記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和7年6月13日(金曜日)13時41分 於:本省会見室)

(動画)岩屋外務大臣会見の様子

冒頭発言

(1) イスラエルによるイランに対する攻撃

【岩屋外務大臣】冒頭、私(岩屋大臣)から2点申し上げます。
 まず、イスラエルによるイランに対する攻撃についてです。
 現地時間の6月13日(日本時間同日)イスラエルが、イランの核関連施設などに対して攻撃を行いました。
 米・イラン間の協議を始め、イランの核問題の平和的解決に向けた外交努力が継続している中、軍事的手段が用いられたことは極めて遺憾です。我が国としては、事態をエスカレートする今回の行動を強く非難いたします。
 中東地域の平和と安定は、我が国にとっても極めて重要であり、我が国は、全ての関係者に対して、最大限の自制を求めるとともに、事態の沈静化を強く求めます。
 政府として、在留邦人の保護に万全を期すとともに、事態の更なる悪化を防ぐべく、引き続き必要なあらゆる外交努力を行ってまいります。

(2) インド航空機事故

【岩屋外務大臣】次に、航空機の墜落事故についてでございます。
 昨12日、インドのグジャラート州アーメダバードにおいて、エア・インディアの旅客機が墜落し、乗員乗客242名のうち、241名が亡くなるなど、多数の死傷者が発生したと承知しています。
 今回の事故により犠牲になられた方々及びそのご遺族に対し、心から哀悼の意を表します。また、負傷された方々の1日も早い御快復をお祈りいたします。
 今回の事故を受けまして、石破総理大臣からモディ印首相に対して、また、私(岩屋大臣)からジャイシャンカル印外相に対しまして、それぞれお悔やみのメッセージを発出いたしました。
 また、今回の事故で犠牲となった方がおられるインド以外の国の首脳及び外相に対しましても、同様に、お悔やみのメッセージを発出したところです。
 墜落した旅客機に邦人の搭乗者はおらず、現時点において、邦人被害の情報には接しておりませんけれども、引き続き、邦人保護に万全を期してまいります。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

イスラエルによるイランに対する攻撃

【朝日新聞 加藤記者】冒頭の中東情勢についてお伺いします。先ほどもありましたけれども、米・イラン間の核協議が行われてきた中での攻撃であって、岩屋大臣も、先日、アラグチ外相と電話協議をするなど、合意を後押しされてきた中だったかと思います。そうした中での攻撃だったことについての受け止めを改めてと、あと、邦人の安全の現状と保護の方針についてお伺いします。

【岩屋外務大臣】今般の事案とそれに対する我が国の考え方は、先刻申し上げたとおりでございます。中東地域の平和と安定は、我が国にとっても極めて重要であり、我が国は、全ての関係者に対して、最大限の自制を求めてまいります。また、事態の沈静化を強く求めてまいりたいと思います。
 政府として、引き続いて在留邦人の保護に万全を期してまいります。事態の更なる悪化を防ぐためには、引き続きあらゆる外交努力を行っていきたいと考えているところでございます。

【読売新聞 上村記者】中東情勢の関連でお伺いします。邦人保護にも関連するのですけれども、米国政府は、攻撃が始まる少し前から、大使館員を周辺国を含めて退避させ始めたという報道がありました。日本の大使館員の状況は、今いかがでしょうか。
 それと、先ほど「あらゆる外交努力を尽くしていく」ということでしたけれども、今後、イラン、イスラエル双方との外務大臣との電話会談などの予定がありましたらお聞かせください。

【岩屋外務大臣】まず、大使館の状況でございます。
 今の中東情勢を受けまして、イランの在留邦人の安否確認を行うとともに、注意喚起を行っております。この段階で、先ほども申し上げたとおり、邦人被害の情報には接しておりません。
 現地の大使館としては、引き続き現地情勢を注視しつつ、更なる注意喚起を含めた対応について検討していくこととしております。
 それから、イスラエルの方も非常事態宣言が発せられておりますが、大使館は機能をしております。ここにおいても、邦人保護に万全を期してまいりたいと考えております。
 外交的な働き掛けは、あらゆるレベルでやっていきたいと考えておりまして、事態のエスカレートを是非防いでいかなければいけないと、一日も早い沈静化ということが大事だと思っておりまして、これは双方に働きかけていきたいと思っております。

G7サミット

【共同通信 阪口記者】話題が変わります。G7サミットについて伺います。総理は、G7サミットに出席されることを発表されましたけれども、改めてですけれども、日本がアジアで唯一のG7メンバー国として参加することの意義と、今後どのような点を強調していきたいか、その考えを伺います。
 併せて、米、韓国、ウクライナといった首脳会談というのも調整中だと思いますけれども、それぞれの首脳と、どのような対話をしたい考えかもお尋ねします。

【岩屋外務大臣】石破総理は、6月15日~18日まで、カナダのカナナスキスにおいて開催されるG7サミットに出席するため、カナダを訪問する予定でございます。
 国際社会が様々な課題に直面しています。また、中東で先ほど申し上げたように新たな事態も発生をいたしました。こういう中にあって、G7の結束は極めて重要だと思います。G7は発足から50周年を迎えるわけでありますけれども、G7が果たす役割について、首脳間で率直に議論が行われるものと思っております。ウクライナもあり、ガザもあり、また新たな中東情勢があり、G7が連携して国際社会の諸課題への対応を主導していく姿勢を示していくということが求められていると思います。こうした様々な課題について、日本の立場と取組を国際社会に積極的に発信する機会になっていくものと思っております。
 それから、今回のサミットの機会における各国との首脳会談、バイの会談については、現時点では何ら決まったものはありませんけれども、今、様々調整を行っているところでございます。

