記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和7年6月3日(火曜日)15時56分 於:本省会見室)

(動画)岩屋外務大臣会見の様子

冒頭発言

日・ノルウェー外相会談

【岩屋外務大臣】冒頭、私(岩屋大臣)から一つ御報告がございます。
 昨日、6月2日から本日まで、大阪・関西万博ナショナルデーの機会にノルウェーのアイデ外相が訪日中です。この後、アイデ外相と会談を行う予定です。
 日本とノルウェーは、本年、外交関係樹立120周年を迎えております。長年の友好協力に基づきまして、アイデ外相との間で、国際情勢について意見交換を行うとともに、安全保障、経済、人的交流といった様々な分野における協力の強化を確認したいと思っております。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

韓国大統領選挙

【共同通信 阪口記者】韓国大統領選について伺います。韓国大統領選、本日、投開票されて、本日の深夜から明日の未明にかけて大勢が判明する見通しです。尹(ユン)政権の下で改善した日韓関係の行方に注目が集まっております。尹政権の混乱の中でも、岩屋さん、訪韓されて、趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長と、ずっとコミュニケーション取られて、改善の維持に腐心されてきた経緯があると思いますけれども、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮や中国に対峙するために、東アジア情勢、今後、どのように新政権と日韓関係を構築していくかお尋ねします。

【岩屋外務大臣】御指摘のように、本日、韓国大統領選が投開票されまして、深夜から明日の未明にかけて、大勢が判明する見通しだと承知しております。注目しておきたいと思います。
 日韓関係についてですが、これまでも述べてまいりましたとおり、日本と韓国は、お互いに、国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国でございます。また、今もお話にあったように、現下の、国際情勢、安全保障環境を考えたときに、日韓関係、さらには日米韓の協力の重要性は、いささかも変わらないと考えております。
 こうした基本的な認識の下に、日韓関係の安定的な発展に向けて、引き続いて、韓国側との間でしっかりと意思疎通していきたいと考えております。

長嶋茂雄氏の逝去

【読売新聞 上村記者】長嶋茂雄さんについてお伺いします。巨人軍の長嶋茂雄終身名誉監督が亡くなりました。五輪で日本代表監督を務めるなど、国際的な活躍もあった方ですけれども、スポーツ外交への貢献を含めて、受け止めをお聞かせください。

【岩屋外務大臣】「ミスター・プロ野球」というふうにも称されておられましたが、国民の皆さんから、非常に愛された長嶋茂雄さんの訃報に接しまして、心よりお悔やみを申し上げたいと思います。
 個人的にも、非常に残念に感じております。我々の世代、子供の頃は、いつもテレビで長嶋さん、王さん、ずっと見ておりました。ONアベック砲で、ホームランなんか打つと、子供心にも、私(岩屋大臣)も少年野球をやってましたし、小躍りして、喜んでいたときのことを、今、思い出しております。
 長嶋さんは、プロ野球界での輝かしい御活躍に加えまして、今、御指摘があったように、野球の日本代表を監督として率いて、2004年のアテネオリンピック出場に導かれました。また、日本オリンピック委員会エグゼクティブ・アドバイザーとして、日本スポーツ界の海外での発展においても御貢献をいただいてきたわけでございます。
 そして、海外においても、野球選手の育成に携わって、2012年にはキューバから「友好叙勲」を授与されるなど、その貢献は国際社会においても高く評価をされています。野球、スポーツを通じた世界各国との良好な関係構築でも、多大な功績を残していただきました。また、2021年の、先般の東京オリンピック競技大会の開会式では、聖火ランナーを務めていただきました。国民の皆さん、世界の皆さんに、大きな感動を与えていただきました。
 長嶋茂雄さんのスポーツを通じた長年にわたる多大な御功績に、心より敬意を表しますとともに、改めて追悼の意を表し、御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。

