日本の民間企業、大中小を含めて、あるいは地方自治体さんも、特に山梨県さんとか徳島県さんとか非常に積極的にインドに向けて展開され、成果を上げられております。そういったポジティブな面もあるんですが、もう一方で、「トランプ関税vs. モディさん」みたいなところで、非常に交渉が進んでいるのか進んでいないのか、非常に微妙な状況です。このような状態が長く続きますと、当然インド経済にも、しわ寄せがまいりますし、そうした中で、このような状況が長く続きますと、QUADあるいは自由で開かれた経済圏構想、日本・インド・アフリカ、こういったようなところへの影響も出てくるのではないかと思われますが、その点についての日本政府としての展望は、どのようにお考えになっているのかお聞かせいただけますでしょうか。
【岩屋外務大臣】御指摘あったように、インドはQUADの重要メンバーですし、今や人口は世界第1位になって、経済も益々発展していくという国ですから、日印の関係を更に今回の首脳会談を通じて前進させるということにしていきたいと考えております。
そういった中で、今、御指摘がありました米国の関税措置をめぐる関連の動向については、我が国も当然高い関心を持って注視しているところです。その影響を十分に精査しながら、適切に対応していきたいと考えております。
インド政府とのやり取りについては、外交上のやり取りですから、詳細について述べることは控えたいと思いますが、様々な分野について、様々なレベルで対話をしっかり行っていると御理解をいただければありがたいと思っております。私(岩屋大臣)も、今日の首脳会談には同席させていただきます。会談の中身について予断することは控えたいと思いますが、首脳会談においても、様々な課題が議論されるのではないかと思っているところです。
米朝首脳会談への日本の対応
【読売新聞 植村記者】北朝鮮情勢、北朝鮮政策に関して伺います。先日の米韓首脳会談で、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領がトランプ大統領に対して、北朝鮮の金正恩氏との対面での対話をしてほしいと呼びかけ、トランプ氏は、今年中の会談実現に意欲を示しました。先立つ日韓首脳会談でも、北朝鮮対応について話し合われたかと思いますが、日本政府としても、米朝首脳会談の実現を後押ししていくのか、それとも、これまで掲げていた日朝の首脳間の話合いを、引き続き呼びかけていくという方針なのか、今後の北朝鮮への対応の方針を伺います。
【岩屋外務大臣】どっちが優先かということではないと思います。いずれにしても、我が国が、北朝鮮との間で抱えている核、ミサイル、拉致の問題の解決につながる最善の道を探っていかなければいけないと思っております。その上で、米朝間の対応については、これを予断を持ってコメントすることは控えたいと思いますが、当然、拉致問題、あるいは、核・ミサイル問題の解決に向けては、米国、そして韓国を始めとする国際社会との協力は不可欠ですので、政府としては、今後とも、米国、そして韓国との間で緊密に連携していきたいと、意思疎通を図っていきたいと考えております。
また、石破総理は、日朝間の諸懸案の解決に向けては、首脳同士で率直に話し合い、正面から向き合わなければならないということを一貫して述べておられます。
こうした総理の思いに関しても、北朝鮮側に対して、様々なルートで伝えてきている、働きかけを行ってきているところです。
引き続いて、この拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けて、何が最も効果的かという観点から不断に検討を行い、対応していきたいと考えております。
自民党総裁選
【共同通信 鮎川記者】外交上の方ではなく、政務の関係でお伺いしたいんですが、自民党の中の動きについて、外遊中に岩屋さんに同様の質問をさせていただいたのですが、再度伺わせていただきたく思います。臨時の総裁選の前倒しに関して、前倒しに賛成する、実施を求める場合には、党所属の国会議員と都道府県連の対象は記名の回答をしてそれを公表するやり方になったと。これに対して党の中で、なんていうんですかね、これは政局だというような、何か批判する反対するような声がある一方で、政務三役などが記名するというか、賛成する場合には職を辞するべきではないかと、そういったような意見ももろもろ出ているんですけれども、大臣の受け止め、お考えを伺えればと思います。
【岩屋外務大臣】まず、政務に関する御質問ですから、大臣の立場を離れてお答えしたいと思いますけれども、一つは党則に基づいて、様々な議論が行われて、結論が出されることが一番大事なことなのだと思います。現在、党則に基づいて、総裁選選挙管理委員会ですか、そこで協議して、定まったルールに基づいて手続が進んでいると認識しておりますので、それが政局だどうだという指摘は当たらないと考えております。
それから、いやしくも政府で仕事をしている以上は、石破総理指揮の下に与えられた任務使命をしっかりと果たしていくことが最大の責任であろうと思います。そうでない判断をするというのであれば、しかるべく行動がなされて、それが当然のことではないかと思います。