シリアに対する制裁

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
 (以下は英語にて発言)
 パン・オリエント・ニュースのアズハリ・カルドンです。
 シリアについてお伺いします、中東もです。
 日本を除く全てのG7諸国は、シリアに対する制裁解除や、ダマスカスの大使館再開に向け明確な措置を講じています。日本は、特にエネルギー分野でシリアと強い結びつきがあったにも関わらず、制裁解除に向け一部の措置しか講じていません。また、外務省はシリアに対しレベル4の危険情報を継続し、すべての日本人に同国から即刻退避するよう勧告しています。
 このような、シリアに対する制裁解除の遅れや、厳格な危険情報にはどのような背景があるのかお伺いします。

【岩屋外務大臣】我が国は、これまでシリアの暫定政権が、包摂的な政治的解決と国民和解に向けた対話に取り組んできたことを評価しております。また、今後も平和的かつ安定した移行に向けて取り組んでいく姿勢を見せているということについても評価をしておりまして、したがって、先般、国際社会とも歩調を合わせる形でシリアに対して科してきた資産凍結等の措置の一部を解除することを決定したところでございます。
 それから、危険情報についてですけれども、これは邦人の安全確保の観点から、治安情勢を始めとした政治・社会情勢などを総合的に勘案した上で発出しております。シリアについても、引き続き全体の状況を踏まえながら、適切に判断していきたいと考えております。当然、事態が徐々に改善されていくということを期待しております。
 暫定政権関係者とは、これまで我が国は、様々なレベルで接触をしてきております。そして、その中で平和的で安定した移行が重要だという我が国の考え方も伝達してきているところでございます。
 日本としては、シリアの暫定政権が、国際社会と協調して、平和で安定した移行を実現することを一層期待をしたいと思っているところでございます。

中国軍機による自衛隊機への接近事案

【共同通信 阪口記者】また話題が変わります。中国軍機の自衛隊機への接近についてお尋ねします。太平洋で活動していました中国海軍の空母「山東」から発艦した戦闘機が海上自衛隊機に接近しました。空母「遼寧」も、7日~8日にかけて、南鳥島の南西海域で航行して「第2列島線」を中国空母として初めて超えました。防衛省が、中国空母2隻による太平洋での同時活動を確認したのも初めてとなっています。日中関係が改善の兆しを見せている中で、今回のような事態が、日中関係にどのような影響を与えると考えているのか、それをまずお尋ねします。
 併せて、政府は今回、海空メカニズムを使ったかどうかということについては明らかにされていないと思いますけれども、同メカニズムが機能している言えるのかどうか、両国の不測の事態を防ぐために、どのように意思疎通をしていくのか、意思疎通が十分できているのかお尋ねします。

【岩屋外務大臣】今月7日及び8日に、太平洋上の公海上空において、警戒監視を行っていた海上自衛隊の哨戒機を、中国軍の空母「山東」に艦載された戦闘機が追従する、追いかけるという事案が発生をいたしました。
 この中国軍の戦闘機は、我が国の哨戒機に対して高度差がない状態で水平距離約45mまで近づいて飛行する、非常に危険な飛行でありますけれども、こういった飛行を行うとともに、8日には、哨戒機の進路前方約900mを高度差がない状態で横切ったと、これも極めて危険な飛行だと思います。
 このような中国軍機による特異な接近は、偶発的な衝突を誘発する可能性があることから、政府としては、船越外務事務次官から呉江浩(ご・こうこう)在京駐中国大使を始め、中国側に対して、深刻な懸念を表明し、再発防止を厳重に申し入れたところでございます。
 我が国の哨戒機は、空母「山東」と安全な距離を取って警戒監視を実施しており、今般の事案について、日本側に原因があるかのような中国側の発言は全く受入れられません。このような我が国の立場は、中国側にも然るべく申し入れているところでございます。
 政府としては、中国側と引き続き様々なレベルで意思疎通を行っていくとともに、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜くために、今後とも、我が国周辺海空域における警戒監視活動に万全を期していきたいと考えております。
 それから、お尋ねの海空連絡メカニズムそのものについては申し上げることは控えたいと思いますが、今回の事案を含めて、日中間で不測の事態が起こるということは、誰の利益にもならない、お互いの利益にならないということだと思います。したがって、不測の事態を回避するために、各種の対話を通じて、あるいはルート、ラインを通じて、率直な意思疎通を行うことが極めて重要だと、そして相互理解を深め、信頼を醸成することが重要だと考えております。
 こういった考え方は、先般、私(大臣)から王毅(おう・き)外交部長に対しても申し上げているところでございます。
 ホットラインの具体的な運用については防衛省にお尋ねいただきたいと思っておりますが、中国側とは、主張すべきはしっかりと主張し、中国の責任ある行動を求めつつ、戦略的互恵関係を包括的に進めていく、こういう大きな方針のもとに、今後とも、しっかり対話を重ねてまいりたいと考えております。

イスラエルによるイランに対する攻撃

【日本テレビ 鈴木記者】また、イランとイスラエルに戻りまして、念のため確認させていただきたいのですが、先ほど、邦人保護のところで、大臣が「事態を注視して対応を検討していく」とおっしゃっていたかと思うのですが、自衛隊機による邦人退避というのは、今、検討に入っているのか、視野に入っているのかといったあたりをお聞かせいただければと思います。

【岩屋外務大臣】邦人保護、邦人の安全確保のためには、あらゆる手段を取っていかなければいけないと考えておりますが、現段階ではまだ何を、いつ、どのように行うということについて申し上げることはございませんけれども、今申し上げたように邦人の安全確保のためには、あらゆる手段を講じていきたいと考えております。

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