ヘグセス米国防長官の発言

【朝日新聞 加藤記者】シャングリラ安全保障会合でのヘグセス国防長官の発言についてお伺いします。31日、ヘグセス氏は、演説で、第二次トランプ政権となってから初めて、まとまった形でインド太平洋地域の安全保障構想を示し、同地域を「優先的な戦域」と位置づけました。一方で、アジアの同盟国に対しては、防衛費の増額を求める趣旨の発言もありました。各国の防衛大臣が集まった会合ではありますが、一連のヘグセス氏の発言の受け止めと日本の安全保障政策への影響があれば教えてください。

【岩屋外務大臣】御指摘のシャングリラ会合におけるヘグセス長官のスピーチに関して、その内容の一つ一つに対してコメントすることは控えたいと思います。ただ、全般の印象として、米国のインド太平洋地域へのコミットメントを示すという観点からのお話だったと思いますので、そのことについては、我が国として、前向きに捉えているところでございます。
 その上で、防衛費の話が出ましたが、大事なのは金額や割合ではなくて、防衛力の中身です。そして、以前から申し上げておりますように、我が国は国家安全保障戦略に基づいて、防衛力の抜本的強化を着実に、主体的に進めてまいります。
 我が国としても、この厳しい安全保障環境の中で、抑止力・対処力を強化するための取組を不断に検討し、これからも進めて行きたいと考えております。
 また、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化を図るためには、今後とも米国とも緊密に意思疎通していきたいと考えております。

ウクライナ債権の返済延期

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】ウクライナ関連で質問します。ウクライナ財務省は5月30日の声明で、国際債権者への債務6億6,500万ドルの支払いを延期すると発表しました。ウクライナの債務不履行デフォルトにおいては、日本がその損失の一部を負担する可能性があると言われていますが、この度のデフォルトについて、日本が肩代わりすることになるのでしょうか。また、日本は、自国民の生活苦を尻目に、敗色が濃厚となった段階でも、ウクライナ支援金として国民の血税を投じ続けてきましたが、総計約120億ドル、約1兆8,000億円にも上る金額をウクライナに投じる必要性が本当にあったのでしょうか。岸田政権と石破政権は、状況を見通せなかった責任を厳しく問われると考えます。戦争は正邪だけでなく、勝敗で決まるものであり、リアリズムを踏まえない甘い外交の責任をどう捉えるのか御教示ください。

【岩屋外務大臣】今般、今、御指摘がありましたように、ウクライナ財務省は、同国が発行した債券の保有者に対する債務約6億6,500万ドルの返済を延期するという発表を行ったと承知しております。
 日本政府は、かかる債権を保有しておりませんが、引き続き、ウクライナの財政状況や本件の動向については、注視していきたいと思っております。
 その上で、一般論として申し上げますと、仮に、日本政府が有する公的債権について債務不履行が発生した場合には、日本が直ちに肩代わりするのではなくて、国際的な協議の枠組みに参加して、他の債権国とともに対応を検討していくこととなります。繰り返しになりますが、我が国は、ウクライナの御指摘の債券は保有しておりません。
 その上で、ロシアによるウクライナ侵略への対応についてですけれども、これも何度も申し上げてまいりましたが、我が国は、力による一方的な現状変更の試みは世界のどこであれ、許してはならないとの強い、この危機感の下に、これまでウクライナを支援してまいりました。その考え方に変わりはありません。人道、財政、復旧・復興といった分野で、御指摘あったように総額120億ドル以上のウクライナに対する支援を表明し、これを着実に今日まで実施してきているところでございます。我が国としては、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して、ウクライナに、公正で永続的な平和が戻るように支援を継続してまいりたいと考えております。

中国大連市における邦人殺害事案

【読売新聞 上村記者】中国大連での日本人殺害事件についてお伺いします。5月下旬に、日本人2人が殺害される事件が大連であったと承知しております。外務省として把握している事実関係と対応状況をお聞かせください。

【岩屋外務大臣】在瀋陽日本国総領事館は、遼寧省公安当局から、5月23日に大連市において、邦人2名が殺害され、容疑者は既に拘束されたという旨の報告を5月25日に受けております。
 同公安当局からは、本件は、知人間でのビジネス上のトラブルが原因であるという説明を受けております。
 本件を受けまして、被害者の御家族に対して必要な支援を今行っております。引き続き、邦人保護の観点から適切に対応してまいりたいと考えております。

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