記者会見
岩屋外務大臣会見記録
(令和7年3月25日(火曜日)16時39分 於:本省会見室)
冒頭発言
「安保理改革に関する政府間交渉(IGN)」議長の訪日
【岩屋外務大臣】本日午後、私(岩屋大臣)は、国連の「安保理改革に関する政府間交渉」の議長であるアル・バンナーイ大使、この方は、クウェート国の国連常駐代表でいらっしゃいますが、このアル・バンナーイ大使による表敬を受けまして、安保理改革を始めとする国際場裡の諸課題について、連携していくことを確認いたしました。
本年、国連は創設80周年を迎えます。分断や対立が深刻化し、安保理が、本来期待される役割を果たせていない中にあって、安保理改革の実現に向けた具体的な進展が重要です。
安保理改革は、決して容易な道のりではありませんけれども、我が国は、引き続き、G4、我が国とドイツとインドとブラジルということになりますが、このG4や、米英仏、アフリカなどを含む多くの国々と連携して、積極的かつ建設的に、粘り強く、この安保理改革に取り組んでまいります。
冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。
ガザ情勢
【朝日新聞 松山記者】中東情勢について伺います。約2か月間の停戦後、イスラエルによるガザ地区への攻撃が18日に再開されまして、24日、昨日には、弊社朝日新聞の通信員だった記者など2人の現地ジャーナリストが、イスラエルの攻撃で亡くなりました。ガザでは、戦闘が始まってから約1年半で170人以上のジャーナリストが亡くなったとされておりますが、この事実を大臣として、どのように受け止めてらっしゃいますでしょうか。また、日本は、現在、戦争が続く中東情勢に対して、中・長期どちらの点からも、今後どのような働きかけができると考えていらっしゃるかお願いします。
【岩屋外務大臣】イスラエル軍が、ガザ地区の広範囲で軍事作戦を再開して実施しています。そこで、民間人を含む多くの死傷者が発生していると承知しています。この危機的な人道状況の更なる深刻化を含めて、我が国としては、これを強く懸念し、憂慮しております。
ガザ地区では、これまでも、ジャーナリストや援助関係者を含む多くの民間人が攻撃を受け、犠牲になっておりまして、今般の御指摘の事案も含め、甚だ遺憾に思っております。全ての犠牲者の方々に対して哀悼の意を表しますとともに、遺族の方々に対しお悔やみを申し上げたいと思います。
我が国は、これ以上一般市民の死傷者が出ないように、イスラエルを含む全ての当事者に対して、国際人道法を含む国際法を遵守するよう、強く求めてまいります。
引き続き、関係国・国際機関と緊密に意思疎通を行いまして、ガザの人道状況の改善、復興及び統治に関する国際的な努力に積極的に関与するとともに、二国家解決及び長期的な地域の平和と安定の確立に向けた外交努力を重ねてまいります。
米国による関税措置
【共同通信 阪口記者】トランプ大統領の関税についての発言についてお尋ねします。トランプ大統領が、米国への輸入自動車への関税措置を「数日以内」に発表すると明らかにしました。相互課税を、4月4日にも発表するとされていますけれども、それに先立って公表する可能性を示唆した形です。日本政府は、これまでも適用除外となるように働きかけてきましたけれども、米国が措置を発表したことに対する受け止めを伺います。今後、働きかけについて、更にどういった形でしていきたいか、具体的に決まっている予定などあれば、それも併せて伺いたいと思います。お願いします。
【岩屋外務大臣】御指摘のトランプ大統領による発言があったということは、報道で承知しております。
自動車関税については、これまで、私(岩屋大臣)もカウンターパートのマルコ・ルビオ国務長官に対して、再三申入れを行ってきておりますし、武藤経産大臣も、先刻渡米して、カウンターパートに対して申入れを行っております。様々なレベルで、我が国の懸念を米国に説明するとともに、措置の対象から我が国を除外するように、申入れをしてきたところでございます。
今後も、米国による関税措置については、措置の内容及び我が国経済への影響などを十分に精査しつつ、日米間で緊密に協議を進めるなど、引き続き、必要な対応を行ってまいります。
日中韓外相会議、日中外相会談及び日中ハイレベル経済対話
【上海東方テレビ 宋記者】日中外相会議のことについてお伺いしたいんです。日中韓会議及び日中会談の現場の雰囲気はいかがでしょうか。そして、期待していた成果を得ることができたのでしょうか。お願いします。
【岩屋外務大臣】まず、日中韓の外相会議ですけれども、大変友好的・融和的な雰囲気の中で行われました。この会議におきましては、日中韓協力や地域・国際情勢について、大局的な観点から率直な意見交換を行うことができました。3か国間で、未来志向の協力を推進していこうと、そのことを確認したところでございます。
具体的には、やがて日本で開催する予定の日中韓サミット、日時等は、これからの調整になりますけれども、この日中韓サミットに向けまして、3本の柱に沿って、具体的な成果を得るために調整を加速しようということで一致をしました。3本の柱とは、第一に、相互理解の促進。第二に、暮らしを創り、守るための協力、第三に、全世代による共通の課題解決でございます。
それから、日中外相会談及び日中ハイレベル経済対話も、同じく大変友好的な雰囲気の中で行われたと思います。
日中外相会談では、課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていくための歩みを確かなものとしていくことで一致いたしました。
日中ハイレベル経済対話は、非常に活発な議論になりまして、時間が1時間ほど延びたのですけれども、お互いの懸念事項などを率直にぶつけ合って、理解を深め、あるいは一部誤解を解くこともできたのではないかなと考えております。
具体的には、グリーン経済、少子高齢化への対応を始めとして、幅広い分野において、互恵的な実務協力を推進していくことを確認いたしました。
また、協力する案件の議論のみならず、課題や懸案の解決に向けても、率直な議論を行いました。こういう課題については、ハイレベルの往来を重ねる中で、一つずつ懸案を解決していくことの重要性を強調したところでございます。
私(岩屋大臣)の方からは、例えば、日本産水産物の輸入再開に向けた関連のプロセスについて申し上げましたが、その進展を確認できたということは、大変有意義であったと思います。
加えて、尖閣諸島をめぐる情勢を含む東シナ海情勢や、中国軍の最近の活動の活発化、それからブイの問題、邦人拘束の問題、日本人の安心・安全の確保に係る課題、そして、台湾海峡の平和と安定、南シナ海、新疆ウイグル自治区、香港等の人権状況といった課題や懸案についても、率直に日本の考え方や懸念を伝達して、中国側の対応を求めたところでございます。
【産経新聞 原川記者】今、お答えになられた中で、「今回の日中の外相レベルの対話の中で、一部誤解を解くことができた」と先ほどお話がありましたが、これは具体的に何を指していらっしゃるんでしょうか、教えてください。
【岩屋外務大臣】詳細については控えさせていただきたいと思います。様々な貿易慣行等々、お互いが疑問を持っている点などが、日中双方から意見をされまして、それで理解が深まったところも、誤解が解けたところも、あったのではないかということを申し上げた次第でございます。